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「いじめられる側にも原因がある」って言うけど、原因を言い訳にして、自分を正当化してんじゃないよ。

社会問題について考えるシリーズ2弾「いじめ」

いじめを苦に自殺をする子供達のニュースが毎日のように流れる。
自殺はしなくても、いじめで心を病んでしまったり、不登校になってしまったり、いじめの後遺症・トラウマを背負って生きている人達はもっと多い。

「いじめはいけないことだ」「いじめを厳罰化すべきだ」

様々な意見が飛び交う。
しかし、そもそもいじめはなぜ起きるのか?に対する答えを私たちは知らない。
学校の中だけでなく、会社だって、近所同士だっていじめはある。
いじめはなくす事はできるのか?
そこで今回はいじめ問題について考えていこうと思う。

いじめの定義  


『いじめとは、当該児童が在籍する学校に在籍している等、当該児童と一定の人的関係にある他の児童等が行う、心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものを言う。(文科省ホームページより)』

いじめは「強制わいせつ」「傷害」「暴行」「強要窃盗」「恐喝」「器物破損」等に抵触する可能性のある行為である。

「小児期に同級生から受けたいじめは、大人から受けた虐待よりも児童に深刻な精神的悪影響を及ぼす可能性がある」という研究結果もある。
詳しくは→(https://medley.life/news/554b40fce7880cfa0070300e/


いじめの現状

・小中高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は 323,808件(前年度 225,131件)
・児童生徒1000人当たりの認知件数は23.9件(前年度 16.5件)

→認知件数が上がったからと言って「いじめが増えた」訳では無い。
「いじめへの認識が高まり、いじめを告発しやすい環境になってきた」こと、「国から自治体へいじめへの対応を強化するよう圧力がかかっており、『いじめの報告件数が多い=いじめへの対応をしっかりしている』と捉えられているため、数を稼ごうと必死」なこと、などが関係している。

実際に、5年前は都道府県別1000人あたりのいじめ認知件数は最大で83倍もの差があった。
今は最も多いのは京都府の96.8件、最も少ないのは香川県の5.0件で、19倍ほどの差になったが、文部科学省は認知件数の少ない自治体にヒアリングを行うなどして助言することも検討している。

ネットいじめ


ネットいじめ(パソコンや携帯電話等で誹謗中傷嫌なことをされる)の特徴

Twitter の鍵付きアカウントLINEのグループトークなど、ソーシャルメディア特有の閉鎖性があること。

②しかし同時に、 SNS 上で写真や情報が不特定多数の他者に向けて拡散されていくこと。

③ネットいじめは場所と時間を問わず行われるため、被害者の逃げ場がないこと。

「既読無視」などがきっかけでネットいじめの被害にあう事を避けるため、常時ネットへの接続を止められなくなった子供たちが、ネット依存に陥っているという指摘もある。


いじめの対処として学校に求められること

①事例研究やカウンセリング演習など、実践的な内容を持った校内研修を積極的に実施し、いじめ対応ができる準備を整えておくこと。

「いじめは人間として絶対に許されない」という意識を1人1人の児童生徒に徹底させる教育と学級経営を行うこと。

③いじめがもし起きた場合は、関係者への聞き取りに基づき、いじめ加害者への指導といじめ被害者へのケアを行うこと。
いじめ加害者を叱るだけでなく、「なぜ加害者になってしまったのか」の追求とケアも大切。
いじめ加害者も不満や問題を心に傷を抱えている場合が多い。

④いじめを継続させないための柔軟な対応(学級編成や通学する学校の変更等) を行うこと。

⑤いじめの早期解決に向けて「児童相談所」「警察」「地域の関係機関」と連携・協力すること。

大津いじめ自殺事件

2011年10月11日、大津市立中2年男子が自殺

①学校や教育委員会の隠蔽体質が問題に(黒塗りのアンケート
→賠償責任というジレンマ

・学校側で内部調査をして報告をしなければいけないが、いじめが発覚したら被害者が国や市町村学校を相手取って裁判を起こす。
・校長は学校の不祥事だと思って隠そうとする。

→自分達の首を絞めることになるので調査は進まない。
(今は第三者機関が調査する体制に変わってきている)

②この事件をきっかけに、
「教育委員会のあり方の見直し」
「いじめに関する第三者委員会の設置」
「いじめ防止対策推進法の制定」
「道徳教育の特別教科化」
といった『日本のいじめ対策の大きな分岐点』になった。


③全校生徒8割近くがアンケートに記入し、「蜂の死骸を食べさせられていた」「手足を縛られてズボンを脱がされていた」など200人近い証言が集まった。
→教師も含む多くの人が何らかの形で見たり聞いたり気づいたりしていたのに、何故何もしてあげられなかったのだろうか?

