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4回目の入院中に書いたもの

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入院中に感じたこと、思ったことを綴ったものです。
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退院。さようなら閉鎖病棟。

退院。さようなら閉鎖病棟。

昨日の話だが、「看護師さん、すみません。冷蔵庫に入れておいたお菓子がなくなりました。」と看護師さんに話しかける患者。どうやら名前を書かずに冷蔵庫に入れてそれを誰かに取られてしまった模様。

こんな治安の悪い場所ともさよならだ。

慢性期病棟というだけあって1年〜数年入院している人まで様々だった。8割、9割が高齢者であって、面会にくる人はほとんどいなかった。いきなり叫びだす人、幻覚が見えているのかず

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「思い出の中に溺れる前にこの場所でさよなら」

「思い出の中に溺れる前にこの場所でさよなら」

二度寝をしていると窓から差し込む光に起こされた。そして、転落防止のために少ししか開かない窓から風の音がした。

とうとう私の住んでいる地域にも春がやってきた。

私が短大を卒業したときも風が強かった。この時期は決まって風が強くなるジンクスでもあるのだろうか。

この日は絶対に文章を書こうと決めていた。そしてもう一つ。インスタで投稿を作成しようと思っていた。

縮小垢である日突然始めた毎日の一曲を紹

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非日常は誰かにとっての日常

非日常は誰かにとっての日常

明らかに目の焦点が合わない人、手の震えが止まらない人、大声で看護師さんに怒鳴る人、赤子が這うより遅い足取りで歩く人、そしてナースステーションには長蛇の列。

今日は朝から体調が優れない人が多い印象を受けた。

足の巻き爪が伸びてきてとうとう足の指に刺さるようになってきた。痛い。
爪切りを借りようとナースステーションに向かって廊下を歩いている途中に知らない人に話しかけられた。

「お名前何というんで

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10年ぶりの再会。診察。

10年ぶりの再会。診察。

「名月さん」

15時過ぎ。自分がいる病室に女性の声が響いた。
返事をして後ろを振り返るとそこに立っていたのは約10年前に私を診てくださった先生だった。

転棟したため、主治医が変わったのだが、最初はとても驚いた。まさか10年越しに再会することになるなんて。

「ご無沙汰です」
咄嗟に出た言葉。今思えば使い方を間違っていたと思う。でも、私はそんな余裕がなくて頭に思い浮かんだ言葉を口から放っていた。

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みんなと袴を着たかった

みんなと袴を着たかった

3月。春の始まりを感じる季節。

閉鎖病棟からは外の景色は分かりにくい。
手っ取り早く外の情報を手に入れられるのはスマホだ。

SNSで桜の写真を見て驚いた。
私の住んでいる地域はまだまだ寒くて桜なんてとんでもない、春なんてまだ先のようだ。

もう一つSNS上で見かけた春がある。「卒業式しました」というメッセージとともに添付された袴の写真だ。

だんだん近づいている卒業式。もう来週に迫っている。残

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転棟、そして地獄を見る

転棟、そして地獄を見る

「大変申し上げにくいのですが、退院してから3ヶ月以内に再入院となったため転棟になる可能性があります。」

主治医からこう言われてから約1週間後、私は転棟となった。
昼食の数時間前、看護師さんが持ってきてくれた台車に大量の荷物を乗せてエレベーターに乗って転棟先まで行った。

場所は慢性期病棟。おおむね3ヶ月以上入院する人たちがいる場所だ。

だいたいどこの病棟も雰囲気は同じだろうと思っていたが、その

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入院のスパンがどんどん短くなっている

入院のスパンがどんどん短くなっている

16時過ぎ。
閉鎖病棟の中で1番暇な時間と言っても過言でない時間である。
音楽を聴き続けることにも飽き飽きしてきた。Xの見過ぎで目が少し疲れている感覚がある。

唐突だが、私は今、入院している。
今回の入院を加えて私は休学中に3回入院していることになる。
休学の時間をほぼ入院に費やした。

ふと、ちょっと前に元の主治医から言われたことを思い出した。
「あんまり何回もスパンを開けずに入院すると社会復

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