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プラピルーンは雨の神

 台風に名前をつける。ちょっと不思議な感じのするこの行為は、これから災害をもたらすかもしれないものに名前をつけて、災害に対する意識を高める意味があるらしい。
 

台風には従来、米国が英語名(人名)を付けていましたが、北西太平洋または南シナ海で発生する台風防災に関する各国の政府間組織である台風委員会(日本含む14カ国等が加盟)は、平成12年(2000年)から、主に下に記すことを目的として、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には、同領域に共通のアジア名として、同領域内で用いられている固有の名前(加盟国などが提案した名前)を付けることになりました。

・国際社会への情報に台風委員会が決めた名前をつけて、それを利用してもらうことによって、アジア各国・地域の文化の尊重と連帯の強化、相互理解を推進すること
・アジアの人々になじみのある呼び名をつけることによって人々の防災意識を高めること

国土交通省 気象庁HP より

 
 そう、昔、歴史で習った台風の名前は「カスリン」とか「ジェーン」とかアメリカの女性名でした。
 これは、この台風被害があった昭和23~25年(1947~50年)当時は日本がアメリカの占領下にあり、気象業務も米軍と共同で行われていたため、番号ではなくアメリカ式に「ジェーン」などと呼ばれたから。
 これを聞いた時、アメリカの男の人も女の人には頭が上がらないんだな、と思っておかしかったです。台風ガール!通りすぎるのを、ただ待つしかない(笑)

 
 なお、米国による日本占領は、1945年9月2日に米戦艦ミズーリ号上で行われた降伏調印式から、サンフランシスコ講和条約が発効する52年4月28日まで、6年8カ月もの長期に及びました。
 たまにアンティーク屋さんなどで、お皿などの食器の刻印に「Occupied Japan」の表記を見かける事があります。この時期に日本で作られたものだということなんですね。

平成12年の台風第1号にカンボジアで「象」を意味する「ダムレイ」のアジア名が付けられ、以後、発生順にあらかじめ用意された140個のアジア名(下の表のリスト)を順番に用いて、その後再び「ダムレイ」に戻ります。台風の年間発生数の平年値は25.1個ですので、おおむね5から6年で台風のアジア名が一巡することになります。

同上より引用

台風名のリストは下記よりご覧ください。

 
 
 様々な国の台風の名前を見ていると、その多様性と豊かなイメージに、その国の花が咲いている景色だとか、魚や鳥のいる風景を、お菓子や神様の名前からは人々の暮らしを、想像してしまいます。
 フィクションを書いているnoterさんならきっと、このリストを見ているだけで、物語を作ってしまうんじゃないかな?

140個のアジア名のうち日本からは、星座名に由来する名前10個を提案しています。星座名を提案した理由として、特定の個人・法人の名称や商標、地名、天気現象名でない「中立的な」名称であること、「自然」の事物であって比較的利害関係が生じにくいこと、大気現象である台風とイメージ上の関連がある天空にあり、かつ、人々に親しまれていることが挙げられます。また、アジア名として採用するには、文字数が多過ぎないこと(アルファベット9文字以内)、音節が多くなくて発音しやすいこと、他の加盟国・地域の言語で感情を害するような意味を持たないことなどの条件もあります。

同上より引用

 
 他国のことをお互いに思いやって、つけられた名前なんですね。台風は空で発生して、どこへ行くかはわからない。災害をもたらすかもしれない自然の脅威を、せめてそれぞれの国の言葉で名前をつけることで、被害が最小限であるように、誰の命も奪われることの無いようにという、願いが感じられます。

なお、台風のアジア名は繰り返して使用されますが、大きな災害をもたらした台風などは、台風委員会の加盟国・地域からの要請を受けて、そのアジア名を以後の台風に使用しないように変更することがあります。また、発達した熱帯低気圧が東経180度より東の領域から、または東経100度より西の領域から北西太平洋域に進入してきた場合には、各領域を担当する気象機関によって既に付けられた名前を継続して使用します。このため、下の表に記されない名前が付けられた台風もあります。

同上より引用

 
 それでも、人の力が及ばないほどの強大なエネルギーは、時に私たちの生活、暮らしを脅かすことがあります。
 特に最近は毎年のように、多大な台風被害が各地で起きています。
 これから台風や大雨が多くなるシーズン。
 日ごろから地域で助けあって、いざという時に声をかけあえる、不安な時はお互いに寄り添って行動できる、そんな世の中に少しずつなればいいなあ、と願っています。
 

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