miyuki yazawa

1歳児育児中の会社員。1987年生まれ。山と海と音楽と本が好きです。音楽に憧れて時々文…

miyuki yazawa

1歳児育児中の会社員。1987年生まれ。山と海と音楽と本が好きです。音楽に憧れて時々文章を書いています。

マガジン

  • 日々の調整

    自分の調整のために書く雑文です。日々の出来事や感情、思い出したこと、その他覚えておこうと思ったことについて。書きたいことが溜まったら更新します。

最近の記事

いつもといつかのお正月

2022年1月1日(土) 「お正月らしさ」は、誰かの努力によって成立していたものだったのだなと、いつもと変わらない朝を迎えて思う。 6時過ぎに、隣で寝ていた子がむくりと起きてくる。年越しも正月もまだ理解していない一歳児には、「昨日なんだかんだで年が明けるまで起きていたから、眠い」なんて言い訳はもちろん通用しない。しばらくすると遊びたそうに「まま!」と騒ぎ出したので、しぶしぶ隣室の夫を呼んで自分も起きる。 いつもどおりの朝。幼児がいると生活リズムを大きく崩せないから、休日と

    • 喪服でブランコに乗りながら

      祭壇で花に囲まれた祖母の遺影を見つめながら、今年の春大好きだったテレビドラマを思い出していた。 そのドラマには好きなシーンがたくさんあるのだけど、お経を聞きながら思い出すのはやはり死にまつわることばかりだ。主人公とその元夫たちが喪服でブランコに乗っていたこと、母の遺骨を抱えて仕事に行ったこと、親友の葬儀の日がとても良い天気だったこと。 頭の中でそれぞれのシーンを再生しながら、つくづく、良いドラマだったなと思う。日常と死が切り離されていない。どんなに大切な人を亡くしても、日

      • いつかのハムスターとme and youについて

        2021年5月19日(水) 毎日分単位のto do listを上からこなしていくような生活をしていたら、すっかり思考が上滑りするようになってしまった。何を見ても読んでも、時間だけが気になって途中で止めてしまう。 珍しくドラマはよく見ている。『大豆田とわ子と三人の元夫』と、『珈琲いがかでしょう』と、『あの時キスをしておけば』。能動的に読み解かなければいけない文章よりも、傍観者で居続けられる映像作品の方が楽だからだと思う。 今月から子どもの慣らし保育が始まり、次第に契約通りの

        • 次の楽しい夜のために

          2021年2月13日(土) 夕方になって泣き続ける子の寝かしつけに手を焼いて、お互い冷静になろうと抱っこ紐を付けて外に出た。 昨年、臨月で引っ越した(強行突破でかなり緊張感があったのでお勧めしない)マンションの裏には遊歩道があって、車も通らないし人通りも少ないから、乳児の散歩にはとても助かっている。仮に泣いたとしても、子どもがいる世帯が大半なので大目に見てもらえるという安心感もある。  だいぶ日が延びたとはいえ18時前、マジックアワーも過ぎて夜が始まろうとする時間帯だった

        いつもといつかのお正月

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        • 日々の調整
          5本

        記事

          花束みたいな恋は忘れたけれど

          2021年2月12日(金) 大学時代の先輩から久しぶりにLINEが来る。結婚をお祝いしてもらったとき以来会えていないから、もう3年ぶりだ。上映中の映画『花束みたいな恋をした』を観て、是非ともお勧めしたくなったとのこと。脚本は、ドラマ『カルテット』や『最高の離婚』の坂本裕二だ。 私が『カルテット』が大好きだということを先輩に言ったっけ、と思う。たぶん言っていない。それでもお勧め先として私を選んでくれたのは、今まで先輩と私が散々恋愛の話や、好きな音楽の話をしてきたからだろう。学

          花束みたいな恋は忘れたけれど

          日々の調整について

          2021年2月11日(木) 今日から日記のようなものを始めることにする。「ようなもの」というのは、果たしてこれが日記になるのかはよくわからないからだ。雑文、備忘録、メモ、エッセイ、呼び方は何でも良いが、目的は「日々の調整」とする。 子育てをしていると、自分のことを片端から忘れてしまう。目の前で急速に成長していくエネルギーの塊に向き合うと、自分は生物としてはとうに成長期は過ぎ、ゆるやかに衰えていくだけなんだなと感じる。と言っても、運が良ければあと50年以上は人生はあるわけで

          日々の調整について

          親になって初めて

          今からひと月前、親になった。 リビングと地続きになっている子ども部屋の、ベビーベッドの横に敷いた布団の上でこの文章を書いている。あと1時間で授乳の時間だ。疲れているし寝た方がいい。けれど疲れているから眠れない。 こういうときはだいたいAmazonで本を衝動買いしてしまう。ずっと読みたかった、よしながふみの『西洋骨董洋菓子店』(Kindle版)と、出ていることに1年近く気づかなかったジュンパ・ラヒリの新しい短編集(紙の本)。これから子どもの物が際限なく増えるのに、本を増やす

          親になって初めて

          ライブハウスのモスコミュール

          甘いお酒をあまり飲まなくなってから久しいけれど、ライブハウスでドリンクを引き換えるためにカウンターに行くと、つい「モスコミュールで」と言ってしまう。ビールでも、ジントニックでもなく。 一番ライブハウスに通っていたのは、大学生の頃だ。卒業するまで東京の西の端っこの実家住まいだったから、オールナイトのクラブイベントは行くことを許されず、終電までに帰れるライブが、音楽を最も間近で感じられる場所だった。CD屋でアルバイトしたお金をそのままCDとライブに注ぎ込むという、音楽漬けのエ

