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案件概要書(IM)の意義-その2|M&Aアドバイザーの基礎知識㉔

こんにちは。かきもとみさです。私はM&Aアドバイザーの仕事をしています。

前回に引き続き、案件概要書の意義について、今回は別の視点から書いてみたいと思います。

前回記事はこちら。

売主社長が会社を客観的に見れる

私は、売主社長から事前にもらう情報を基にIMの骨子を作成してから、IMの内容を充実させるために売主社長にビジネスについてのヒアリング面談を行います。

そのときに、売主社長と一緒に「どんな買手が候補として考えられるかな?」とか「どう伝えたら買手候補に魅力的に映るかな?」とか、いろいろと試行錯誤します。

このプロセスが私は非常に!ものすごく!重要!と思っています。

とくに、創業社長でひとりで数十年も経営をしてきた社長さんは、自分のビジネスを客観視するということに慣れていません。

なので、自分の会社の特徴や他社との違いも分かっていないことがあります。自社の強みに気づいていないケースもあります。

そして、案件概要書に記載する際に、ときに「抽象度を上げる」ということもこちらが行うので、「言われてみれば、そういう見方もあるなぁ」と初めて客観的な視点になって会社を分析できるようになったりします。

簡単な例ですと、「ステンレス加工」専門の会社として、ステンレス加工に関心のある会社が買手候補として想定していたけど、製造技術的には、「ステンレス加工ができるのだから、金属加工は幅ひろくできる」ということは、金属加工のニーズがある買手候補には幅広くアプローチできるという視点を持つというイメージです。

そうすると、ステンレス加工のニーズのある顧客だけにフォーカスしていたのが、今度は鉄やアルミの加工まで領域が拡大できる可能性があります。

これがM&Aによって実現できると、当初はステンレス加工技術を求める会社として買手像を描いていたものが、もっと広い可能性を探ることができるようになってきます。

このようにして、具体度と抽象度の度合いを行ったり来たりを一緒にしながら、M&Aでどんな可能性があるのかをたくさん考えていくことによって、社長の頭の中がいろいろと刺激されてくるはずなのです。

こちらは正直、そのビジネスにおいては素人ではありますが、素人であるから良いのです。純粋に「どうやって売り上げが上がるのか」「だれが顧客なのか」「どうやったら収益改善できるのか」という純粋な疑問や質問をどんどん社長にぶつけながら、社長に小学生でもわかるように説明をしてもらって、それを通してアドバイザーがビジネスモデルを理解するととともに、いろんな可能性を探っておくべきだと思うのです。

この思考のふろしきを広げる作業を行わずに、「財務諸表だけ出す」みたいな準備で売却案件を始動すると、社長の頭の中も可能性をひろげられないですし、うまく買手に求める姿も描くことができないのではないかと思います。

事前に思考の体操をしておくような感覚で、案件概要書を丁寧に仕上げて上げるプロセスで、「いままでひとりでやってきたビジネスを、第三者に魅力的に説明する」という、「これまで使ったことが無かった筋肉を使う」みたいなことをすることが大事なのではないかと思います。

この準備運動をすることによって、第三者承継の協議をこれから行っていくのだということじんわりと売主社長にも実感し始めてもらうことができると思います。

M&Aは明るい話ばかりではありませんが、長期戦になることが多いですから、序盤できちんと理想像を鮮明にしておくというか夢を描くことも重要です。

そもそも廃業ではなく可能なのであればM&Aをしたいということを決意されたわけですから、「願わくば良い継承先を見つけたい」ということは思うでしょう。

序盤でM&Aという一大プロジェクトの目指すべき姿や可能性についてを鮮明にしておくプロセスの一環として、案件概要書の作成が役に立つのではないかと思います。


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