井上雅彦 行動分析学

鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座 教授

井上雅彦 行動分析学

鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座 教授

マガジン

  • 発達障害への支援と応用行動分析

    発達障害のある人やその家族・支援者のための情報を発信します。

  • 40年以上昔の無線機TS-520をレストアして開局を目指す

    少年時代に電話級の免許だけとって「無線機自作からの開局・交信」を断念したおじさんが、40年以上昔の無線機TS-520を手に入れ、修理に悪戦苦闘してアマチュア無線局の開局を目指していきます。その中での失敗・成功談、楽しみ方、考えたことなどをつづります。

最近の記事

能登半島地震から二週間が経過して思うこと

 被災された方の現状を伝えるニュースが毎日のように流れています。  今日も冷え込みが厳しく、ご本人ご家族、現場の支援者の方の不安やご苦労は言葉にはできないほどかと思います。想像するだけで心が痛みます。  この時期、話題になるのが避難所のことです。先日このような記事も出ていました。 毎日新聞 2024/1/12 自閉症の息子、避難所連れて行けず「限界」 追い詰められた家族  また現在、福祉避難所の設置が急がれており、現地では既に稼働しているところもありますが、思ったよう

    • TS-520レストア(11) 受信部・送信部の調整

      マニュアルをみるとTS-520の各部調整にはマーカーユニット(MKR-3)が必須であるということです。520S(100W)は標準装備らしいのですが、私の520V(10W)にはついていませんでしたのでヤフオクで2000円前後で出物があり入手しました。これを本体に取り付けて発信させて、ユニットやコイル類の多くを調整することになります。 マーカーユニットは、25kHzごとにピーっという発信音が出てそれをもとに校正するしくみです。基板についているクリスタル(横長の部品)ですがそれ自

      • TS-520レストア(10) 150円での感度アップ! RFユニットのFET交換

        ネットでこのような記事をみつけました。RFユニットのFETを交換することで感度アップさせるというものです。特にRF-AMPのQ3の35GRを3SK74に交換するというものです。JA0QON 氏のHomePageです。3SK74はまだかろうじて手に入ります。150円くらいです。 片面基盤をカットして3SK74を載せて半田付けし、裏面から抵抗の余ったリード線を通して半田付けして「足」を作ります。 結果、感度は驚くほどよくなりました。JA0QON 氏のHomePageでは、Q2

        • TS-520レストア(9) 古の遺産?「ソリッド抵抗」を交換

           古い電子機器のレストアには、このソリッド抵抗の経年変化による抵抗値の変化(増加)が問題となってきます。TS-520でも電源回りを中心にソリッド抵抗が使われています。おそらく高耐圧に対するメリットから使用されたのだと思います。  抵抗値が増加すると電流が低下し、それが原因で送信出力が低下することが考えられます。私の520もこの可能性も高いので交換してみたいと思います。ソリッド抵抗は製造を打ち切る国内メーカーが多く、入手性が悪いため炭素被膜抵抗に置き換えていきます。 例えば

        能登半島地震から二週間が経過して思うこと

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        • 発達障害への支援と応用行動分析
          6本
        • 40年以上昔の無線機TS-520をレストアして開局を目指す
          11本

        記事

          TS-520レストア(8) ダイオード交換したらヒューズ飛んだ!

          丹念に電源回りから見ていきますと、整流ユニットの整流用ダイオードの被膜がパラパラと剥がれ落ちているではありませんか。両サイドの青と赤で囲ったところです。 海外サイトからダウンロードしたユーザーマニュアルを見ると、これらの部品です。V08Jを含めてすべて製造中止となっていますが、ネットで注文できるサイトもありますが、少々高いようです。互換品を探しましたが、以下のようでした。 V08J 800V 1A → 互換品 1N4006 V06E 400V 1A →     1N400

          TS-520レストア(8) ダイオード交換したらヒューズ飛んだ!

          TS-520レストア(7) ワイヤラッピング 失われた技術?

           市販の無線機というのは、当たり前ですが部品がぎっちり詰まっています。このころの無線機はそれでもましな方だと思います。特に520はワイヤラッピングという方法で各基板の配線が行われています。 写真の真ん中のピンに線がぐるぐる巻きついているのがわかりますか? Wikipedia曰く なるほど。 そういうわけね。 「専用工具を使って外す?」こういうことのようです。 動画の道具がこれなのね 面白そう! でも結構な値段です。 しかも家庭科の「玉止め」みたいで、なんとなくいやな

          TS-520レストア(7) ワイヤラッピング 失われた技術?

          TS-520レストア(6) リレー復活

          送信のSENDスイッチを入れるとメーターが変な振れ方をすることがありました。送信と受信が勝手に切り替わっている感じです。疑うべき点としてはリレーが考えられました。520もそうですが無線機のリレーは送信と受信を切り替える役割を担っています。 リレーの仕組みは電気が流れると電磁石で接点を引き付けて、大きな電流が流れる部分のON/OFFを切り替える仕組みになっています。こういうメカメカしい仕組みは、なんか惹かれます。 520にはオムロン製のリレーが2つ使われており、同じ形状です

          TS-520レストア(6) リレー復活

          TS-520レストア(5) VFO清掃

          TS-520で、VFOを回して周波数が飛ぶという現象があるようです。520系ではよくあることのようで原因は、VFOの中のバリコンのアース部の不具合らしいのです。この動画は外付けVFOですが同じ部品なので参考にしました。 接点洗浄剤と綿棒で清掃して、ベアリング部にはグリスを塗布しました。 https://amzn.to/3IKyK4N https://amzn.to/45x6cW6 復活してもその後埃などを吸着しや酸いので「接点復活剤」は不可で「洗浄剤」です。 矢印の

