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背中シリーズ

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背中を題材にした詩文をまとめています。 背中に書いてあることは、ひとそれぞれ違っていて、それぞれが美しい。
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背中【One Two Three】序章

背中【One Two Three】序章

目でなでたのは
大切なお花です

だれもが心に花を咲かせて
大切に咲かせて

このときを生きて
今しかない
このときを生きて

ささやかな願いに
花の美しさを重ねて

はかない夢とあきらめることもあったけど

そろそろ手を離そう
そのままが美しいと気がついて
丸めた背中を
丸めたままでもいい

背中で踊ろう

いいんじゃない
できないことも
できないときも
ただそこにあるというだけ

今ここで生き

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かんちがい

かんちがい

かんちがい

おもいちがい

あいみたがい

すべて必要なもの

かんちがい

ときに知恵を生む

おもいちがい

ときに思いやりを生む

そうだったんだね

いま気づいたよ

それが
あいみたがい

ずっと見守っている
その背中

ひとりではないよと
たとえばぼくが
この世界のさいごのひとりになったとしても
きみにいう

背中シリーズ

背中【One】

背中【One】

隠せない想いを恋心という

滴りおちた涙の雫の
川から海へと流れてやがて
大空へと帰っていくこと

あなたの涙はそのまま心だった
それは決して隠せない美しさで

心がこぼれた

隠せなかった

隠せないあつい想いを恋心という

言葉が命を与えた清浄な
森の空気のような
いつも在るのに
まるで見えずに透明な
それを恋心と名づけた

恋心とは木々の祈りだった

そう名づけたときから私は
あなたにじつは

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背中【Two】

背中【Two】

~恋のはなし~

ぼくは誰にでも恋をする

決まって背中に恋をする

大空にお日さまに雲に
ときには雨に
みずたまりに

大海原に
大河に
小川に

山に
高原に
森に林に木陰に
花畑に

美味しいお野菜に果物に
お肉、お魚、御飯、水、
パンにコーヒーに

たくさんの食べものに感謝して
たくさん恋をする

生きているものほとんどに
岩に石に鉄に
絵の具にペンに楽器に
生きていないようでも
じつは生

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背中【Three】

背中【Three】

背中に何がかいてあるのか
見聞きもせずに
人はひとを、そう決めつける

きみは言った

肩に花びらがのっている
はらりと落ちた花びらは
桜なのか桜ではないのか

幾千の道を走りぬけて
何度も何度も立ち止まり
つまずき転んで傷を負ったきみのその背中に背負う
不屈の二文字が見えてくる
くじけないことを課してきた
きみの背中に

傷ついたきみの心は
きみ自身なのかきみではないのか

自分で見えないという

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