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美しい鰭を持ちたいと希うのさ #スピッツ

人生には、守りの時期と攻めの時期というのが交互にやってくる。攻めの時期は思い通りにいって満足のいく結果も出るのだが、守りの時期は全くそうではない。何をやってもさっぱり、という痰壺に嵌ったかのような地獄の季節で、その時期が大変に辛い。

今年の春はそのことを
いやというほど思い知る季節だった。

早くも下からはフレッシュすぎる後輩が入り、同期とは常になんだかんだで比較対象とされる。自分もいろんな案件を抱えて突っ走ってるが、同期も同期で大きな仕事を抱えていて、日々いろんなところで活躍している。そんなキラキラした姿をみて焦らない社会人って、居ない。

「まあまあ、いけるっしょ〜」なんて平気な顔をしているが、内心では日々焦ってる。後輩に一気に追い越されたらどうしよう、この会社で存在感が薄れたらどうしよう、変わっていかなければ。寝ている間に仕事の夢を見るぐらいには切羽詰まってる。

なんか例えるなら、プロ入り一年目でいきなり
「新戦力」から「守護神」への脱皮を求められた
ルーキーみたいな気分。こんな感じなのかな。

何も、馬鹿みたいに無意味に焦ってるわけじゃない。こっから先、1人の人間としてまだまだ叶えたい夢があって、次のステップへ登るタイミングだって真剣に見極めてるし、登るための努力だって常にしている。目標があるからこそ、そこに届くように結果を積み重ねたい。

上へ、上へ。前へ、前へ。
そう思えば思うほど、呼吸を忘れてしまう。


でもなんか「上ばっか見過ぎて疲れてない?」って
スッと自分を落ち着かせてくれた曲があって。
それが「美しい鰭」で。

久々の新曲で、しかも毎年楽しみな劇場版名探偵コナンの主題歌だっていうことで楽しみにしてたんだけど、聞いてみたらあら不思議。素敵な人生讃歌じゃないって感じのいいナンバー。

ひらがな語とか、気持ちいい語感を意識している「マサムネ節」は健在。もちろんそれもとても気持ちいいんだけど、何よりスピッツ的「進化論」を語るメロディアスな空気感が凄く切なくて、心にジンと温かいものが来る。例えるなら「チェリー」みたいな感じの、切なさと温かみが同居した曲だなぁ、という第一印象があった。

流れるまんま 流されたら
抗おうか 美しい鰭で
壊れる夜もあったけれど 自分でいられるように

作詞:草野マサムネ

流され、果てまで着き、そしたら
1、2の、さんで一気に抗う。

無理に全ての嫌な流れに逆らうのではなく、静かに風を読んであえて流されてみる。ジタバタしたってしょうがないし、やれそうな時にだけ一気に突っ込んでいく。そのやり方にこそ、ひょっとしたら勝機はあるのかもね。

なかなか思い通りに上手くいかないからって、無理して歯を食いしばり過ぎたかもしれない。ちょっと気持ちを緩めてみよう。そのうち風はいい感じに吹いて、潮目がきっと変わるはずだからさ。って、マサムネさんがなんかヒントを言うみたいに耳打ちしてくれた気がする。

「美しい鰭」はそんな感じの曲でした。

だから、自分を緩めようと思って今日はちょっといいお酒を買って家でゆっくり飲んでみました。もちろん、美しい鰭のPVを見ながら。へへへ。

スピッツの新曲、まだまだあるの楽しみだな。
全部聞くまではとりあえず死ねないな。



おしまい。



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