田附正甫 from ブラジル「地球の裏側から見た日本」

たづけまさほ。ブラジルサンパウロ州。モジ・ダス・クルーゼス市、通称モジ。私の住む街。移…

田附正甫 from ブラジル「地球の裏側から見た日本」

たづけまさほ。ブラジルサンパウロ州。モジ・ダス・クルーゼス市、通称モジ。私の住む街。移住して50年を過ぎました。(生まれは千葉の匝瑳市) 私は現在78歳の元日本語教師。地球の裏側から日本を観察するうちに、日本人の特異性に気づいた者であります。YouTubeはよく観ています。

最近の記事

子どもの問題は、人工的な環境のせい

日本では小中学生の不登校は年々増える一方で、2023年の統計では前年より二割増えて約30万人だそうです。 しかしこのようなストレス耐性のない子は、何とか社会へ出ても転職を繰り返したり、うつになったり、再度引きこもりになる例が多いともいわれています。 内閣府による引きこもりの推計は146万人ですが、若い人がこれほど引きこもっていては、ただでさえ少子化の日本は人手不足になりますから、移民を入れて補おうと考える人たちがいます。 移民元の外国人のほとんどは陸続きの国の出身ですか

    • 農耕民族と移民は女性で成り立っている

      農耕民は女性の役割がきわめて重要ですが、日本では特に、養蚕や潜水漁の海女(あま)は女性が働き手の主体となります。 農耕民のなりゆきとして、家庭の実権は主婦が握ります。 そんなことから「上州のかかあ天下」などという言葉もあるのでしょう。 ※上州(群馬県)は養蚕がさかん ブラジルに来た農業移民のほとんどは、若夫婦二人でのスタートになりますから、そんな場合も妻の協力がなければ生活が成り立ちません。 また、街に出て商売を始めるにしても、一般的に外国語習得は女性の方が得意なので

      • 人はなぜ争うのか?自然に善悪や正邪は無い

        相も変わらず、今も世界ではあちこちで、戦いが繰り広げられています。 これは正義の戦いだ、聖戦だ、反政府だ、独裁だ、不正だ……とそれぞれが善だ悪だと主張していますが、「善悪」は人間が創り出したものであって、もともと自然界に「善悪」はありません。 ライオンや狼が獲物(草食動物)を追いかけると、まず子どもの動物が逃げ遅れて食べられてしまいます。 人間に言わせれば幼児虐待です。 年老いた弱った者を倒したら敬老の精神に反するし、病気や怪我で動けない者を餌食にしたら弱い者いじめに

        • 熊とヤクザと凶暴な外国人

          ある日の日本のニュースに……<<警察官は4人がかりでクマと対峙し、警笛を鳴らしたり、クマ撃退スプレーを使うなどして、敷地内からクマを追い払いました。>> とありました。 昨今は熊が住宅街にまで出没するそうですが、駆け付けた警察官たちは倉庫を荒らしている熊のそばまで行ったのだから、4人でピストルの一斉射撃を加えて処分するべきだったと思います。 そんな住宅地で採食する都市化した熊は見たらすぐに殺さないと、また戻って来て手間と経費と被害が膨らむばかりです。 私も昔、猟に興味が

          地域共同体と個人主義(ブラジル移民が見る景色)

          日本からブラジルに来た農業移民のほとんどは、農村の出身者だといわれていますが、何家族かでまとまって開拓地に入ると、周辺の日本人も自然と集まってきます。 彼らは「日本人会」を作り、そして、「会館」を作りました。 日本に帰るつもりだった戦前の移民の皆さんは、その会館で日本語学校を開き、新年会や天長節、入植祭や結婚式、時にはのど自慢や演芸会もやりました。 毎年、農閑期には運動会を開き、そんな日本人村がブラジルに出来上がりました。 日本人会には、婦人会や青年会もあり、農事部・

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          殺し合いをやめない狂暴で愚かな一神教の三兄弟に法然の精神を。

          新年が明けました。 ウクライナ戦争はいつまでやるのだろう……と思っていたら、 イスラエルで紛争が始まってしまいました。(2023年10月7日) アフリカのスーダンではもう何年も前からずっと内戦が続いています。 そろそろ日本人も気付いていい頃だと思いますが、島国の日本と違って、大陸の国々は大昔から、隣接する異部族・異民族とサバイバル戦を繰り返して今日まできました。 ですから日本以外の文明は、“力と闘争の文明”と言われています。 一方の、海という城壁に囲まれた日本には、

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          第2外国語で変わる性格。日本語は和の言葉。

          あるブラジル人の女子大学生が、日本語講座を選択科目に選び、だいぶ上達したと思ったある日、街中で昔の友人と出会ったそうです。 久しぶりだったので色々と話が弾んだところ、ふとその旧友は「あんたはシスターにでもなったのか?」と聞いてきた。 昔よりもだいぶ大人しいし、しとやかな感じになった、と言うのである。 どうやら、毎日熱心に日本語を勉強してるうちに、日本語の魂が学習者に影響してきたらしい。 たしかに、第二外国語が上達してくると、その言葉が使われている国の文化習慣、もっと言

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          国際政治の公用語を日本語にしたら、争い事は減るだろう(やまとことばの力)

          私が住むブラジルには、日本から視察や調査でさまざまな訪問客が来ますが、接待する日系人の日本語能力も時代とともに弱くなっていますから、難しい言いまわしは避けるべきでしょう。 これまでに聞いた最もひどい例を挙げれば……養蜂の専門家がブラジルに来て、日系二世もいる席で、ミツバチは“ホーカセーコンチュウ”だと言ったのです。 「訪花性昆虫」 こんな和製漢語は普通の日本人でもピンときませんが、特に二世に話すときは「花に来る虫」とやさしく言うべきでしょう。 また例えば、農業技師が「砂

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          表土流失と農地開発のあれこれ(畑を耕さない不耕起栽培は有効か?)