          ライブハウスのモスコミュール

          ひとりで海に行く

          25歳の誕生日、会社を休んでひとりで海に行った。よく晴れた夏の終わりで、今でも誕生日が近づくたびに思い出す。 当時好きだった映画の影響だった。主人公が急に思い立って嘘をついて仕事を休み、通勤電車と逆方向の電車に乗って海に行くシーンがあり、それをどうしてもやってみたかったのだ。わざわざ誕生日である必要はなかったのだけど(映画ではバレンタインデーだったと思う)、その年ばかりは、何か特別なことをやらないと、気が済まなかった。 前の年、24歳は、恋愛も仕事も何ひとつとして上手

          ひとりで海に行く

          もう一度新入社員

          今日から新しい会社の社員になった。新しい名刺をもらい、ピカピカのMac Book Airの箱を開ける。Macで仕事するのは4年ぶりだ。早速、トラックパッドを使いやすいように設定し、時が止まったままのSafariのブックマークを整理する。残ったのはほんの少し、Gmail、Googleドライブ、Workplace。これだけあればとりあえず仕事はできる。 初めてのプランナー職、初めてのスタートアップ、初めてのクライアントワーク。30歳を過ぎて、仕事においての初めては、なかなか一

          もう一度新入社員

          旅の途中とこれからの始まり

          二度目の転職にあたって1ヶ月間休暇を取って、そのうちの半分くらいを海外旅行に費やすことにした。前半は以前から予約していた新婚旅行、後半は、土壇場で決めたアメリカ旅行だ。そして私はいま、サンフランシスコからロサンゼルスへの飛行機を乗り逃し、どうにか数本後の便に変更してもらい、今度は乗り遅れるなと念を押されたので、おとなしく55番ゲートで待っている。搭乗時間まであと1時間。 大学の友人が数年前からLAで働いていて、いつか来たいと思っていた。長らくその「いつか」を後回しにしてし

          旅の途中とこれからの始まり

          私たちはどこへ行っても

          よく晴れた4月の土曜日。新卒の頃から仲の良い同期の友人たちとランチをした。前回会ってから、いつのまにか半年近く経っていた。 2人とも1年ほど前にママになったばかりだから、ベビーカーに乗った娘さんたちも一緒に来てくれた。生まれて数ヶ月の頃に一度会っていたけれど、もう自分の足で歩いていて、「赤ちゃん」ではなく「女の子」になっていた。 そして、私の友人たちはかつての柔らかな可愛さや明るい芯の強さはそのままに、優しくて頼もしいお母さんの顔をしていた。 友人の面影と、結婚式でお

          私たちはどこへ行っても

          ひとりでそうかとうなずくんだ

          春になりきらない隙間の季節には、フィッシュマンズの音楽がよく似合う。特に、3月15日には。 その日は外で仕事をしていたので、久しぶりにアルバムを通して聴いていた。高校生のときから繰り返し聴き続けているから、リズムも音も歌詞もメロディも、身体の一部みたいに馴染んでいるのだけど、ふと、意識が言葉を捕らえた。 ドアの外で思ったんだ あと10年たったら なんでもできそうな気がするって でもやっぱりそんなのウソさ やっぱり何も出来ないよ 僕はいつまでも何も出来ないだろ

          ひとりでそうかとうなずくんだ

          2:33 a.m. タクシーの中で

          終電後、都心から少し離れた家に向かうタクシーから見える景色は、どうしてこうも似通っているのだろう。ずっと眺めていると、昔住んでいた場所に帰っていきそうな気がする。 大学生みたいにはしゃいだ、同い年の友人たちとの宅飲みの帰り道。記憶をなくしていない程度に酔ってぼんやりしていると、帰る方向が別の友達が手際よくタクシーをつかまえて、先に乗せてくれる。本当に良い友達をもったな、と思う。窓の外の笑顔に手を振って、行き先を告げる。返事をしてくれた運転手さんの声が明るく、良い人そうなの

          2:33 a.m. タクシーの中で

          通勤電車のセレンディピティ

          イヤホンで音楽を聴きながら外出していると、時折、心を見透かされたようにぴったりの曲が流れることがある。 ちょうどゼロ年代を学生として過ごしたわたしはたぶん、データで音楽を聴き始めた最初の方の世代だと思う。高校の入学祝いを母に買ってもらうとき、iPodかベースかで散々悩んで、iPodにした。実家から高校が遠くて、片道1時間半は電車に乗らなければならなかったからだ。確か15GBのモデルだったと思うけれど、5つ上の兄の持っていた音楽をぱんぱんに詰めてもらって、大きなヘッドホンで

          通勤電車のセレンディピティ

          中間色のようなものごとを

          長い間、ネイルが苦手だった。 不器用だからマニキュアは上手く塗れないし、たまに成功したとしても、完全に乾くのを待つ余裕がなくて、うっかり指先をひっかけてだめにしてしまう。ジェルネイルはその心配はないけれど、そのまま爪が伸びていくのがうっとうしいのと、オフするのが面倒で、ここぞというときの数回しかやったことがない。 そんなわたしが最近、ちょこちょことセルフネイルを始めている。きっかけは、she isのギフトで毎月届く、中間色のネイルだった。 毎月ひとつずつ届くその色

          中間色のようなものごとを