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遠慮はいるけど、配慮はいらない

つい最近、コーチングのクライアントさんにこんな相談を受けた。

部下との関係のことなんで、言いたいことはあるけれど、言ってから関係がうまくいかなくなったり、拗れたりするのが嫌なんですと。

そこで「遠慮」と「配慮」について話すことがあり、それをせっかくだからブログに書こうと思いました。

人間関係や、コミュニケーションに悩んでる方にも共感していただけるんじゃないかとも思ったので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。


1、遠慮と配慮の違い

まずはじめに、遠慮と配慮の違いについて。

この2つの違いについては、自分も社会に出て、最初に働いた会社の先輩に教えてもらったことがあります。

自分は社会人としてのスタートは、洋服の販売員をしていましたので、お客様への声がけも遠慮していたこともありました。

そこで先輩から言われた一言がこれでした。

「お客様への配慮は必要だけど、遠慮はいらないよ」

そこから自分自身も接客のスタンスが大きく変わりました。

おかげでたくさんの顧客様にも恵まれましたし、年間売り上げでトップを取ることもできるくらい、販売力を上げることができました。
デベロッパー主催の接客ロールプレイコンテストで賞もいただきました。

自分が変われたきっかけは、その先輩との出会いでもあるのですが、もう少し掘り下げると、この言葉をいただいたからと言っても過言ではないかな、と今は思います。

なので、仕事をする上では、とても重要なことで、誰しも認識しておくべきだと思いました。


前置きが長くなりましたが、「遠慮と配慮」をネットで調べてみると、このように書かれています。

「遠慮」とは、他人に対して、言葉や行動をひかえめにすること。
「配慮」とは、手落ちのない、または、よい結果になるように、あれこれと心をくばること。


これを僕なりの解釈に変えると、
・遠慮する
(自身の行動が)身勝手・図々しい
→つまり、自分基準での捉え方。

・配慮する
(相手の心情への)思い遣りが足りない
→つまり、相手基準での捉え方。


自分と相手は異なるもの。だからこそ自分から相手に歩み寄ろうとする行動が必要です。遠慮して行動を慎む、のではなく、配慮ある行動を積み重ねることが重要ということです。


2、仕事の場面で起こる「遠慮」

具体的な例を出すと、
仕事をしていて、先輩が忙しそうにしている。
「声をかけるのは申し訳ないので、後にしよう」これは遠慮です。

反対に、「先輩は今、集中して仕事をしているので、後で声をかけよう」これが配慮になります。

この微妙ではあるけれど、大きな違いが「遠慮と配慮」の違いです。


他にも例を出すと、
「先輩に報告を送りすぎると、迷惑かもしれないから、やめておこう」とか、「新しい仕事があるけど、私はまだ新卒で何もできないし、迷惑だろうからやめておこう」、などといったことは、全部遠慮です。


この遠慮の考えは、結構あるあるなんじゃないかとも思います。
これでは、周りに対して考えすぎてしまい、自分の仕事がスムーズに進みません。

「遠慮」のせいで、自分の思っていることがあっても心の中にしまってしまうので、すごくもったいないことになるんです。


3、配慮はいるが、遠慮はいらない

僕は野球が好きなので、ここである方のエピソードを出します。
2013年に楽天を球団初の日本一導いた、闘将・星野仙一さんです。

星野さんもよくこの「遠慮と配慮」を使い分けていたと聞きます。

当時の主力選手でもあった、マギー選手は最初、星野監督が怖かったという。来日前に調べると「闘将」の逸話ばかり。

だがある日にに外国人選手だけの食事会に呼ばれ、印象が大きく変わった出来事があったという。

『ミスター・ベースボール』という来日した大リーガーが主人公の映画があるのだが、この中の監督は、星野監督がモデルらしく、それを聞いたら星野監督は「そうだよ」と笑顔で答え、話が弾んだという。

