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夜の姉妹団-とびきりの現代英米小説14編(2001年:現在絶版中)【読書紹介をしたいんだけど、相変わらずどこへやったのかわからない。頭の中にはあるはずなんだが】

2001年時点での現代ですので、今から見るとちっとも現代ではありません。選者の独断と偏見で選ばれた個別の作品集。
作家は固定されておりません。
これを紹介しようと思ったのは、私がすごく好きな作品が載っているから。

まず表題作の「夜の姉妹団」はミルハウザーのいつものやつですね。
解説がひたすら続くスタイルの文学。
ミルハウザーに外れなし。(ほんとに?)

あと、3世代の女たちの物語もよかった。
祖母はイディッシュ語、母はギリシャ語、娘は数学語の女たち。

でもいちばん紹介したいのは、
英国人作家の「我が家主」
これがいちばん好きでした。

って、まあ、これも絶版らしいんですね。
なのでネタバレを思いっきりかまそうと思います。

主人公はどうしようもないクズです。
自分を養ってくれる同性愛の謎のおにーさんがいるんですが、
こいつは「てめーはよ」的な生意気な口の利き方しかできません。
のみならず、自分の方がおにーさんより上だと思っています。
最終的に我慢ならなくなり、暴力を振るって出て行ってしまいます。

しかし、ホームレスになってみると、おにーさんのところに帰りたくなります。
しかし、どこかでぶちのめされたせいなのか、記憶が曖昧であり、
どうしても彼のところに戻れません。
彼の名前が思い出せないのです。
クズの主人公の彼を探す旅が始まります。

マイランドロードを知らないか? というべきところをマイロード(我が主)と言ってしまい、不気味がられたりします。
ついには警察に捕まります。
しかし今度は自分の名前も思い出せない。
そして警察官の忍耐が切れかけてきているところに、唐突に名前を思い出します。
家主の名前を。主人公は家主の名前になります。

そして何か厄介な病気にかかっているので、遺言を残せ、と言われます。
時代的にあの病気ですよね。
そこで唐突に思い出したのが、自分の名前だったのです。
主人公は自分の名前宛に最後の遺物を残す。
そして家主は死んだのだと直感します。

ふしぎな話だ。俺は俺にこれを残すしかないのだ。

主人公はついに、大切な人を見つけることができたのです。

☆★

こんなん話です。
これは今でも気に入っていて、単に語りたかったのでした。
失礼しました。

もし図書館や古本屋で見かけたら、愛でてやってくださいね。

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