感情と雰囲気の関係

感情は、空間的な広がりを持つ雰囲気である(ヘルマン・シュミッツ.哲学者)

一般的に感情は体の中にあるものだと思われているが、
人は皆、目には見えないが、感情を『雲』の様にモクモクと出していて
それぞれの感情が混じり合って「場の雰囲気」や「空気」と呼ばれるものが作られ、その雰囲気や空気にお互いが影響されている。

テストがピリピリしたり、お祭りやライブイベントは賑やかで楽しく感じたり、お葬式は神妙にするのも、空気に飲まれているから。

先生も、児童生徒の作る空気に飲まれてしまうが、先生は学級の雰囲気をコントロールできなければいけない。

いじめと雰囲気の関係 いじめ理論

スクールカースト(教室内ステータス)
リア充系、フツメン、オタク系などと言った、グループのキャラが固定化し、教師もそれを利用するのが当たり前になってしまう。


優しい関係
常に空気を読み、相手に繊細な気配りをする関係。
いじることで息苦しさから逃れようとする。
常に色々な所に気を配るのが面倒なので、1人ターゲットを決めて『かごめかごめ』みたいに1人にみんなが向くようにいじり、いじめをする。
→その方が楽だから。

いじめの主導権を握っているのはいわば場の空気であって、生徒たちは誰もがその駒の1つに過ぎない。

群生秩序
その場の雰囲気が善悪の基準となるようなあり様。
例:友達にあの人嫌いと言われると移ってしまう。

だからいじめも雰囲気という観点から見直すことができる。

いじめは幼稚園から大学、ママ友、職場、高齢者施設や職員室内でも起こるもので、根絶するのは難しいかもしれないけど自分の周りからなくすことはできる。

学級タイプといじめの関係

満足型学級
親和的なまとまりのある学級集団。
子供たちが自主的に活動し、学級全体に活気が見られる状態
いじめは起きない。

管理型学級

硬さの見られる学級集団。
一見落ち着いて見える反面、子供達の人間関係が気薄になっていると想定できる。
「先生にやらされている」「先生が怖くてやっている」
みんな先生にビクビクして、常に先生に注目しているから、生徒同士の横のつながりが少ない。

馴れ合い学級

緩みの見られる学級。
のびのびしているように見えるが、学級のルールが低下し、教師が子供になれあって友達のようになっている。
「叱らない優しい先生」
誰だって嫌われたくないし、子供を叱りたくないけど、それは「先生としての責任」から逃れていることになる。
→いじめが起きても見て見ぬふりをしたり、いじめに加担したりする。

荒れ始め学級

管理型、馴れ合い型の状態から具体的な対応がされないと出てくる学級。
上記の型のプラス面が徐々に喪失していき、教師はリーダーシップを発揮することが難しくなり、子供たちの間に攻撃性が目立ち始める。

先生は怖くも、きちんともしていない。
同じことをしたら同じ対応しなきゃいけないのに、人によって態度を変えて、一貫していない。
→生徒も先生を信用しなくなる。

本当にいじめに理由はあるのだろうか


教室や学級集団の雰囲気・空気に飲まれると、はっきりした自分の意思が動き出す前に、『なんとなくいじめに加担する』ことになる。

被害者に対して、「なんかイライラして」「なんか嫌い」になる。

なんとなく人をイライラさせるタイプの被害者かもしれないし、見るだけで嫌な思いをさせられたり、漂ってくる臭いに苦しめられることもあるかもしれない。

いずれにせよ、私たちは
『雰囲気に突き動かされて無自覚的に無責任にいじめをしている』のではないか?

教師にも同じことが言える。
教師もなんとなく、いじめを見て見ぬふりをしたり
いじめではなく「喧嘩」や「遊び」だと思おうとするのではないか?
(喧嘩はお互いが対等の関係であるが、いじめはどちらかが明らかに弱いもの)


理由はみんなあとづけなのでは?

『いじめられる側にも原因がある』とよく言われるが、その原因を言い訳にして、いじめをして良い訳が無い。
いじめの主導権を握っているのは「場の空気」であるから、その空気を変える努力を「生徒各々」「先生」が出来るはずだ。

もし、あなたの近くの人がいじめで悩んでいたら、その人のために「空気を変えるアクション」を起こしてみよう。
行動するチャンスは今しか無いのだから。

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