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コンピュータがつれてきた子供たち(著:戸塚滝登)【読書紹介というソフトウェアが読書の定義を変更した・・・という本を古本屋で発掘】

会話AIシリーズが世を席巻しておりますが、
今から15年くらい前、AIが人間と会話できるようになるなんて、
まだSFの世界の話でした。
実際、まだまだ問題があるみたいですけど。

そんな時代に書かれた本書は、
子どもたちが凶悪事件を起こすという世相に、
危機感を持った著者による問題提起的エッセイ。

読みやすい本で、考えさせられる内容でしたが、
結論についてはっきりとは書いておらず、
もやっとする感じも抱きますが、
まあ結論はこっちが考えるから、材料を与えてくれるだけでいい、
という人には向いています。

ただGPTシリーズの存在する現代とは、
時代背景がまったく違っていますが、

それでも問題提起の内容自体は薄れていないと思います。
本書は教育について述べた本です。

当時はネット社会のもたらす結末が、
知能や考える力の低下につながっているのではないか?
ネットの向こう側の危険性にあまりに無知なのではないか?
(そういうことはどの技術の出現期にも語られてきたとはいえ)
そもそも子どもたちが成長するってどういうことだ?

人間の発達心理学、言語獲得の感受性期の話が出てきます。
思春期までに言語を獲得するチャンスを持てないと、
そのあとの言語獲得はうまくいかない。
逆に思春期以前に言語を獲得できれば、
爆発するように学習し、普通の人間と同じ程度にまで知能が成長する。

言語獲得にはタイムリミットがあるという仮説です。
これは狼少女みたいな極端な環境に置かれた子どもなどの例から、
仮説が証明されたといえます。

言葉は道具存在以上のもの。
言葉によってこそ人間は人間になれるみたいですね。
他の動物もハードウェアに関わりなく、
言語を獲得すればあっという間に私たちに追いついて来れると思います。
ただのソフトウェアなのに、
それを持つだけで持つ者の本質を変えてしまう道具。

そしてそれは、機械や電子機器でも同じなんじゃないかという、
問題提起が続きます。

ヘレンケラーの文字。
スピルバーグのカメラ。
まこたんの電子コンポーザー。
著者の顕微鏡。
バッハのオルガン。
モーツアルトのピアノ。
ひろゆきのパソコン。
(別に有名人じゃない人もいますけど)

いずれもただの道具が、
本質そのものに影響を与えた例です。

これが教育なんじゃないか?

結論として、何が言いたいのか、
はっきりとはよくわからないですが、
読み物としてよくできていると思います。

古本屋で見つけたら、読んで楽しい本であることは保証します。

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