          裁判はまだ続いていますが、大きな被害を出した熱海の土石流災害(2021年7月3日 ※詳細下記)では、「太陽光発電用地の盛り土が大雨で崩れたからだ」と報道されました。 雨が降ると必ず少しの土は流されるものですが、大地が緑に覆われている所であれば、大雨が降っても、表面の土が大規模に流されることはめったにありません。 人間が手を加えたところ、つまり作物を植えるために、木を伐り草を除いて土地を裸にし、そこを耕して種を蒔くと、ちょっとした雨でも表土流失が起きます。 雨が降るたびに

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          人間は狂った猿か否か (進化 or 退化?)

          北京原人、ジャワ原人たちは滅び、20万年ぐらい前から脳が大きくなったホモ・サピエンスが増え始めました。 そして、ネアンデルタール人や、沖縄の港川人(みなとがわじん)たちが滅び(2万年前)、現代人=ホモ・サピエンスになったと説明されています。 ある学者が「人間は狂った猿である」と言いましたが、たしかに人間は他の動物に比べても、高知能、狂暴、残酷、強欲だと思います。 そんな遺伝子を持った人間は、たちまち地球の隅々まで広がり繁栄してきましたが、人の遺伝子には特別に高い繁殖力を

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          日本の学校、ブラジルの学校。〜小中の全人教育〜

          最近の日本では、小中学校の教員のなり手が減って教員不足が起きているようですが、ブラジルの学校に比べると日本の教員は雑用が多すぎます。 ブラジルの初等学校はどこも午前と午後の二部授業ですが、午前と午後で同じ教室か同じ先生かどうかは決まっていません。 こちらの学校には部活とかPTA、学芸会や発表会、遠足や修学旅行、運動会もないし教頭先生もいません。 校歌も同窓会も、上級生・同級生・下級生とか、恩師、教え子という語彙もありません。 それに生活指導や連絡帳などの仕事まで先生は

          日本の学校、ブラジルの学校。〜小中の全人教育〜

          マウンティング好きの日本人は、今日も上見て下を見る

          フランス語は愛を語る言葉 イタリア語は歌う言葉  ドイツ語は哲学の言葉  英語は商売をする言葉  日本語は人を敬う言葉  そしてロシア語は……呪いの言葉 誰が言ったか、言葉には民族ごとにそんな印象があるらしい。 あるブラジルの若い日系人が、期待を持って日本へ出稼ぎに行ったところ、失望して消耗したような顔で帰ってくることがよくある。 日本は敬う文化だと思っていたら、逆に人を見下すような軽蔑な態度が多かったと嘆いていた。 例えば食事の際に、上司には「お召上がりください」「

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          ブラジルの日系大地主(山手線の1.4倍の土地を持つ)の苦悩

          ブラジルは北パラナ州の大きなお屋敷に二・三日泊めてもらったとき、そこのご主人の高橋さんが地図や何枚もの写真を出してきて、説明をしてくれました。 ・彼のお父さんがコーヒーで儲けた金で、隣のマットグロッソ州に四千アルケールの土地を買った。 ・いくら息子たちの将来のためと言っても、山手線の内側の面積の1.4倍の広さだから、境界線をよく調べて買ったわけでもないらしい。 ・広い土地を買う時は自家用機の上から「この川から、あの岩山まで」という大雑把な話になるので、しばしば境界線の争

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          自然を征服したい西洋人、感謝する日本人

          アメリカ製の深海潜水艇「タイタン」が深海に眠るタイタニック号の近くで消息を絶ったのが2023年6月18日のこと(4日後にタイタンの残骸が発見されたという)。 便利な技術文明を創った人類(主として西洋人)は相変わらず自然の巨大な力に対して果敢に挑戦を続けています。 創世記の出だしには「はじめに神は天地を創造された」とあり、「神は自分の形に人間を創造され、これに魚と鳥と獣と地を這うすべてのものを治めさせよ…と告げた」とあります。 一方の日本人は、毎年の自然災害に苦しむと同時

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          自然は悪。アマゾンは緑の地獄。ブラジル人(西洋人)の自然観に驚愕。

          ブラジルには蝶、トンボ、という語彙はありますが、何々蝶や何々トンボとまでは区別しません。 日本人であればモンシロチョウ アゲハ蝶とか、赤とんぼ 糸とんぼ 鬼やんま……ぐらいは誰でも知っていると思いますが、ほとんどのブラジル人は自然には無関心です。 驚きますよね。 私は養蜂が専門だったので、よく人に質問されますが、卵が孵化(うか)して幼虫のウジになり、蛹(さなぎ)になるとき繭(まゆ)を作ると説明しても、ブラジル人には通じません。 だいたいブラジル人は自然に対してマイナス

          自然は悪。アマゾンは緑の地獄。ブラジル人(西洋人)の自然観に驚愕。

          虫と共に生きる(日本流の共生社会)

          前々回、寄生スズメバチの話をしましたが、蜂の仲間は特有の習性があるので補足させていただきます。 (私は長らくブラジルで養蜂を営んでいました) スズメバチも足長バチも一つの巣の中の一匹の女王バチだけが卵を産みますが、その他大勢の働きバチは全員が雌(メス)です。 彼女たちは卵巣が萎縮しているので働くだけなのです。 人間の母親は男女を産み分けられませんが、蜂の場合は有精卵から雌、無精卵から雄が生まれます。 秋になると女王は無精卵を産むようになり雄蜂が誕生します。 その雄蜂は