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3Dプリンタが作った食材と調理技術の行方


新鮮な肉や魚が店内に少なく、幅を占めるのは加工食品の総菜達です。
価格の高騰と品薄から、食糧難が近いと感じる今日この頃であります。
 
私が子供の頃は、東京湾であさりがザクザク採れ、近海物の魚も普通に手に入っていました。
 
東京育ちの野菜も新鮮な状態で簡単に手に入りましたが、今はプレミアム野菜としてスーパーの片隅に美しすぎるように並んでいます。
 
こんな時代が来るとは・・・思ってもいませんでした。
 
先日、ある大学が主催する特別講演会に参加してきました。

「タンパク質源の新世紀~私たちは新しい食とどう向き合えばよいのか?」と題して、宮城大学 食産業学群 石川伸一教授の講演。

最近話題になり語られている「100年後の人は何を食べているのか、未来の食は?」でも有名な石川先生。
先生は「食べることの進化史、培養肉・昆虫食・3Dフードプリンタ(光文社新書)」の書籍でも知られている方です。
 
今回は、フードテックの進化予測や未来の食を考えるフレームなどから「私たちは新しいタンパク質とどう向き合えばいいのか?」についてお話を伺いました。
 
フードテックとは、代替肉や陸上養殖魚等を研究して、世界的に深刻化する食糧問題を解決しようとする最先端のテクノロジーのことだと言われています。
このフードテックと呼ばれる新しい技術が食の分野にも新たな価値を引き起こしているというのです。
(正直、細胞レベルの研究とハイテクの話は、私には難しかったので詳細は省略させてください)
 
大豆タンパクを肉のように見せて整形した食材は、肉が食べられない人に対して有用で、すでに身近に出会うことがあります。

また、摂食嚥下が困難な病者さんや高齢者の方には、例えばそのままでは食べにくい握り寿司を、増粘剤を使用して3Dプリンタで食べやすく加工して作り、食べる楽しみを広げることはとても大切です。

しかし、自然の食品を調理して食べ栄養を頂くということを当たり前のように学んできた私には、3Dプリンタを使って肉の培養細胞を組み合わせることで「ステーキ肉」を作るというのは、なかなか受け入れ難いものがあります。

さらに近い将来、3Dプリンタの技術で各種食材をもっともらしく作り、かつ直ぐに食べられる状況に作っていくというのですから、いささか気持ちが付いていけないのが今の状況です。
 
先生の研究の中で「3Dプリンタで作った加工肉のステーキを食べたいですか?」の質問に対する回答では、食べてみたいは30%くらいらしいのです。
30%もなのか30%しかいない、なのか?理解も難しい状況です。
 


早々この話を私の方から30代の若者等数人にぶつけてみました。

「すごい、食べてみたい。興味あるなあ。料理作らなくてよいし。」
「いいと思う、形も色も味も食感も好みに加工できるなら食べてみたい」
「そうすると100年後は、逆に現代の手作りのステーキや肉じゃがや黄金色に焼いた秋刀魚が、超プレミアムな料理になるのだね、きっと」
との声が・・・。

なるほど。いろいろな意見があるものです。
 


そういえば100年前の人が、100年後に現代のような食事事情になっているとは誰が想像できたでしょうか?

食糧事情が変わっても、食べる人の感覚はいつになっても変わらないと、私は信じ込んでいました。

時と共に、食べる人間の価値観、からだの変化、心の変化も大きく変わっていくのですね。

ならば、最新のテクノロジーの研究を知って理解しておくことも必要なのかもしれません。
 
そう考えれば、100年後に培養肉の肉料理を普通に食べているのも不思議ではないのですね。

ジューっと肉を焼く音、焦げ、味付けは再現できても、焼き肉の香や煙等どうなるのでしょうか?

煮物の出汁の香りとふつふつと煮える煮物の調理の雰囲気が、美味しさのひとつと考えている私には、なんだかそうなることが少し怖い感じもしています。
そして調理技術は何処へ。
 
まあ、100年後に現代の普通の料理がプレミアムになるのなら、今の食材と料理、調理技術だけはやはり記録と技術としてしっかりと残しておきたいと思いました。
 
 
今回もありがとうございました。

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