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新入職員や若手スタッフに読んでほしい一冊

今日はもうすぐ4月ということで、新入職員や若手スタッフに読んでほしい一冊を紹介します。

藁を手に旅に出よう “伝説の人事部長”による「働き方」の教室/荒木博行
です。

この本のオススメポイント

新入職員サカモトたち同期が受ける人事部の石川さんの研修を受けるストーリーなのですが、その研修でとても勉強になることが紹介されています。また、サカモトたち登場人物もそれぞれ色々な人が共感するような悩みを持っています。新入職員や若手スタッフにとっては早いうちに聞けるといい話がたくさんある本です。

私も働いて16年、ベテランと呼ばれる世代になってきますが、私の同世代でも職員の教育に役立つ話が沢山あります。もちろん、改めて言われて気づく内容もあります。

私の思うこの本の良いところは、
•昔話や寓話をテーマに視点を変えたものの見方、幅広い視点を与えてくれる。
誰もが知っている話とよく教わる教訓に対して、視点を変えることで別の教訓が見えてくる。
•よく直面する課題が取り上げられており、共感できる部分が多い。
私も「あった、あった。」とか、「今そんな感じかも。」とか思いながら読みました。
•ストーリーになっていて、感情移入しやすい。
登場人物のタイプも多彩で自分と似たような登場人物がいる。

後書きでは主人公のサカモトは著者の新入職員時代、石川さんは現在の著者と重ねていると書かれており、その辺りも共感やリアリティーを感じる内容になっている気がします。

ストーリーの紹介


この本は全部で12個の話からできています。

その中で特に私自身面白かった、伝えたいと思った内容を紹介します。
一つはオオカミ少年です。
あの「オオカミが来たぞー」ってやつですね。
多くの人がすぐ思いつく教訓は「嘘をつくと人の信用を失って痛い目に合う」ですね。サカモトたちも同じ答えでした。
そこに石川さんは違う視点を与えます。
村人の視点です。
嘘をつく少年になぜ羊の番をさせたのか?
結論から言うと、リスクを甘く見積もっていたからです。
実際にオオカミが来るなんて全く思ってなかったから嘘をつく少年に任せていたと考えられます。
でも、万が一が起きて羊が全滅。
さぁ、結局一番痛い目を見たのは誰でしょう?
という話でした。
この話の面白いところはリスク管理における
リスク=重大さ×起きる確率
がオオカミ少年に隠されていたということです。
もしかしたら村人はヒヤリハットに上がらないレベルで考えていたのかもしれません。
でも、隣の村の人たちはこれを教訓に羊番は重要な仕事として扱うでしょう。

もう一つは北風と太陽です。
北風と太陽が旅人のコートを脱がせる対決をするというやつです。
北風が強い風を吹かせてもコートは脱がせられず、太陽が照らすと暑くてコートを脱ぐというやつですね。
北風はコートを脱がせる目的に対して風を当てる直接的な手段に出ました。一方で太陽は旅人の気持ちになって、太陽を照らし、コートを脱がすわけです。
ここでポイントなのは太陽は相手にコートを脱ぐ意味を作ったところです。
これ、子どものリハビリにすごくハマるポイントだと思います。子どもはこちらがやって欲しいことはやってくれません。でも、面白いとか動きやすいとか世界が広がるとか子どもたちにとって意味のあることには応じてくれます。
そしてただやらされただけのことは身につきませんよね…。
なので、ビジネス的に表現すると個人的に「練習してほしい内容をどう魅力的に子どもにプレゼンするか」が大事だと思ってます。

感想

今回、この本を読んで良く知っている物語の見方を変えると違う意味が見えて来るというのが面白かったです。子どもの頃から馴染んだ教訓に対して本当にそうかと、クリティカルシンキングを行うきっかけになります。
私は主人公のサカモトたちと同じように研修を受けた気分で読みました。あぁ、こういう時あったな、とか大事なことを素通りしてきてたな、とか自分自身の経験と現在の状況を振り返ることが出来ました。
今回紹介しなかった話で「すてきな三人組」と「レンガ積み職人」の話があります。これは自分自身がどんな世の中を目指すのか、自分の仕事を通して何を実現したいのかといった話でした。
これはまた別の機会に少し紹介しながら自分自身のお話をできたらと思っています。

私がこの本をオススメするとしたら、今の仕事にモヤモヤを感じている、この先何をしようか考えているキャリアの節目に差し掛かっている人、後輩指導や教育に関わる人、働き始めたばかりの人にオススメしたいです。
人に伝える伝え方、自分自身の考え方と置かれた状況で応用のきく分かりやすくとても読みやすい一冊でした。

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