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「なんとかなる」という前提で議論してみよう 『日本進化論』◆読書メモ2019#9

今年は、読んだ本の感想を全てnoteにメモしていきます。
2019年9冊目は、落合陽一さん『日本進化論』です。

今年2冊目の落合さんの本。
この『日本進化論』は発売開始前に予約購入していたんですが、ちょっと寝かせておいたら読むのが遅くなってしまいました。

本書は、2018年7月に衆議院議員の小泉進次郎さんと僕(落合陽一)の共同企画で開催された、「平成最後の夏期講習(社会科編)――人生100年時代の社会保障とPoliTech」というニコニコ動画の生放送番組と、その現場で展開された議論のまとめがきっかけになっています。

この本における大きなテーマは、
「ポリテック」=Politics(政治)×Technology(技術) によって、日本が抱えている様々な社会問題の解決方法を考えてみよう というものです。

取り上げられている問題としては、例えば、人口減少、超高齢社会、子育てのしづらさ、時代の変化に合わない教育 などで、
我々が一般的に感じているレベルでも、かなり深刻なものがいくつもある印象です。

とはいえ、「日本はもうダメだ、終わりだ」と悲観したり、「あれは無理、これもできない」と可能性を否定するのでもなく、
「こういう課題が解決できる、こういう解決策もとりうる」と前向きに議論していくというのが、本書の流れです。


ここで大事だと思った姿勢は、次の2つです。

・課題を「正しく」認識すること
・「なんとかなる」と信じること

課題を「正しく」認識するというのは、
イメージや通説に流されずに、信頼できるデータを元に正確に課題を捉え
その上で、その本質的な原因がどこにあるのかを理解するということです。

そして、「なんとかなる」と信じるというのがもっと重要で、
というのも、課題に対して「解決できる方法があるはずだ」という前提で向き合わないと、そもそも議論が成り立たないのです。

この本では、様々な専門家の方々によって解決方法がいくつか提案されていますが、
もちろんその全てが「正解」だというわけではなく、それを読者に押し付けるわけでもなく、
上記の2つの姿勢をもって、社会を良くしていくために皆で議論していこうよという提案が本旨なのではないかと解釈しました。


さらに、解決方法を考えるにあたって、ポリとテックの二軸で考えていくのが大切だというのが、もうひとつのメッセージです。

政治の機能としては、主に法律や条例による強制(やらせる)と規制(やらせない)、そして、租税税制度や社会保障制度による富の再分配の2つがあると思います。
対して、テクノロジーの機能とは、不可能を可能にすることと、可能を拡張することの2つでしょう。

つまり、例えば高齢ドライバーによる自動車事故の問題に対して、
ルールを設けて高齢者から免許証を取り上げたり、そもそも自動車を使わなくても生活できるような都市設計にするというのが政治的なアプローチ
ドライバー監視技術や、AIによる自動運転技術によって事故を防ごうというのがテクノロジー的なアプローチになります。


悲観・否定せずに、解決法を前向きに考えるのが大事だとはいえ、
「このまま何も変えなければ日本が終わってしまう」というのも事実だと思います。
皆が自分事として課題を捉えて、各々にできる行動を実践していく、
まず第一段階として議論に参加するというのが大切なのではないでしょうか。


タメになる度 :★★★★☆
文章の読み易さ:★★★★☆
分かりやすさ :★★★★☆
総合オススメ度:★★★★☆


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