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コミュニケーション向上と学習性無力感 (vol 188)

コミュニケーションボード

設備メンテナンスのチームが、設備傍にトラブルの情報共有目的でホワイトボードを設置してくれました。従来は、メンテナンスの依頼を紙に書いて上長経由で伝達するやり方でした。小さなホワイトボード1枚のことですが、作業メンバーが直接記入して、メンテナンスのメンバーが直ぐに情報把握できると好評です。

部署間のコミュニケーションをもっとオープンに、もっと早く。関係者が直接情報交換できるように考えてくれたことに感謝しています。
現場の声を拾い上げることは重要だと、誰もが考えます。現場のチームメンバーにとっても歓迎され、お互いのリスペクト、信頼関係が向上します。

情報吸い上げの改善は、歓迎されているが故に、今まで隠れていた要求や期待も出てきます。情報発信が増えて、受止める側の処理量を超えてしまうことも少なくありません。
これに備えて、マネジャーは一歩先を考えておく必要があります。

情報を上げても、対応が遅れる、対応してもらえない、そんな場面が増えると逆効果です。「言っても仕方がない」「情報を上げるだけ無駄」と思われたらコミュニケーションが途絶え、以前以上に風通しが悪くなったりもします。

最近、勉強した単語ですが、
人は困難な状況に置かれたとき、その状況から逃れようと努力します。いろいろと試してみるという学習を通じて、「何をやっても無理、無駄だ」と感じてしまうと、困難の中の自分を受容れてしまい、無気力になってしまいます。そうなると、状況が改善できる方法が見えたとしても実行しなくなる。
こうした状況を「学習性無力感」と言うそうです。

コミュニケーション量を増やすと、情報処理や物理的活動の量が増えます。どの様に処理するか、改善が求められるのは当然ですが、物理的な対応や資源投入には限りがあります。どこかで需要と供給のバランスが崩れて、対処できない事や零れ落ちるものが出てきます。

そんな時に「学習性無力感」を防止する。それがフィードバックです。
要求に対する物理的な改善対応が直ぐにはできなくても、困っている状況の話を真摯に聴く、対応可否については「解決する」「今はできない」の説明だけでもよいので必ずフィードバックする。
要は、現場からの声をマネジャーが「放置しない」覚悟をすることです。

学習性無力感を起こさせないために肝に命じておいて欲しいことがある。
そんなリマインダーの社内ツイートです。

Thanks for installing the communication whiteboard to machines.
I expect that activities to pick up abnormalities and concerns found by TMs will help prevent problems.
Please encourage TMs to share information on any minor anomalies.
While gathering information, we management team should be careful not to let the TMs fall into a state of "learned helplessness.
If there is no response even if the feedback is done, people will give up escalating information.
Please be aware of the speed of support and feedback so that it does not happen.
===
Learned helplessness: When stress or a problematic environment continues, people start to think that they cannot change the situation, and even if there is an opportunity for change, they are not willing to try it.
設備へのコミュニケーションボードの設置ありがとう。
作業者が見つけた異常や懸念点を拾い上げる活動は、トラブルの未然防止に役立つものと期待しています。
どんな小さな異常も、情報共有できるように関係者の後押しをお願いします。
情報収集する一方で、作業者が「学習性無力感」に陥らないよう、マネジメントチームは気をつけて下さい。
情報の吸い上げをしても反応がなければ、作業者は情報を上げることを諦めてしまいます。
そうならないように、サポートする、フィードバックするスピードをしっかりと意識して下さい。
===
学習性無力感:ストレスや問題のある環境が続くと、自分では状況を変えることができないと考えるようになり、変化の機会があってもそれを試そうと思わなくなる状態のこと。

組織内のコミュニケーションを活性化しようとすると、最初は「不満の声」が増えることも多々あります。聴いた方が困ってしまうような情報も出てきます。
そこから逃げない、難儀な対応の壁を乗り越えなければ真のオープンコミュニケーションは望めないでしょう。

壁を乗り越える覚悟をマネジャーが意識するようになると強い組織になってくるでしょう。
時間はかかりますが、チーム一丸となれば必ず意識も上がります。

最後までお付き合い、ありがとうございます。

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