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インターメディアテクと恵比寿映像祭で、良きかな。


2024年2月17日(土)

今日は寒かった。
昨日より更に。
急に暖かくなってブツブツ言ってたら、また寒くなってブツブツ言う。
浅はかで都合の良い自分が嫌になり、お天道様に申し訳なくなる土曜日。

淡々と家事をこなし、外出。
染み抜きは諦め時が分からない。

東京駅のインターメディアテク(東大と日本郵便がやってる博物館)で『魚学コトハジメ』を見る。
インターメディアテクってどの程度知名度あるんだろうか。
無料だし、上野の国立科学博物館よりずっと気軽で良いと思うんだけどな(そもそも展示の意図が全然違うから比べるものでも無いことは承知しつつ、方向性が似てるもの同士として)。
ここに5人ぐらいで行くツアーとか企画してみようかな、などと考える。

子どもの頃から魚好きで、元々魚の研究してた身として、『魚学コトハジメ』は刺さりまくりだった。
岸上鎌吉という日本の魚学の始まりを担った研究者の史料の展示なんだけども、𠮷川繁蔵という謎の画家が絵を描いてて、それが誠に美麗。
岸上鎌吉自身も四条派に学んだらしい。
朝ドラで牧野富太郎ブームになって植物画が注目を浴びたけども、次は魚画だーとか思う。

牧野富太郎が独学であの美麗な絵を描いたのに対し、岸上鎌吉が四条派という正統な日本画の技術を身につけていたのが面白いなぁと思った。
調べると、二人は同時期に帝大(東大)で勤務している。
もしかして、朝ドラ「らんまん」に登場した海洋生物(だったか?)の研究者は岸上鎌吉か?
ちなみに「岸上鎌吉」の読み方は「きしのうえかまきち」だと、今調べて知った。
展示の間はずっと心の中で「きしがみけんきち」と誤読したおしていた。

元々ずっと日本画が好きで、四条派と円山派を混同するレベルの中途半端な知識がある(詳しい人に言わせれば、それは知識が無いに等しいことだろうけども)。
そのせいで、四条派に学んだと聞くと、なんだか「ちゃんとしてる」と思ってしまう。
牧野富太郎みたいな独学の人と比べて、優劣を付けてしまっている自分に気付く。
もちろん知識は大事な道具ではあるけれども、自分の美術を見る目には権威で曇ったメガネがかかっているようで、また自分が嫌になる。

東京都写真美術館(都写美)の恵比寿映像祭へ。
去年の夏、学芸員実習で10日間都写美にお世話になった。
それ以来、初の恵比寿映像祭。
実習の際に、都写美の方々の想いや恵比寿映像祭の裏側の話を聞いていたので、また今までとは違った気持ちで祭を楽しんだ。

「映像」祭とは言ってるけども、都写美内の展示は映像以外の作品(写真やインスタレーション、絵画)も半分ぐらいある(一応数えた)。
それでも映像祭という名前にこだわっている所に、美術館が大事にしている姿勢を感じる。
そこがブレてはいけないんだろう。
でも「映像」という名前のせいで避けている人がいたらもったいないから、たくさんの人に届くと良いなぁと思う。

色んな人に会った。
何かに引き寄せられたかのように、集っていた。
こういうのが、いい。

駅から都写美に向かって歩いていると、Aokidが座っていた。
学芸員実習の時にも会った。
わざとらしく前を二度通過して挨拶してしまい、恥ずかしくなった。
入口の脇で大木さんと酒井風くんが座り込んでビールを飲んでいた。
ヤバかった。
会田家(会田さん、岡田さん、寅次郎くん)がいた。
木曜日のイベントで一緒になったエンニュイの青木さんもいた。

しばし見た後、去年美学校で知り合った大石さんに会った。
恵比寿映像祭、すごく良いと感激した様子で話してくれた。
初めて来るらしい。
何度も来ている自分は、彼女が味わった初めての感激をそのまま受け止められなくて悲しい。
初めてのようなリアクションをしようかと思ったけど、嘘をつくのはやめた。
また初めて来てみたいと、永遠に叶わない願いを抱く。

誰かと飲みに行きたい気分だった。
でも最近は極力飲みに行かないようにしているので、大人しく帰った。
それでも、良い展示と良い出会いに、心は昂揚していた。

帰宅して、手羽元をトマト缶で煮込んだスープを作った。
昨夜もほとんど同じメニューを作ったんだけれども、昨夜より味付けが上手くいかなかった。
時々上手くいかないことを楽しみながら、色々やっている気がする。
ワインを飲みながらワインを入れて作ったそのスープを、ワインを飲みながら食べた。

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