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泥まみれの虎(著:宮崎駿)【読書紹介そのものが泥沼化しつつあります。終わりが見えん】

宮崎駿御大による、あんまり怖くない戦記マンガ。

ただメインは、オットー・カリウスというドイツ軍のエース戦車兵が、
エストニア戦線でずっと戦っている話ですね。
ここまで兵レベルまで視点を降ろしてきた、戦記ものは実はレアです。

なんか、第二次大戦の話って、物語がどうしても多くて、
リアルさというのが、なんというか。
いや、ありますよ。現実味がある物語も。

ただ、なんていうのかな。
多くの作品は戦術を語らないんですよね。

単に戦っているだけというか。
ところがこのマンガには戦術が出てきます。
その場所で何が課題なのか。
危険なことは何か。その時にどういう心情か。

カリウスって、プロ意識があるんですよね。
プロならではの視点で自分の仕事を観ている。
そこがイイ。

このカリウスって人は、あれです。
大きな声を出さず、ひたすら冷静で、ただただ職場を改善していくタイプ。
しかも適確な采配。なんか現代仕事論になっちゃったな。
(そうだ!ブラック企業にはまず見ないタイプだっ やめちゃうし)

基本、戦争マンガとはいえ、あんまり怖い話は出てこずに、コミカルです。
登場人物が、みんなブタさんだし。
(ドイツ兵とロシア兵がブタ、イギリス兵は犬、アメリカ兵は猿)

イギリス兵が犬と聞いて、名探偵ホームズを思い出された方は正解です。

アメリカ兵が猿なのは、なんでかわかりません。

しかし、絶望的な戦局で、常に最善を尽くして選択して、行動し続ける。
そんなカリウス青年の精神的耐久力、いつまでも正気を失わないところにフォーカスが当てられている作品です。

どんなに絶望的であっても、最善の行動を取り続ける。
それを単なる精神論ではなく具体的に描くには、それぞれの決断を描写するしかありません。
もちろんドイツ戦車の戦記マンガなんてめったにないので(あるところにはある)皆さんそれを目当てに買ってるところもあるのですけど。

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後半は、ドランシ大尉とハンス兵の、狂言回しコンビも再登場。
ベルリン近郊脱出作戦が描かれます。

また、マンガばかりではなく、編集ライターによる状況説明や、
御大のエストニア視察旅行も描かれています。
90年代の本ですね。

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