          TS-520レストア(5) VFO清掃

          TS-520レストア(4) 無線機を洗う

          無線についての大先輩にリグを洗浄するというアドバイスを受けました。先輩はUSA製の名機コリンズをレストアされた猛者であり、その経験からのアドバイスです。  その方法とは 1.VFOや真空管などを外す 2.アンモニア水を20倍~25倍に薄めてスプレーしながら、習字の筆で部品    を傷つけないように洗浄する 3.水で洗い流し、完全に乾燥させる というものです。  早速Amazonでアンモニア水を購入、ダイソーで筆とペットボトルにセットして使えるスプレーを購入しました。 h

          TS-520レストア(4) 無線機を洗う

          TS-520レストア(3) VFOを外す!

          初心者にとっていきなりの難題です。 ところで、VFOというのはVariable Frequency Oscillatorの略て直訳すると「可変周波数発振器」、簡単に言うと「周波数を変える装置」のことですね。520の場合は、ダイヤルをグリグリ回して周波数を変えるので時計のようなメカニカルなギア機構でこれがまたかっこいいのです。 シールドされた中はバリコンと回路が入っています。 初心者が初めて取り出すというのは、はっきりいって大変です(でした)。 1.パネルを外すためにボリュ

          TS-520レストア(3) VFOを外す!

          TS-520レストア(2) ベース機の状態

          1.外観  外のケースに錆があるのはもちろん、ケースを空けてみたら中のトランスに錆が浮いているのと、メーター付近のフレームは特にひどい状態でした。この辺りは何かこぼしてそのままになっていたのかもしれないですね。オプションのCWフィルターやマーカーはもちろんなし。DANGERと書かれた金属ケースの中は真空管(S2001A)がしっかり存在していました。その他欠品はありません。ケースは塗り替えてしまうからよいけれど、各部品のダメージはどうなんだろう。 2.通電するも受信できず

          TS-520レストア(2) ベース機の状態

          TS-520レストア(1) TS-520とは

          1973年発売のこの無線機は、トリオ(現KENWOOD)が当時の技術の粋を結集して放ったHFトランシーバで、基本はトランジスタで構成されていますが、ファイナルとドライブ段には真空管を使用した、今でいうハイブリッドな機種でした。 機械式のダイアル機構やダイキャストパネルなど重厚なイメージで、今見ても美しい無線機だと思います。 この当時、小~中学生として「子どもの科学」や「初歩のラジオ」を購読し、「電話級」(現4アマ資格)であった私には、このような市販の無線機はお小遣いで買え

          TS-520レストア(1) TS-520とは

          ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにとっての理想の学校・学びとは

           2022年日本自閉症協会全国大会(佐賀)でのシンポジウムで表題の話題提供をさせていただきました。いくつかリクエストをいただいたので当日の話題提供の一部を書きおこしてみました。  ASDのある子どもに対する「特別支援教育」についての議論は、当然ですが、常に現実の教育制度をその念頭において行われます。しかし現実の教育制度にとらわれないで、夢を語ってみるのも悪くないかなと思っていたところ、今回のお題をいただいてこのような話をさせていただいた次第です。    自分の苦手な刺激がな

          ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもにとっての理想の学校・学びとは

          米国における知的障害・自閉症のある人の自傷行動・他害的破壊的行動の治療ににおける「電気ショックを利用した装置」についての事件・論争からみえるもの(1)治療をめぐる経緯 20210802改訂

          イントロダクション   知的障害のある人の10~15%に自傷行動、他害破壊的行動、ステレオタイプな行動など、何らかの行動上の問題があるといわれています(Holden & Gitlesen,2006)。特に、自閉スペクトラム症はこのハイリスク要因の一つとされています。  これらの治療に関するエビデンスは、環境調整や機能的アセスメントをベースにしたPBS(ポジティブ行動支援)、FCT(機能的コミュニケーション指導)、AAC(補助代替コミュニケーション)などのABA(応用行動分析

          米国における知的障害・自閉症のある人の自傷行動・他害的破壊的行動の治療ににおける「電気ショックを利用した装置」についての事件・論争からみえるもの(1)治療をめぐる経緯 20210802改訂

          ASD(自閉スペクトラム症)の療育機関の認証を進めようとしている米国のCASPの試み

          なんでも諸外国の真似をすればよいわけじゃないし、私は元来心理屋で、制度の専門家でも、それに精通しているわけではないのですが、諸外国の研究論文を読んでいると、その論文の背景としての「制度」を理解する必要がでてくるので時々調べたことを公開メモとして残しておきたいと思います。間違いがあったらご指摘いただきたいと思います。 自閉症サービスプロバイダー評議会 Council of Autism Service Providers 以下、HPからの情報をもとに井上が要約したものです。

          ASD(自閉スペクトラム症)の療育機関の認証を進めようとしている米国のCASPの試み

          周りは困っているけど本人は困っていない、こんな時、通級担当の先生はどうする?

          通常学級ではトラブルメーカーとされているけど、本人に困り感のようなものがない上に、通級という個別の学び環境ではトラブルはおきないということもあるでしょう。しかも担任の先生からは「通級でしっかり見てやってください」と言われてしまうことも。表題のような通級担当の先生の研修会で出た実際の質問について少し考えてみたいと思います。 行動上の問題は個人に内在するのではなく環境との相互作用にあるこのことは行動分析学でも、チャレンジング行動(challenging behavior)の考え

          周りは困っているけど本人は困っていない、こんな時、通級担当の先生はどうする?