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#30 水分補給でストレスが緩和!?

みなさんは1日どのくらいの水分を摂っていますか?

これから夏が近づくにつれて気温が上昇してくると、発汗による「脱水症状を防ぐ」ために、メディアなどでも“水分補給の重要性”をしきりに取りあげますね。

人間が健康に日常生活を送るうえで、季節は関係なく、水分補給はとても重要なことです。

生命維持活動において、水分補給が大切なことはみなさんご存知かと思いますが、ストレスを緩和させる効果があることは知っていますか?


まずは「水分補給がなぜ必要なのか?」についておさらいしましょう!


水分補給が重要なワケ

Image by Senya Zhukavin from Unsplash

学校教育でも学んだと思いますが、一番の大きな理由は「人間のカラダの約半分が水分でできている」からです。
体重に占めるカラダの水分量の割合を体水分率と言います。

この体水分率は、成人の場合で体重の50〜70%を占めています。
新生児では70~90%、高齢者になると50%程度まで減少します。

では水分は、体内でどのような役割を果たしているのでしょう?

① 体温を調節する
② 栄養を全身に届ける
③ 老廃物を体外に出す
④ 疲労回復を早める
⑤ 肌をうるおわせて柔らかくする

水分は体内で上記のようなさまざまな役割を果たしていますが、その中でも重要なのが血液としての役割です。
私たちのカラダを巡る血液は、およそ90%が水分でできています。

体水分量が減ってしまうと血液がドロドロになってしまい、血液の循環不全や体温調節機能の障害などが起こり、めまいや倦怠感、痙攣、意識障害、冷えなどの原因になると言われています。

最悪な場合、酸素や栄養素が運ばれず、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重大な病気につながる恐れもあります。

体水分率が2%失われるとのどの渇きを感じ、運動能力が低下しはじめます。
3%失われると、強いのどの渇き、ぼんやり、食欲不振などの症状がおこり、4~5%になると、疲労感や頭痛、めまいなどの脱水症状があらわれます。
10%〜12%になると筋けいれん、失神がおこり、20%失われると死に至ると言われています。

食べ物を摂らなくても2〜3週間は生きていられる人間でも、水を一滴も飲まないと4〜5日で命を落としてしまうのです。


水分が足りている足りていないの判断は、尿の色で簡単に判別できます。
お手洗いに行かれた際に、ご自身で確認してみてください。

引用 : 厚生労働省HP 宇野重工(株)

やまぶき色やオレンジ色の尿は、軽度の脱水症状が始まっているサインです。
すぐにお水やノンカフェインのお茶などを飲みましょう。

コーヒーや紅茶、緑茶、烏龍茶などのカフェインが含まれている飲料は、デトックス効果や覚醒効果もありますが、利尿作用があるため、飲み過ぎには注意が必要です。

アルコール飲料は特に利尿作用が活発になるため、水分摂取には向いていないどころか、逆に体水分量を減らしてしまう恐れがあります。
夏のお酒の飲み過ぎには注意しましょう!


“水分補給の大切さを知ってもらう”ために「健康のため水を飲もう推進運動」という厚生労働省が推進している活動があります。

「1日にどのくらいの水分量を摂取したらいいのか?」「熱中症になったときの応急処置」などについて分かりやすく発信されていますので、みなさんもぜひご覧になってください。

引用:厚生労働省HP



ストレスがなぜ緩和されるの?

Image by Herbert Goetsch from Unsplash

「水分補給でストレスが解消されるワケないでしょう」と思われる方がほとんどだと思います。

確かに水分補給ですべてのストレスが緩和されることはありません。

ですが、逆に体水分が不足することで疲れが溜まりやすく、イライラしやすい体質になることに間違いはありません。

では、どのような点でストレス緩和に効果があるのかについて挙げていきます。


① 疲労回復効果

「水分補給が重要なワケ」でもお話ししていますが、カラダの半分以上は水分でできています。
その中でも血液はおよそ90%が水分で構成されています。

血液には酸素や栄養を全身に届ける働きのほかに、二酸化炭素や老廃物を運び出す重要な働きがあります。
水分が不足すると血液がドロドロになり、血流が悪くなってしまうことで、身体に酸素や栄養が充分に届けられなくなるだけでなく、疲労物質である老廃物を「ろ過工場」の役割をする腎臓に運べなくなることから、カラダに疲労物質が溜まることで疲れを感じやすくなるのです。

