見出し画像

一ノ瀬ワタルが見せる胸糞悪い役が最高の持ち味になっている『ヴィレッジ』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:35/63
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:KADOKAWA、スターサンズ
 上映時間:120分
 ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
元ネタなど:なし

【あらすじ】

夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。

幼い頃より霞門村に住む片山優(横浜流星)は、美しい村にとって異彩を放つこの施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ、希望のない日々を送っている。かつて父親がこの村で起こした事件の汚名を背負い、その罪を肩代わりするようにして生きてきた優には、人生の選択肢などなかった。

そんなある日、幼馴染の美咲(黒木華)が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出す――。

【感想】

ここ最近、乗りに乗っている藤井道人監督の最新作。いやー、もうドラマに映画に引っ張りだこですよね!で、この映画なんですけど、とある村を舞台にしたダークな雰囲気の作品ですが、とにかくキャラクターの濃さに圧倒されました。

<もはやイケメン俳優の域を超えた横浜流星>

予告だけだと、どんな話なのかイマイチピンとこなかったんですが、話の大筋としてはシンプルです。母親のつくった借金返済のために、ゴミ処理施設で働く優が、幼馴染の美咲の帰省をきっかけに人生が変わっていく、、、というもの。その優を演じた横浜流星さんの演技がね、よかったんですよね~。人生に希望はなく、目も死んでて、あの精気がまるで感じられない出で立ちをよく作れるなと思いました。昨年の『流浪の月』(2022)で見せたDV夫もそうなんですけど、それまでドラマとかでは清純派のイメージが強かったんですが、映画ではけっこうダークな役に挑戦されていますよね。もはやイケメン俳優という枠を超えた魅力を感じます。ただ、肝心の父親が起こした事件ってのがサラッとしか触れられていないため、そこに起因する優の心の闇ってがちょっと伝わりづらかった印象はありました。

<一番推したい一ノ瀬ワタルのヤバさ>

そんな優のキャラクターもさることながら、僕が今回一番推したいのは、優と同じゴミ処理施設で働く大橋透を演じた一ノ瀬ワタルさんです。この方はもともとプロの格闘家だったこともあり、とにかくガタイがいいんですよ。日本の役者は細身でスラっとした人が多い中で、この強面な顔とイカツイ体はすごく目立ちますよね。過去にもいろんなドラマや映画に出ていましたけど、どれに出ても一発でわかるぐらいには目立つんで、それゆえに注目していた役者さんでした。

そんな彼が演じた透は、クズ中のクズです。父親が村長っていうこともあってか、口も悪いし態度もデカいし、ハラスメントの塊のような人物。仕事もせずに従業員を殴り合わせて賭けをしたり。美咲に無理矢理言い寄ったり。もはや見た目だけで、そういうことするのが予想ついちゃうぐらい、まんますぎるキャラクター。はっきり言って、スクリーンの中の彼を観ているだけでとても嫌な気持ちになります。でも、そんなキャラクターだからこそ、余計にこの村での生活に希望がないことが際立っていたと思うんですよね。あの憎たらしい表情に、体のデカさによる威圧感、そして相手を嫌な気持ちにしかさせない言動からくる胸糞感。ここまで悪らしい悪を体現できる人もなかなかいないのではないでしょうか。普通だったらどうしても演じているように見えていますが、彼の場合はそれが自然体に見えちゃうんですよね。役者という観点からいい意味で言っていますよ!(笑)まあ、物語上のラスボスっていう意味では彼ではないんですが、とにかくあの存在感はすごかったです。

てか、前よりも体がものすごく大きくなっていたのは、おそらく今度ネトフリで配信される大相撲を題材にした『サンクチュアリ -聖域-』の役作りのためですかね。

<そんなわけで>

主人公よりも悪役の存在感が大きかったのが印象的だった映画です。とにかく、一ノ瀬ワタルさんの胸糞全開な役どころをぜひ観ていただければなと。普通に怖いですから。学校や職場にいるガチないじめっこって感じがまたリアルなので。。。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?