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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、… もっと読む
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Naked Desire〜姫君たちの野望

「なになに……うわぁ、なんなのこれ?」私は、見ている風景が、どす黒い雲で覆われる感覚に襲われると
「はいはい……げっ、なにこれ……」と、フリーダの身体が硬直し
「ねえ、いくら何でもひどくない、これ……」抑えた口調で話すアネットだが、彼女の全身からは、苛立った憤りがわき上がるのが見て取れる。
私たち3人の目に飛び込んだのは
「『神聖』なる帝国の皇女達の、ふしだらな異性関係」
というタイトルのゴシップ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-36

「あなた、この国の皇女ってわかってる? それもただの皇女ではなく、高い皇位継承権を持った皇女である立場なの。そんな人間が、公衆の面前で暴漢に襲われた。それが原因で、護衛の人間が責任を問われ、その座を追われるかもしれないということを、マリナはどう考えるのよ?」
言葉遣いこそ丁寧だが、その口調は、反論を許さないといわんばかりに冷徹だ。そう、彼女は職務のためならば、悪魔にもなれる

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−35

「ハッハッハッハッ。エルヴィラ殿下、それは災難でしたなあ」
その男はコーヒーを一口飲み下すと、声をあげながらも、屈託のない笑みを浮かべた。
「笑い事じゃありませんよ、アダルベルト事務局長。一歩間違えていたら、私は殺されていたのかも知れないのですよ」
私は、正面に座っている男性に抗議すると、彼は即座に「おおこわ、そんなに怒らなくても」と、小声で呟いた。
男性の名前はマルティン

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−34

「クラウス、ランペルツさんが来ていないんだけど、あなた事情を知ってる?」
アルマの愚痴を聞いた翌日の朝10時前、クラウスは挨拶もそこそこに、エルヴィラに呼びとめられた。
昨日のやりとりを彼女にいったら、面倒な事態になるのは明らかだ。クラウスは即座に、誰にも言わないことに決めた。
「あの人、まだ来ていないんですか?」クラウスは素っ気ない口調で返事する。
「今日は9時Inなのに

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−33

首都グラーツにある大学の学生は、全員がグランゼコールに通うと信じて疑わない。アルマの無邪気さに、クラウスは目眩を覚えた。
しかしそんな感情を、普段から世話になっているアルマにぶつけるわけにはいかない。彼は大きく深呼吸をした。
「どうしたね? あたしゃ、おまえさんの気を悪くするようなことをいったかい?」
「いいえランペルツさん。すべての大学生が、グランゼコールを目指していな

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−32

クラウスは、のそのそと立ち上がると、右手に汚れた布を掴んだ。
休憩室内のシンクスペースに移動すると、蛇口からぬるま湯を出し、ダスターを洗う。
手早く汚れを落とすと、サニタリー溶剤にダスターを浸し、再びぬるま湯ですすぐ。
ダスターを折りたたみ、テーブルについていた食べかすや水滴を丁寧に拭き取る。
「こんなもんだろ」
クラウスはダスターを丁寧にたたんでテーブルの隅に置くと、先

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−31

「クラウス──ッ、休憩だ。今から1時間。いってらっしゃい」
社員から休憩の指示が出た時、クラウスはちょうど、トースターのメンテナンスを終えたところだった。
会社は、店で働く店員全員に対し「クレンリネス」の徹底が求めている。店員はちょっとでも時間が空くと、ダスターで汚いところを清掃する。食中毒防止のためだ。
カフェ・ルーエ グラーツ総本店には、調理ラインが4本設置されている。

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−30

「ちょっと、私の話を聞いているの! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット!」
エミリアは私を怒鳴りつけながら、グイグイとアタシの右手首を引っ張った。
彼女はさっきまで、アタシと向かいの席に座っていたはずだが、いつの間にか隣に移動している。呼んでも反応がないので、頭に血が上ったのは間違いない。
どうやら昔のことを思い出しているうちに、彼女の話を上の空で聞いていたらし

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第一章 心の壁−29

「ちくしょう……これじゃ、エルヴィラの方がまだマシだわ。私ってバカよねえ。本当に人を見る目がない。宮廷で生き残れるのか不安になってきたわよ! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット、あなたのために使った私の時間とエネルギー、今すぐ返して!」
エミリアは一気にまくし立てると、テーブルに突っ伏して号泣した。
「ごめん、ごめんよエミリア・パトリシア・クラリッサ・アリアンナ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−28

「お気に召したなら、新品買ってきてあげようか? 使いかけを他人にあげるわけにはいかないしね。タオルも、色違いのものでよければ、それと同じタイプのものがいくつかあるから、あげようか?」
とアタシがいうと、彼女は手に持っているチューブとタオルを見た。
「いいんですか? お姉様」
「いいのいいの」
「ありがとうございます、お姉様。それでは、両方ともいただきますね」
というと、義妹

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−27

「ほら、洗面台はこっちだから、さっさと顔を洗いなさい。私もメイクを直すのを手伝ってあげるから」
アタシがエミリアに声をかけると、義妹は力なく頷いた。
「メイク落とし、あなたは普段なにを使っている?」というアタシの質問に対し
「ミルク……」と、力なく答えるエミリア。
「うんわかった。ミルクタイプね」と言いながら、アタシは自室の化粧棚をかき回す。
ええっと、そんなのどこにあった

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−26

以前から、エミリアのことをよく思っていなかった皇帝付き侍従の一人が、皇帝にエミリアがそばに控えていない時に「エミリア皇女に乱心の気あり」と、あることないことを吹き込んだのである。
だが彼女がかわいい皇帝夫妻は、その意見に耳を傾けないどころか、その侍従をきつく叱責した。その侍従は左遷され、その話はそれで終わり……のハズだった。
だがエミリアを快く思っていない連中は、それでめ

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第25回 心の壁ー25

「構うものですか。本当のことだもん」アタシは、コーヒーをすすりながら言った。
「お姉様はよくても、ほかの人間はそうは思いません。ちょっとした一言で何もかも喪った事例は、枚挙に暇がないでしょう」
気がつくと、エミリアの口調はさっきまでの丁寧調から、ややきつい言い回しになっている。まずい、いささか調子に乗りすぎたか。
「ご忠告、痛み入るわ」
「反省のポーズだけならば、そこらの

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−24

「お姉様に、どうしても見てもらいたいものがあります」
義妹はそう言いながら、黒色のクラッチバッグから、一冊のファイルを取り出し、それを私の前に差し出した。
彼女のいわれるまま、アタシはそのファイルに視線を向ける。
「ま、立ち話も何だからさ、座って話そ」と言いながら、アタシは彼女に、執務室のソファに座るよう促す。「コーヒーでいいよね?」
「はい、お姉様と同じもので」エミリアは

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