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余命10年(著:小坂流加)【読書紹介の寿命は10分だと思っていた。それ以上の時間が経ったらもうダメだと思ってた。だけど本当は】

著者の小坂先生は、ほぼこの一冊だけを書いて亡くなりました。
小坂先生自身の病状をモデルにした主人公を立てて、
残り時間の少ない女性の、短く輝いた恋愛の話を描いた作品。

映画化もされていますが、未視聴です。

闘病記小説でもあり、恋愛小説でもあります。

闘病記の方は、小坂先生自身のことを、
ほぼほぼそのまま書いていると思われます。
病気の名前も同じ。
といっても小説なので、
もしかしたらフィクションの要素が入っているかもしれません。
たとえば、

最初の方で同じ病気の先輩と仲良くなります。
この病気が、時間はかかるけど、
いずれ必ず止めを刺しに来る不治の病で、
先輩も若いころに、同じ病気の人に説明された。

だからあなたに引き継ぐの。いずれ訪れるときにそなえて、
今から身構えておきなさいと言い残していきます。
この後、先輩は夫と子どもに看取られて亡くなります。

そして主人公も、物語の終わりの方で、
若い中学生の女の子に病気の説明をします。
この病気は余命10年なのよって。昔の自分みたいな少女に。
そして最後の時に、その少女は視界には入ってきません。

もちろん、看取るのは家族の役目ですし、
関係ない後輩はおそらく遠くから見ているだけなのです。
かつての自分がそうだったように。

切ないですよね。

終わりは最初から決まっているのです。
それまでの短い時間に、いったい何をどれだけ、詰め込めるんだろう?

最初から悲壮感や切なさが全力疾走で仕事をしていますので、
泣きたい人は泣けます保証付きです。
だから泣くと良いのです。

いっぽう、恋愛要素の方は、ゆっくりのそりと進んでいきます。
最初の頃は、主人公も自由に出歩けます。
慢性の病気は、時間が経つと確実に命を奪いに来ますが、
一定の時間が経つまでは、健常者と同じです。

もちろん健常者も何十年というスパンで観れば、同じ転機を辿るのですが、
余命10年と余命50年はまったくの別物です。

やがて、ふたりの恋は伝説になるのです。
今回はここまで。次回もよろしくお願いします。

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