脳やカラダが疲れていると、ちょっとしたことでもイライラしやすくなってしまいます。

また疲労が回復しないことがストレスの原因になり、ヤル気や集中力の欠如、酷くなるとうつ症状になる可能性があります。


少し話が脱線してしまいますが、老廃物の約90%は静脈、残りの10%はリンパ管によって運ばれ、排出されます。

この経路の違いは、静脈は血液を心臓に戻すので、有害なウイルスなどの老廃物を流すわけにはいけません。
リンパ管が有害な老廃物を担って運んでいるのです。

静脈やリンパ管は、動脈のような心臓のポンプ作用で運んでいるワケではなく、筋肉の収縮がポンプの代わりを務めることで運ばれていきます。
(※静脈には、循環によって押し流される力も加わります)

女性は男性より筋肉量が少ないことで静脈やリンパ管の流れが弱く、老廃物が溜まってしまうことで、足のむくみや冷えを感じやすくなるのです。

体のコリや不良姿勢、ストレスなどでの筋肉の緊張によっても阻害されてしまうため、ストレッチやカラダを動かすことで筋肉を柔軟に保つ必要もあります。


② 鎮静効果

水分にはカラダや脳を冷却し、リラックスさせる副交感神経を活性化する働きがあります。

人はストレスや緊張を感じると、交感神経が高まることにより、口の中の唾液の粘度が増したり、喉の渇きを感じます。
これは交感神経が優位になることにより、カラダが興奮状態になることで唾液分泌量が低下する影響だと考えられています。

みなさんも緊張する場面で、一口水を飲むことで緊張が和らいだ経験があるかと思います。

また人間の脳のおよそ80%は水分で構成されており、ストレスの原因になるホルモンの乱れを作らないためにも、やはり水分補給は重要なのです。


ほかにも水による癒し効果が期待できるものに、「アクアセラピー」と言うものがあります。
水を見たり触ったりして、心を落ち着かせるセラピーの1つです。

水の流れる音は人間の心を癒す「1/fゆらぎ」というリラックス効果の期待できる波形が含まれていると言われています。
川や海などに行くと、自然と心が癒されるのはこのためです。

飲料としてだけではなく、水には五感を刺激し、イライラや不安などのストレスを軽減する作用があるのです。


③ 排泄によるデトックス作用

水分補給をするとトイレが近くなりますが、排泄することは究極のデトックスです。
※ デトックス = 体内に溜まった老廃物や毒素を体外に排出させること。

尿を作りだすためには水分を十分に摂ることが必要ですし、便を柔らかくしてスムーズに排便するためにも水分は重要です。

ジークムント・フロイト博士(オーストリアの心理学者・精神科医)が「人間がこの世に生を受けてはじめて知る快感、それは排便である」と記したように、スッキリと爽快感を感じる排泄行為はストレス解消にも大切です。

カラダから老廃物や有害物質をちゃんと排出できない便秘になると、疲れが溜まりやすくなり、さまざまな不定愁訴の原因になることでストレスが溜まります。


排便に至るまでの大切な消化管の蠕動(ぜんどう)運動は、自律神経の働きと大きく関わりがあります
※ 蠕動運動 = 消化管においておこる内容物の輸送運動。

蠕動運動は、身体を活発に動かすときに働く「交感神経」が優位な時には抑制され、身体を休めるときに働く「副交感神経」が優位になると活発になります。

ストレスや過労、生活習慣の乱れ(睡眠不足)などによって自律神経のバランスが乱れると、蠕動運動がスムーズに行えず、便秘や下痢といったお腹の不調を起こしやすくなります。

