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「エッセイ・俳句集 海を眺めていた」出版!

「エッセイ・俳句集 海を眺めていた」を上梓しました。
 現在、Amazonで発売中です。

 電子書籍:350円(kindle unlimited対応)
 ペーパーバック(紙本):880円
※お値段が高いですし、著者にとっても全然元は取れないのですが、それでも個人的に紙本をお勧めします!

 出版に至るまで、なかなか大変だった。Kindle本の作成方法について全く知識がなく、パソコンも苦手。そんな自分が一から作成するのは、想像以上に骨の折れる作業だった。特にペーパーバックは多くの時間と労力を費やした。外注をする人の気持ちがよくわかる。
 わからないことばかりで、Kindle出版に関する本を十数冊読んで、勉強しながら実践した。その結果、なんとか校正、デザイン、手続きなど、すべて一人でこなし、ようやく出版の日を迎えることができた。
 
 私は普段からショートスリーパーなのに、更に睡眠を削る日も少なくなかった。完成したかと思えば、文字が不自然な大きさになっていたり、位置がおかしなことになったり、誤植を発見したり・・・・・・。完成間際が一番、精神的に辛かった。神経質になってしまい、全然心にゆとりが持てなかった。

 そんな制作過程も出版してしまえば、よい思い出。今年最後の大仕事を成し遂げた気分になって安堵している。

 書籍の制作中、「この感覚、何かに似ているな」と思った。それは高校時代に、一人でレコーディングや編集してCDを作っていたときのことだった。

 あのときも、親友のHに、卒業式までにCDを渡す約束をしていた。そのために、たった一曲を何度も録り直して、編集にも相当な時間をかけた。CDのジャケットも自分で絵を描いてデザインした。深夜まで打ち込み、気付いたら朝を迎えている。そんなこともよくあった。

 卒業式の日を迎えると、CDを渡すことが急に怖くなってしまった。このCDで自分の音楽や夢が評価されてしまうのではないか。とても自信が持てず、恥を晒すだけな気がした。
 一方のHは、朝からニヤニヤして私に近寄ってきた。
「おい、早く名曲のCDをくれよ。いつか高く売るんだからさ」
 と、掌を胸の高さで上に向ける。
「それがさ、今日は家に忘れちまったんだよ。わりぃ。また今度渡すよ」
 私は咄嗟に嘘を言って、はぐらかしてしまった。一枚のCDが入った鞄を背負いながら。

 卒業後に彼に会うことはあっても、そのときに告げた「また今度」は、二度と来なかった。最期まで渡すことができなかったのだ。

 あのCDは誰にも公開することなく、もうデータすら残っていない。

「また今度」の代わりに、数年後にHの家族がわざわざ渋谷までライブを観に来てくれた。そのときに、渡せなかったCDに収録されていた曲を演奏すると、Hの親は顔をくしゃくしゃにしながら泣いていた。生前に、彼が私からCDをもらえることを嬉しそうに話していたそうだ。

 私の大きな後悔の一つである。

 でも今回は違う。Jさんに渡せなかったけれど、しっかり形にして人に届ける機会を得ることができた。
 もう恥ずかしくない。胸を張って出版したいと思う。


 さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回出版する書籍について、少し紹介させてください。

 今回の作品は、エッセイと俳句で構成されています。

 エッセイについては、このnoteで綴った記事の中から厳選して17篇を掲載しています。一つひとつの内容そのものは大きく変わりませんが、推敲を重ね、言葉や描写の表現などがいろいろ変わっています。
 もう読んだことがあるから、あるいはnoteで読めるから興味ないという方も、どのような編成でエッセイが組まれ、どのような表現が加わっているのか、読み応えの違いを堪能していただけるのではないかと思っています。

 俳句は、私がこれまで何年も続けて数千句と作ってきた中で、この本のコンセプトに合うものを40句選びました。
 ただ、俳句はある程度、鑑賞の仕方を知らないと楽しめないものです。ですので、そこもクリアできるよう、俳句を知らない方でも、できるだけわかりやすいものを掲載したつもりです。殆どがnoteでは未公開の作品なので、新鮮な気持ちで味わっていただけたら嬉しいです。

 表紙の写真は、ゆーさんに提供していただきました。ペーパーバック版ですと、裏面にももう一枚の写真があります。
 ゆーさんの感性豊かな、センスの光る写真に、たくさんのインスピレーションをいただきました。ありがとうございました。ぜひ、皆様にもお手にとって見ていただきたいです。

 また、エッセイの選定にあたっては、なごみさんにも助言をいただきました。その際には、とても親身になって読んでいただき、ご丁寧に温かい感想まで添えてくださいました。そのお心遣いに何度も励まされました。貴重なご意見をありがとうございました。

 このようにnoteを通して出会った方々に支えていただき、今回の本が出来上がりました。
 勿論、この記事を読んでくださっているあなたも、その一人です。
 本当にありがとうございます。

 感謝の気持ちを込めて、2024年1月1日 17時~6日 16:59の5日間、電子書籍を無料で販売します。
 ぜひ、この機会にお手に取っていただけたら幸いです。

 noteに出会えて、皆さんに出会えて、よかった。

 それでは、よいお年をお迎えください。
 来年もよろしくお願いします。

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