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決断力は意思決定の速さを意味しない

マネジメントの立場にいると、決断を迫られる場面に多く出くわします。中間管理職ともなれば上からも下からも決断の挟み撃ちに会い、時には正しい決断をしているのか自分でも分からなくなることがあります。

従業員のエンゲージメントサーベイが多くの会社で行われるようになりましたが、部下からマネージャーの決断力がないと思われていれば上長評価は悪くなってしまいます。自分では決断力があると思っていたとしても、部下から見たらそうではないということは普通に起きえます。

決断力に関する誤解

「意思決定が速いことは決断力の高さを示す」というのは誤解です。意思決定が速いことは情報処理能力が高いか結果に無責任かのどちらかしか意味しません。

しかしながら、決断の結果が表れるまでには決断してしばらく期間が空くため、決断内容よりも決断スピードの方が「あの人は決断力がある」と周囲から評価されがちです。若手のときにそのような評価をしていたのも相まってマネージャーになっても決断スピードを上げようという心理が自然と働いてしまいます。

また、エンゲージメントサーベイで良い評価を得るには決断内容が多少間違っていても決断を早く下す方が行動として有利なこともこの誤解を助長させます。決断内容の軌道修正を後からやりやすいならまだよいのですが、評価を上げるための行動(意思決定の速さ)がビジネスにプラス影響を与えないこともあるため、決断力の評価は意思決定の速さとは切り離して考えるべきです。

決断力とは何か

では、決断力とは何でしょうか。

原則に沿えば、決断力とは、何らかの計画策定や問題解決あるいはその手段選定を目的として、複数の選択肢の中から最適な行動を見極めて責任もって意思決定する能力のことです。さらに言えば、意思決定後に速やかに行動に移せるように関係者に明確な指針や指示を提示する能力のことを指します。

つまり、意思決定が速いかどうかは決断力には関係がなく、むしろ最適な意思決定ができる能力に他ならないということになります。

素早い意思決定よりも素早く意思決定後の行動に移せるような意思決定をしていきたいところですね。

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