排便できずスッキリしないストレス、ストレスが原因でますます排便できなくなる魔のスパイラルに陥らないように気をつけましょう。

就寝前にコップ一杯のお水を飲み、副交感神経を活性化させてカラダをリラックス状態にすることで、睡眠の質を高め、朝一番の排便をスムーズに気持ちよく済ませることができます。



水分の取りすぎには注意

Image by henri meilhac from Unsplash

水分補給の重要性についてお話ししてきましたが、過度な水分の取りすぎには注意が必要です。

水分を取りすぎると発汗や排泄によって体内の電解質の濃度が低下してしまうため、めまいや頭痛、多尿・頻尿、下痢、意識混濁、けいれんなどの症状を起こしてしまう「水中毒」になってしまう恐れがあるためです。

水中毒とは、血液中の電解質であるナトリウムの濃度が低下してしまう「低ナトリウム血症」になることで起こります。

「熱中症予防には水分補給と塩分(ナトリウム)補給」と言われるようになったのはこのためです。


補足として、電解質についても触れていきます。

電解質はイオンとも呼ばれ、水に溶けると電気を通す物質のことです。

電解質(イオン)には、カルシウムやナトリウム、カリウム、マグネシウム、クロムなどがあります。

カルシウム・・・骨や歯の材料になるほか、神経鎮静作用、筋肉調整作用などがあります。
ナトリウム・・・細胞内外の水分量を調節し、筋肉の収縮などに働いています。
カリウム・・・体外に老廃物やナトリウムを排出する働きがあり、血圧を安定させたり、心臓や筋肉の機能を維持させます。
マグネシウム・・・骨や歯の材料になるほか、血管収縮を抑え血圧を調整する、酵素やビタミンの働きを活性化させる。
クロム・・・血糖値を調整するホルモンであるインスリンの働きを助け、糖質や脂質の代謝を活性化させます。

引用 : 飯田薫子・寺本あい監修「きちんとわかる栄養学」  出典元 : 厚生労働省「ミネラル」


これらは5大栄養素のミネラルに含まれ、カラダを構成する4つの主要な元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のすべての元素のことで、「無機質」とも呼ばれています。

その中でも主要なカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムを称して、「4大ミネラル」と言われています。

カラダを一定のよい状態に保つ性質である「恒常性の維持」には、ミネラルはとても重要な役割を果たしています。

ミネラルは身体の臓器や組織を円滑に働かせるために重要な成分ですが、身体の中で作ることができない栄養素なので、食品から摂取する必要があります。


水やお茶を飲むとのどは潤いますが、体液(体水分)としてカラダに蓄えるためには、電解質となるミネラルが必要です。

ミネラルを多く含むミネラルウォーターや経口補水液、イオンウォーターなどもありますが、食事からミネラルを摂取する意識は大切です。

ただし、ナトリウムは普段の食事でも食塩として摂りすぎることが懸念されるミネラルです。
摂りすぎると高血圧や生活習慣病の原因になりますので、逆に食事から減らす工夫が必要です。

気温の高い夏や、スポーツや運動で大量に汗をかいて水分を多く摂取したときだけ、ナトリウム(塩分)を少し摂るようにしましょう!



水分補給を面倒くさがらないで!

Image by Gary G from Pixabay

「水を飲みすぎると、トイレが近くなるから控えてる」というお声をたまに聞きます。
特にカラダの構造上、尿意をすぐに感じやすい女性に多いようです。
(男性より女性の方がトイレが近いのは、膀胱の大きさの差ではなく、尿道の長さや骨盤底筋群の筋力差などが関係していると言われています。)

「お仕事が忙しくてなかなかトイレに行けない…」という方もいらっしゃると思いますが、“生命の源”とも呼べる水分を摂ることは、健康な日常生活を送る上でもとても重要です。 

水分には、糖質や脂質の吸収を抑制させる効果もありますので、ダイエットにも水分は欠かせません。

およそペットボトル2本分(1200ml=1.2l)の水分は、必ず毎日摂るようにしてください。

しっかり水分補給をして、毎日しっかり排泄でデトックスしましょう!


最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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