威厳に満ちた外面とは正反対の気さくな人柄に触れた。心酔するきっかけの1つとなった。星野氏は、外国人選手との接し方について“極意”を残している。

「配慮はするが、遠慮はしない」

異国の苦労やメジャーのプライドを考慮しつつ、戦力としては日本人と同じように扱った。ジョーンズ、マギーの通訳を務めた佐野周平さんも実感した。

2人が試合前練習でグラウンドに出ると、星野監督は必ず声をかけてきた。「元気か? 女の子と飲んでるか?」。日常英会話は不自由しなかった。ひとしきり、やりとりが終わると、ちらっと佐野さんに目配せ。それが、合図だった。「今日の投手はチェンジアップだ。打てる球が来るまで待て。四球でもいいぞ」。込み入った話は、確実に伝えるために通訳を介した。

「その会話がなくても、AJ(ジョーンズ)なら四球を選んで結果は同じだったかも知れません。でも、事前に言われることが大きかった」と佐野さん。ボスの指示があることで、迷いなくプレーできた。14年7月、ジョーンズは6試合だけ4番から3番になった。星野監督は事前に監督室に呼び、自分で通達した。状態が落ちた大砲に遠慮はしなかった。だが、メジャー通算434本塁打の実績には配慮した。

大袈裟に聞こえるかもしれないが、「遠慮と配慮」があったからこそ、国境を超えたのだ。

「言うは易し、行うは難し」とあるように、これを実践するのは極めて困難です。
しかし、真のリーダーとなりチームを率いるためには必要不可欠な能力だと思います。

皆さんも今から取ろうとしている自分の行動や考えが、「遠慮」なのか?「配慮」なのか?と問いかけてみてはいかがでしょうか?
それを考えるだけで、自身の思考・行動スタイルの変容を促すことが出来ます。



4、配慮ができる人になる具体的な方法として

いくつか具体例を出していきたいと思います。
例えば、新入社員さんへのフォローをするとき

よくありがちなのが、新入社員さんに対して、業務を進める中での不明点や疑問を定期的に確認して、丁寧に回答したり情報共有したりすることに終始することかと思います。

これでもいいですが、もっと突っ込んでいくと、

そもそもですが、新入社員さんの入社の背景や、業務内容の不明点以上にチームで働く上での不安やチャレンジがしたいと今思っていることを理解することが前提にはなりますが、新たな機会を作ってみたり追加の情報をアレンジすることのイメージです。

新入社員さんやチームにとって必要な機会(例えば、相互理解の場を増やしたり、これまでのチームの変遷を紹介する場を作ったりなど、)は新たに生まれたり、チームメンバーからの関わり方をチューニングしてみることにつながる可能性もあります。



・ミーティングで使える配慮
それぞれのメンバーやチームの状況を振り返った上で、「改めてこういった共通認識を取り直すために、こんなメッセージ性を強くしてみようかな。」とか「この情報発信をしたら、○○の観点で不安や疑念が出るかもしれないから、長めに対話する時間作っておこう」などのように、少しアジェンダを変えてみるイメージです。
 ※自分なりにどうあったら良いかを、個とチームの両輪踏まえて悶々と考え続けている。
メンバーが気持ちよくスッキリした状態でチームの目標に対して全力疾走できる環境を作ることが大事ということです。



いろいろ書きましたが、簡潔にまとめると、
・何か変化がありそうなメンバーがいたらちょっと声をかけてみる。
・飲みの場やランチの場を使ってどんな状況かしれっと聞いてみる。
・MTGの発言や表情を確認して、気づけるタイミングを増やす努力をしてみる。
こんな行動がコツコツ効いてくるのかなと思います。(ちなみに僕はまだまだできていません)


5、最後に

遠慮と配慮を理解し、実践することによって、個人としても人間関係がうまくいくでしょうし、チーム(組織)としても、全員が高いレベルの配慮をし合える組織になると、とんでもなく強い組織になると思っています。

遠慮をして言いたい事を溜め込むと自分が苦しんだり、関係者に迷惑をかけたりすることがあり、それを伝えるのにも配慮がないと相手を傷つけてしまいます。

自分の意見が絶対であると思考を停止するのではなく、相手の立場を理解した上で話すことを心がけることが大事ということですね。

僕もまだまだできていないので、今日から意識して実践していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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