満たされない

足りないんだよ。
ずっと満たされないままなんだ。

愛されたい。褒められたい。
寂しい。一人はもう嫌。

認められたかった。
だめな子じゃないよって。
頑張ってるねって。
偉いねすごいねって。
生きててもいいんだよって。

私は一人じゃない。
わかってるよ。
たくさんの人に支えられて生きてる。
それでも一人だと思ってしまうんだ。
寂しいと思ってしまうんだ。

幸せな人を見ると涙が出るんだ。
羨ましいと思うんだ。
自分もこんな風になれるかな。

人の苦労話を聞くと腹が立つんだ。
くだらないと思うんだ。
私だって苦労してきたんだよ。

なんで誰もいないの。
なんで褒めてくれないの。
頑張ってるのに。
私ここにいるんだよ。

愛されたい。
でも愛されなくてもいい。
ただ、認められたい。

自分の好きなことだけしてる今も
人の意見に抗えなかったあの時も
褒められたくて頑張ったあの日も

認められたかっただけ。

ずっとずっと満たされないのは
自分に自信がないからなんだ。

私はこれでいい。
頑張ってる。
好きに生きたらいい。

そう思ってるのに。
それでもやっぱり。
変わらない。

褒められたい。
認められたい。

誰に認められたいんだ?

あなただよ。母さん。

恐ろしくて憎くて可哀想な人。

あなたに褒められたことあったかな。
一度だけ。
頑張ったねってケーキを焼いてくれた。
すごいねって褒めてくれた。

いつまでも私はあなたが怖いよ。
怒鳴られ殴られたことは忘れない。
あの血走った目が今も脳にこびりついてる。
でもあなたは唯一無二だから。
嫌でもあなたは私のお母さんだから。

認められたかったんだよ。
あなたの思い通りの子じゃなかったけど。
沢山迷惑をかけたけど。
私なりの生き方と努力を認めてほしかった。

それでいいんだよ。
頑張ってるね。
それだけの言葉でよかった。

でも無理だったね。
だから私は一生満たされない。
他の誰かに縋る。
愛を求める。

どんなに愛されても足りないのに。
本当に欲しいのは誰かの愛じゃない。
あなたの温かさと普通の人生が欲しかった。
求めてはいけないことだったのかな。

お父さんの背中とお母さんの温もり。
そんなありふれた日常を生きたかった。
私にはどっちも分からないんだ。
普通が分からないんだ。

いつか私も結婚するのかな。
普通を知らない私は普通になれるかな。
どこにでもいる幸せな夫婦になれるかな。
自信がないや。

あなたの事が嫌いだよ。
でも今の私はあなたそっくり。
やっぱりあなたの娘なんだな。
私幸せになれるのかな。
あなたは幸せだったのかな。

私はあなたにとって必要だったのかな。

分からないんだ。
あなたの事を何も知らないんだ。
本当に何も。

私が生まれたときあなたは何を思った?
私の名前はどうやってつけたの?
お父さんはどんな人だったの?
どんな恋をしてどんな悩みがあったの?

分からないんだよ。
何も話してくれなかったから。

分からないんだよ。
私は自分が何者なのか。

私はもう小さい子どもじゃない。
あなたの元を離れても生きられる。
それでもあなたはずっと私の母親なんだ。
あなたが認めてくれることを願うんだ。

あなたの代わりを探してしまう。
満たしてくれる人を求めてしまう。

見つかるはずないのにね。
もうずっと満たされないのにね。

どうしたらいいのかな。
分からないんだ。
あなたに認められたら満たされるかな。
自分に自信が持てるのかな。
もう少し強くなれるかな。

生きる希望になるのかな。

分からないけれど。
きっとこの先も満たされることはないけど。
満たされないくらいがちょうどいい。

穴を埋めるために生きるんじゃない。
生きてくうちに穴が埋まっていくんだ。

満たされないから満たされたい。
認められたいから頑張る。
褒められたいから呼吸を止めない。
そんな生き方しかできないけれど。

今はそれでいい。
少しずつ私も変わるから。

いつかきっと
幸せになれるから。

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