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今はもう趣味を煉瓦として使って、個性という名の一軒家を建てようとは思わない。  2021/03/21

 朝から田中純『デヴィッド・ボウイ 無を歌った男』を読んでいた。

 書見台に開いた状態で鎮座し続けているのだけど、ちびちびと読み進めていて、この日はAlladin SaneからDiamond Dogのところまで読んだ。BGMに該当アルバムを流しながら、懐かしみつつ、読む。

 午後は一人でオーディオ屋さんへ。新居のオーディオの構成を迷っていて、実物を聴き比べてみないことにはわからないという状況。で、いくつかの組み合わせを聞いてみたのだけど、これが組み合わせ次第で全然違う。

 現代的な複数のドライブを使ったクリアな音というより、中域の厚いどっしりとしていてどこか温かみがあるというか、まろやかと言うか、そう言う音の方が自分は好みのようだ。

 もはや一定レベルを超えると良い音というよりも、好きな音を知ることの方が重要なのだな、と気づく。その方向性が違うといくら蕩尽しても辿り着かなそう。試しに500万円のスピーカーでも試聴させていただいたけれど、もちろん素晴らしい音なのだろうが、好みとは違うのだな、と身をもって知った。

 多和田葉子『献灯使』読了。

 今はもう趣味を煉瓦として使って、個性という名の一軒家を建てようとは思わない。どんな靴をはくかは重要な問題だが、自分を演出するために靴を選ぶことはなくなった。
多和田葉子『献灯使』P.10

 個性には興味ないのだけど、趣味を煉瓦として趣味そのものの一軒家は建てたいな、などと思う。


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