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にんにくはネギの仲間!万能香辛料で食欲増進の秋!

にんにくは、400種類もある大きなネギのグループに属しています。普段、私達が食べている長葱や玉葱とともに、ニラやにんにく、ラッキョウ等もネギの仲間なのです。

特に、にんにくは生姜等とともに薬味・香辛料の代表格で、配合割合や調理の仕方を工夫すると、和・洋・華の料理に万能な存在となります。

かつての同僚で、にんにくにこだわるプロの調理人から、そのうんちくを教わったことを思い出しました。
今回は、日頃わき役としてのにんにくを、主役として取り上げてみたいと思います。

★にんにく栽培のこと

にんにくは、中央アジア原産でエジプトや中国では古来から栽培され、日本にも古くから伝えられていたそうです。
各家庭では、主に風邪予防等の薬用として栽培され、食用として食べられるようになったのは、戦後の1945年以降とされています。まだ75年程と以外に新しいのです。

食用としているのは、主に地中の鱗茎で球になった部分です。若い葉は「葉にんにく」若い花茎は「にんにくの芽」として食べられています。

にんにくは、秋植えすると冬から春にかけて花芽と茎が同時に成長します。花茎を若いうちに切ると球の成長が進むので、生産者さんによると、花茎はできるだけ早く切って食用にしたいそうです。
葉にんにくやにんにくの芽は、日本ではあまり馴染みがないのですが、中華料理に合うとしてひそかに人気があります。

★にんにくの品種から適したものを選ぶ

産地の違いによって品種が異なるので、産地にもこだわりたいですね。
例えば、国産では青森県産の「福地ホワイト」という品種が有名です。個々の球が大きくずっしりしていて、粒は6~8片程度あり、糖度、辛み、水分等のバランスが良く、どのような料理にも合わせることができます。
この品種は寒い地域で育つ寒冷地系のにんにくで、青森県の他にも岩手県や宮城県などでも栽培されています。

一方、九州産や輸入物の暖地系の品種は、大玉でも粒は小ぶりな点が特徴です。ひとつが小さな10片くらいに分かれていて、福地ホワイトに比べて、辛みやにおいが強く、料理に刺激が欲しい場合に適しています。中華料理には特に合うと、料理人からは人気です。

一般家庭では、オールマイティーな料理に使用できる国産「福地ホワイト」が無難だと考えています。
ただ、今年は、天候不順で国産の出荷量が少なく、また輸入量も少ないため、にんにくの価格が高騰しているようです。貴重ですね。

《代表的な品種》
① 壱州早生(いしゅうわせ)

九州から沖縄県で栽培され、にんにく球が鶏卵のように50g程の大きいタイプで鱗片の数は8~10個程度です。したがって、ホイル焼き、炒め物などのように、にんにくそのものをメインに食べる場合に向いています。
また、辛みや香りも強いので焼き肉料理などの材料の癖を調整する香辛料としても良く使われます。

② ホワイト六片種
青森県では古くから栽培されています。福地村の福地在来と輸出用に導入した白色の品種を適品種として、これから本種が生まれたとされています。
栽培しても花茎は出ないか短く、球は50gと大きい方です。
鱗片の数は5~6個で、調理の際に分けて使用しやすい大きさです。
低温寒冷地向きの品種で、現在最も多く栽培されています。香が高いので主に香辛料として使用しますが、にんにく好きの人は、焼き物や炒め物にしても美味しいと好んで食べています。
雪深い地方では、酢漬け、しょうゆ漬け、にんにく酒等の保存食として利用したり、健康を気づかって、にんにくの保存食を研究されている方もおります。

③ 葉にんにく
にんにくといえば香辛料のイメージが多いですが、中国では古来から若い茎葉を食用としてきた歴史があります。
日本でも戦後は香味野菜として「葉にんにく」「にんにくの芽」と呼び、高知県などでは少しですが栽培されています。
鱗茎が肥大する前の葉を、炒め物や煮物に利用すると香も良く食欲をそそる一品となります。

