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PSYREN サイレン(著:岩代俊明)【このマンガ感想を読んだものは2分後に死ぬ】

往年のジャンプマンガ。
なぜかアニメ化されそうで、アニメ化されなかった名作として、
必ずリスト入りする作品。

ずっと以前、テレホンカードというものがありました。
公衆電話からかけるとき、テレホンカード(略してテレカ)を使うんですね。
交通系カードみたいな感じ。
チャージするんではなく、500円使い切りとかですが。

で、まだガラケーが公衆電話を駆逐していない時代。
スマホは影も形もない。(世間ではあるはずだけど)

主人公の少年は暴れ者です。ヤンキーという言葉でも通じるでしょうか。
暴力に身を任せるタイプで、さりとて悪さにのめり込むのではなく、
一万円でトラブル解決バイトなどをやっていました。
今日も小動物系の美少女のために張り切ってしまいました。

それにしても、小動物系と言えば、同じクラスにも、
クールでアナーキーな感じのクラスメイトがいました。
昔は、母親が亡くなって落ち込んでいた主人公を明るく慰めてくれたりしていたのですが。

今は、
「卒業するまで話しかけてこないでくれる?」

「どうせサイレンがやってきたら終わりなんだから」

そんな感じで、ちょっと気になる一方、
主人公は、今が楽しければそれでいい、と刹那的に生きていたのですが、
とある公衆電話で謎のテレカを拾ってしまいます。
誰もいない公衆電話でベルが鳴っている・・・
残されていたのは、新品の赤いテレホンカード。
PSYRENと書いてあります。

さて次の日、クールなクラスメイトがなくした財布を拾ったところ、
(嫌がらせで捨てられていたのです。あの小動物系の女の子の正体がわかってしまいました)それはともかく、
同じ赤いテレホンカードが入っていたのです。
「あのテレカってなんだ?」
「世の中には首を突っ込んでいいことと悪いことがあんのよ」
教えてはくれませんでした。
ただ「・・・助けてよっ」と言ったような気が。

翌日から彼女は行方不明。
色々なうわさがありましたが、どれも納得がいかないモノばかり。
その中で「サイレンがやってくる、か」
友人がぼそりと喋ったのを聞いた主人公「なんだそれは?」
「いや、ほら、卒業まで近づくなって言った後に、なんか言ってたろ」
そうか。あれはサイレンと読むのか。
オカルト研究会に話を聞きに行くと、
「連続行方不明事件が起こっており、行方不明者は全員があの赤いテレホンカードを持っていた」
「未使用のテレカは、500万で取引されてる」
「君みたいな素人は近づかない方がいい」
という。当然ながら主人公は、
使う!

翌日、謎の男たち(自称警察)が主人公を探しに来ていた。

********

改めて読み直してみたけど、けっこう複雑だな。これは。
ジャンプマンガらしい、ウケる物語のすべての要素を詰め込んだ作品。
ああ、物語ってこうやって作るんだなということを、再確認です。
能力者バトル系。
能力の総称はサイという身も蓋もない名前ですが、

バトル要素以上に強いのが、ホラーミステリ要素です。

謎はタマネギ状になっているというか、謎を解くとさらなる謎が現れます。
事件の全貌は杳としてつかめず、
しかしわからないなりに、対応を続けていかないと、デッドエンド。
何が正しいのかわからない。
だがそれどもアタリをつけて進んでいかないと詰む。
敵とのバトル以前に謎との戦いです。
過去と未来を行き来しながら、サイドルートはすべてバッドエンドという鬼畜仕様の世界を生き延びていきます。

前にも書いたんですけど、
怖いというのは、同時に知りたいという気持ちを強く招きます。
人間は恐怖の根源を知りたいという強い衝動につねに駆られている。
恐怖を感じれば感じるほど、先が読みたいという衝動を抑えきれなくなるでしょう。

この作品の強みはホラーミステリ要素が強いところでしょう。
謎を解かないと死ぬ。そういう前提がないとここまでの求心力はありません。

ただこの話がアニメ化されなかったのは、テレホンカードという微妙な時代設定を使っているからかもしれません。
IT系は日進月歩すぎて、取り上げるのが忌避される傾向があります。
若い人は知らないですからね。
ナニコレ?となってしまうと導入の部分で挫折します。

逆に言えば、
テレホンカードとガラケーがまだ共存していた時代をリアタイで覚えている人とか。あなたたちには逆に障害は何もありません。
いや、知らなくたってそういうものだとわかっていれば、障害はありません。
ジャンプのゴールデンナンバーを背負った作品のひとつ。
全16巻。

導入部で書ききれなかったけど、毎回、電話に出るたびに、
(初回以外はあちらからかかってくる。電話を持っていなくても聞こえます)
異世界に飛ばされます。廃墟の世界はどうやら未来の日本らしい。
そこで怪物が出てきて、生き残るのが、まずは第1巻の大きな流れ。

いちど読み始めてしまうと中毒性がある内容で、読み止めるのは難しいでしょう。

というか、
年代的にブリーチと同じ時期に連載されていたし、どことなく似ているので混同しそう。見分けがつかん。

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