君の知らない私を、いつか君に傳えるため。

君の知らない私を、いつか君に傳えるため。

最近の記事

3.19

アナウンスが流れて、私たちは体育館を出る。教室に戻って、集合写真を撮る。少し先生が話した後、正面玄関へと向かう。後輩や他の学年の先生が拍手する。見送りのようにも、追い出されるようにも感じられる、これが卒業。 校門に散らばる、河津桜の濃いピンクを踏みながら歩く。みんな親や友達と写真を撮っている。私はそういうのいいかな。親来てないし。友達はいるけど、みんな浅いし。写真なんて見返さないし。 「部活で写真撮らなーい?」 副部長だった彼女が笑顔で提案する。 「いやいいよ、呼ぶのめんど

    • サイフォン

      こんな汚い部屋、ゆうちゃんに見せていいのかな。 「入ってもいいけど、掃除してないんだよね。」 申し訳なさそうに部屋に上がった彼は、ガラスの灰皿を見つけて目を丸くしている。別れるからいいかと思って、吸っちゃったんだった。タバコ吸ってる女、嫌いだもんね。私が金髪にしたときも同じ顔してたよ。「似合ってる」なんて、どうせ思ってなかったでしょ。 「やっぱり外にいて。」 彼の荷物をまとめて渡して、ドアを閉めた。 仕事に行かなきゃ。ラメでキラキラした下着をつけて、白いワンピースを着る。黒

      • 俳句1

        冬めくや80デニールでは足りぬ

        • 批判されると執着する、反逆精神。

          文章の質がひどく落ちたね。読書して出直します。

          文章の質がひどく落ちたね。読書して出直します。

          まだ若いから。

          出身高校の偏差値マウント、「俺だって勉強すれば早稲田に行けた」、高い化粧品にブランドのバッグ、元カレの悪口に今カレの惚気、課題が大変だのテストが大変だの、挙句の果てには高校生の時にラブホに行った話に未成年のお酒の話、……ほんとつまらん。みんな口を開けば自分や友達や母校の自慢。張り合ってばかりで聞き手が得られるものなど何もない。こんな遠くに来たのに、高校生の時と何も変わらない。相手を落とすことでしか自分のことをアピールできない、ここにはそんなやつばかり。強いて言えば、同級生に歳

          まだ若いから。

          あのあたたかい世界に戻りたい

          あのあたたかい世界に戻りたい

          カシスとオレンジ

          「恋人ってね、3年経つと、友達に戻るんだって。今日と明日で、私たちの関係が何か変わると思う…?」 ドキッとした。もう3年経つというのに、僕は記念日を忘れていた。いや、3年も経つから忘れていたのかもしれない。 静かすぎるこの街の暗がりの中、彼女はコンビニ袋を覗いて、缶がぶつかり合うのを見つめている。 狭い部屋で350mlのお酒を開ける。 「あと2分で、今日が終わって明日になる。そこで私たちって、友達に戻るの?」 僕は困惑した。彼女の質問に対してではなく、彼女の様子に。

          カシスとオレンジ

          散りたい!

          散りたい!

          青いボタン

          6月23日、木曜日。天気は雨。 今日の鬱警戒レベルは5段階中の4。 世界は空前の自殺ブーム。政府は自殺防止のためと、一昨年からこんなものを天気予報に加えたのだ。 それにしても最悪な天気だ。 低気圧のせいか、頭が痛い。 体が重いが、僕は仕方なく駅に向かう。 電車に駆け込む地味なサラリーマン。 何かブツブツと呟いている奇妙なおばさん。 片手に缶ビールを持って、ICカードの使い方が分からず苛ついている男。 細い足を組んで、ふんぞり返って椅子に座る女子校生たちの下品な笑い声。 い

          青いボタン

          無能 【創作再開】

          高校1年生、特進クラスの窓の外には大きな桜の木が立っていた。ごつごつとしたその幹のせいで視界は遮られていた。それなのに、彼女はいつも窓の外を見ていた。 「何見てんの?」 僕が聞くと、彼女は外を眺めたままこう答えた。 「外…」 「いやそりゃそうだけど、外の何を見てんのって…」 僕が笑うと、 「なんでもいいでしょ別に…」 彼女が笑った。桜の花びらが窓から舞い込んできた。 これが彼女との最初の会話だった。 みんな友達作りに勤しんでいる。インスタやLINEを交換して、

          無能 【創作再開】

          #2

          苦手なものはなかなか変わらない、 でも、好きなものはすぐ変わってしまうから (神曲 川村元気)

          #1

          崇高なるものには、関われるだけでも幸せなのだ。 名声を得ようとすることは、尊厳を傷つけることになる。 (容疑者Xの献身 東野圭吾)

          #0

          文芸作品の中で出てきた好きな言葉を # でメモしていきます

          noteを書く

          今日からnoteを書く。 とりあえずブログを始める。書きたいことを、書きたいように書くだけのブログである。 こんな10代の日常生活なんて面白くないかもしれない。それでも、自分の気が済むまではブログを書き続けようと思う。 創作ものちのち載せていけたらな、と思うがそれは分からない(保証をかけたくてこんな言い方をしている)。実は前まで創作をnoteに書いていたが、1年足らずでやめた。やめた理由は簡潔に言うと、書けなくなったからである。この話は長くなりそうだから、またいつかのブロ

          noteを書く