晴れのち桜(仮)続き
幸一は、聡と早く咲き始めた桜をいつまでも眺めていた。空は晴れていて春の日差しは二人に降り注いでいる。まるで、幸一の病んでいる心を癒やすかのように……。
「幸一」
まだ、五分咲きの桜を眺めながら聡は幸一の名前を呼んだ。幸一は、もう一度、聡の顔を見直した。
「なんだよ、分かってるよ、でもさ、やっぱり精神病に対する偏見は厳しいんだよ。君ら、健常者とは違うのさ」
幸一は、どこかよそよそしい顔を聡に対して浮かべながら桜の木の下に立っていた。聡は返す言葉もなくただ、一緒に桜を眺めるだけ