あぁ、なんて素晴らしいサンドイッチ。こうして、味、見た目の理想的な、雰囲気を纏った一品をつくれた時にはとっても嬉しい。

映画『シェフ〜三ツ星フードトラック始めました〜』から連想する料理

『グリルドチーズ・バナナサンド』は、その存在をすっかり忘れたころに食べたくなるオリジナルレシピ。

映画『シェフ〜三ツ星フードトラック始めました〜』から連想する料理だ。

映画には、バナナは入っていないシンプルなチーズサンドが登場する。

主人公のシェフが息子のために手際よく仕上げる様が最高にワクワクする。バターが溶ける画、バターをパンにぬるザザッという音、鉄板の上でサンドイッチを踊らせるようなシェフ・カールキャスパーの手捌き。最後にナイフを入れる瞬間の音とチーズがとろける断面には、ドキドキという胸の高鳴りを感じてしまう。

映画の中の料理は“みんなの理想”

「映画の中みたいにつくるにはどうしたらいいの？」

当時、夢見がちな小娘だったわたしは、主人公に憧れて、恩師に聞いてみた。

「あれは、映画用の動きだよ。みんなの理想を表現してるの。ただ、この手捌きだけは相当、練習してると思うけどね。」的な返事だった。

それを聞いてがっかりもしたけれど、ますます映画を好きにもなった。

この映画について散々調べたら、確かに、『グリルドチーズ・サンド』を美味しく見せるための特訓に力を入れていたらしい。

プロに手の動きやヘラを持つ角度、パンの焼き目を見る時の目線に至るまで指導してもらっている様子を特典映像で見ることができた。

もちろん、この映画の料理シーンは全部、そんなふうに美味しく見せる努力がされていた。

“みんなの理想”を表現できるって、なんて素晴らしいんだろう。そうして、わたしは、映画にも理想的な見た目のお料理にもハマってしまった。

映画の中に観る世界は現実ではないと分かっていながら、いつまでもその世界観を追いかけてしまう。

この映画に影響された人は、肌感覚的にもかなり多そう。キューバサンドイッチ屋さんになった人、フードトラックを始めた人、アメリカに移住を決めた人、レストランで働くきっかけになった人、カフェを開業した人、美味しい映画を撮る人。

一本の映画から、人それぞれの影響の受け方をして、それぞれの人生に繋がっていくというのがロマンチックだ。

「映画のどの部分に惚れたんですか？」この映画に感化された人たちに、いつか聞いてみたい。

映画『シェフ〜三ツ星フードトラック始めました〜』が好きというだけで、（きっと、いい人だ）と思ってしまうのだから共通点って不思議な作用がある。

あぁ、やっぱり映画って素晴らしい。

よかったら、映画を観ながら、『グリルドチーズ・バナナサンド』にトライしてみてくださいね。

グリルドチーズ・バナナサンドの作り方

【作り方】
①６枚切りの食パンにチーズとバナナ、蜂蜜かメイプルシロップを挟み、パンの表面にはバターを塗る。

②大きめのフライパンにバターをひとかけ溶かして、ヘラで押さえつけながらパンの両面をこんがり焼き上げる。

③スプーン１杯ほどの水を回し入れ、蓋をして中のチーズを溶かす。

④中のチーズがとろけてきたら、最後に焼き色をチェックして、完成。

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子供の頃から映画味魅了されたわたしは、大人になって、「食でストーリーを伝える」フードアーティストになりました。

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それでは、今日はここまでです。明日もいい一日にしましょうね。

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2024/03/12
小山嶺子（シネマンマ）