昭和精吾事務所「氾濫原4」 ③:『夢十夜』 『草迷宮』
『夢十夜』 地球が夜行性の生き物であるという証しに、夢は人生で、大きな役割を果たすのだと信じさせてくれる。
私はこれまで、そんな夢を少ししか見たことがないんだが、漱石も、昭和精吾事務所も、そんな夢を数多く見てきたんだろうと思わせた。もちろん、今回の朗読者だった白永歩美さんも、こもだまりさんも。
憂鬱に草生する漱石の文体を分け入っていく快感が、からだじゅうの毛穴からじっと染みわたった。まるで、夜を照らして輝く門を、次々に超えていって未曽有の「中心」に到達する夢をみたように。