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★栄養と調理のポイント

《にんにくの栄養》
栄養は、ビタミン類ではどちらかと言うとビタミンB₁が含まれますが、これといった特徴はありません。ビタミンB₁は疲労回復に良いのですが、にんにくは分量が食べられませんので、そのもの自体に期待はできません。
ただし、独特の香りや、辛みの刺激が消化液の分泌を促し、食欲増進に働き食が進んで十分に栄養が摂れることから「わき役の栄養」と私は言っています。

ビタミンB群は水に溶けやすく熱にも弱いので、刺身や、たたきなどで生食で食べるのが効果的です。
例えば、カツオを生のスライスにんにくで食べると、カツオに含まれているビタミンB₁もにんにくのビタミンB₁も一緒に摂れて、疲労回復の効果が上がります。

《においが気になりますね》
にんにくは食べる時は良い香り、後は臭いにおいですね。
これが嫌で、私は出かける特別な日は、3日前からにんにく料理を食べないようにしています。
にんにく特有のにおいと辛みは、硫化アリルによるものです。にんにく自身が、動物が嫌うにおいを放ってイノシシなどに食べられないように、身を守るために強いにおいを持っている、と言われています。

にんにくは、調理の仕方によって香りが変わる食材です。
包丁の入れ方、加熱の仕方等で調理方法を変えれば、料理の仕上がりが引き立ちます。
このにおい成分は、にんにくを包丁で切ったりすりおろす等して、にんにくの細胞を傷つけることで強い刺激臭が出てきます。これが、にんにくのきついにおいです。

従って、細胞が無傷の状態ではほとんどにおいがありません。丸ごと過熱をして食べたら「にんにくの匂いがほとんどない!」という経験をした方もあると思います。

《調理のポイント》
にんにくは細胞に傷をつけることでにおい成分を強く引き出すことができる、というお話をしました。そのため、切り方を工夫することで香りの度合いを変化させることができます。

① 香を強く出さないためには
にんにくを皮のまま使用したり、包丁で軽くたたく程度で使用します。皮のまま使用するなら、にんにくを丸ごとローストにしたり、丸ごと揚げたりします。また、軽くつぶす程度なら炒め物に良いでしょう。

② 香を普通に出したいときは
にんにくの繊維に沿って1片を半分に切ると、香が強すぎず丁度良くなります。一片を半分に切った程度なら炒め物や、煮物に良いです。
また、繊維に沿って薄切りにすると、炒め物や煮物の他にかつおのたたきの薬味やパスタなどにも丁度良い状態で食べられます。

③ 香を強めに出したいときは
にんにくの繊維に対し直角に薄切りにした場合は、香りが強く出ます。強い香りを楽しみたい方は、このような切り方をおすすめします。

また、みじん切りや、すりおろしで使用する場合は、ソースや薬味として利用するとより強くにんにくの風味が引き立ちます。
とりわけ、すりおろしたにんにくは、肉系の下味付けには欠かせない香辛料として優秀です。

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香出しに大事なことは、油と仲良くすることです。にんにくは油と合いますので、熱した油でさっと加熱すると香がたちます。加熱で程良く炒めたにんにくは、料理の万能香辛料です。この香りは、作り置きせずその都度が新鮮です。

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*参考までに
生にんにくの保存は15~18度程度で適度な湿度が必要です。冷蔵庫内や冬場の室外では温度が低く乾燥しているため香りが落ちてしまいます。
保存できる食材ですが、早めに使用することをおすすめします。

★にんにく神社の話

にんにく神社
弘前市のにんにく神社の話
にんにくの産地青森県に、通称「にんにく神社」(鬼神社)があると聞きました。鬼の好物であるにんにくを奉納するという珍しい風習や祭りがあるそうです。

弘前市の神社なので、さっそく弘前市の情報から調べてみました。
鬼神社に伝わる伝承話しによると、津軽のにんにくが脳溢血や後遺症の運動マヒに良く効くという説や、鬼と親しくなった農民が水田枯れに困っていた時に、鬼が上流から水を引いて村人を助けたこと等々がありました。
数あるいわれや伝説の内、干ばつが続いて生活に苦しんだ村に、鬼が用水路を作って干ばつから村を救った、という伝説に心温まり、昔話好きな私には印象が残りました。

にんにく自体やにんにく料理のこと、まつわる昔話等をもっと詳しく知りたい!一度は行ってみたくなりました。


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