トレーナーとして海外で働くために大事な5つのこと
ChatGPTにこんな質問をしてみました。
そして、返ってきたものがこちら。
僕はモンゴルのスポーツ現場で活動を始めてから7年が経ちますが、この内容にはとても共感できます。なので、以上のことをしっかりと踏まえて、みなさんも頑張ってください!
って終わったら、わざわざ記事にする意味ないですよね。わかります。
そこで、今回はChatGPTに書いてもらったものをもとに、AIには書くことのできない錦戸個人の経験と考えをお伝えしていきます。
※この記事で表記するトレーナーとはスポーツ現場で活動するATやCSCSおよび柔整・鍼灸・PTなど全般を指します。
はじめに
意外と知られていない、というか現地に行ったことがある人にしかわからないことですが、世界トップレベルの舞台でプレーするチームであってもトレーナーが不在しているケースは少なくありません。もちろん、野球のメジャーリーグやサッカーのプレミアリーグなど誰もが知るようなところでは何人も常在しています。
ところが、たとえば今の僕の活動拠点である柔道モンゴル代表チームはオリンピックや世界選手権のメダリストを何人も輩出しているレベルなのに常在するトレーナーは過去をみても自分以外にゼロでした。このようなチームでは特に大きい大会にのみ医者が派遣されるも、他の国際大会や普段の練習には医療関係者が帯同することはありません。選手をはじめとするチーム関係者はトレーナーの必要性を強く感じているも、そのような人材がそもそもいないことがほとんどです。
柔道の大会や合宿で他の国のコーチとお話をさせていただく機会がよくあります。その際に冗談混じりに「僕の契約が今年で終わるのでそちらのチームで働くことはできますか?」と聞いてみると「本当か?給料はいくら欲しい?今の給料はいくら?」みたいに結構食いついてくださいます。日本人の指導者を有する代表チームがいくつもあるのでそこを利用するのもありですね。
加えて、海外の人から見た日本人のトレーナーに対する価値は非常に高いです。日本人の誠実さや勤勉さなどの性格に加えて日本の製品や文化なども含め、そもそも「日本=優れている(信頼できる)」というブランドが確立されています。
「自分なんかが海外で通用するのかな?」と思うかもしれませんが、そんな心配は無用です。先ほど述べたようにそもそも人材がいないところにおいてはその能力を推し量る基準すらありません。たとえば食料不足で悩んでいる地域の人々にとっては、日本のスーパーに置いてある半額の牛肉でも喉から手が出るほど欲しいと思います。まずは空腹を満たしたい状態なので、たとえA5ランクの松阪牛をあげたところで肉は肉でしかないし、その味の違いなんてあまり気にしないかもしれません。甘く見て成長意欲が低いのはナンセンスですが、僕が言いたいのは自身を過小評価することで海外挑戦しないのは単なる逃げでしかなく、あなたを必要としてくれるところはいくつもあるということです。
しかしながら、たしかに簡単な道のりではありません。SNS上において、海外で活動するトレーナーの存在は意外と多くいらっしゃり、一見とても輝いてみえます。しかし、背景にはそこに辿り着くまでの険しい道のりがそれぞれにあったことでしょう。
チームから情報発信の規制をされてたり、ネガティブなことは曝け出したくなかったり、見ている人を不快に感じさせてしまったりするため、あまり目に留まらないだけです。そこは勘違いのないように。
※僕は特に縛りがないうえに、飾らずにありのままを知って欲しい思いがあるため、結構オープンに出しています。
1.資格と経験を積む
資格は何かしら取得しておくべきですが、それが他の国でも有効かどうかは資格の種類やその国の法律等で異なってくるので要注意。事前に調べておく必要はありますが、基本的には日本での取得した資格は海外で無効だと思っておいた方がいいです。日本での実務経験も含めて、自身が何をできるのかアピールするための道具としても資格は大事ですね。スポーツチームのみで働く場合の資格問題はグレーゾーンでもあるので、チームの関係者によく確認しておくことをおすすめします。
「卒業して〇年経験を積んでから海外に挑戦しようと思う」という方を何人も見てきましたがそれではもう遅いです。このように考えている人はほぼ100%その〇年が経った頃には気が薄れて海外挑戦することはありません。〇年経ったところで納得のいく知識や経験は備わっているかわかりませんし、それを雇用側が求めているものでなかったらどうでしょうか?数日や数ヶ月でもいいからまずは海外に出てみて、現実を肌で感じる方が100万倍いいと僕は思います。
海外挑戦に限った話ではありませんが、同様に学生のうちから現場に触れておくことはとても重要です。おそらくどの専門学校でも大学でも任意者に向けたボランティアや授業外の現場実習を学生にアナウンスしていると思います。たとえなくても、自分から先生に聞いたり気になるチームに連絡したりする方法もあります。プロや社会人スポーツチームはほぼ必ずホームページがあるので、ネットで調べると問い合わせのところに担当者のメールアドレスや電話番号が記載されています。僕は複数のプロ野球やJリーグのチームに連絡してみました。どれも敢えなく未遂に終わりましたが、丁寧に対応してくれました。
「相手に迷惑がかかるかな」なんて心配になる必要はありません。最低限のモラルと熱意があれば何かしら相手も対応はしてくれます。連絡してくるなと怒られた経験はありません。お金や時間がかかるわけではないし、ブラックリスト入りして今後その業界で働けなくなることになるわけでもありません。使えるものは貪欲に使った方がいいですよ。
また、そのときは将来役に立たないかもとは感じたとしても、意外とそこでの経験や人脈が何かにつながることが多いにあります。卒業して仕事に就いてしまったらそれこそ他を知る機会が圧倒的に減ってしまいます。ましてや「見学させてください!」というお願いを卒業して数年経っている人と知らないことだらけの学生に言われたら、どちらにチャンスを与えたくなるでしょうか?いわずもがな、学生のうちが華ですよ。お金がなくバイトをしなければならないかもしれませんが、学生のときの時間がどれだけ価値のあるものか…すでにそのことに気づけているあなたは素晴らしい。というかこの記事に目を通していること時点で素晴らしい。
2.外国語の習得
相手が求めていることを理解したり、自分が思っていることを伝えたりするために外国語の習得はもちろん大切になってきます。僕にとって盲点だった出来事がありました。それは卒業後の進路をモンゴルに決めて英語の勉強を本格的に始めようと思い、アメリカ留学の経験がある大学の先生に相談したときのこと。その先生からは「モンゴルは何語が標準語なの?」と聞かれ「モンゴル語です」と答えました。「じゃあ英語じゃなくてモンゴル語をやるべきだよ」とアドバイスをいただきました。
これを読んでくださっているほとんどの方からしたらそらそうだろと思うかもしれませんが、当時の僕は海外で活動するのだからまずは英語が必須だろうと考えてしまっていました。自分たちの立場に置き換えて考えてみると、それはいかに愚かな考えであることかすぐにわかります。外国人が自分のチーム(職場)で働くことになった際、ペラペラな英語で話されるよりもたとえクセのあるカタコトであっても日本語で話してくれる方がありがたいし、親近感が湧きませんか?
ある程度英語が通用するような国であるならば話は別です。たとえ将来また別の国で挑戦することを考えていたとしても、まず行こうとしている国の公用語が英語以外であるならばそれを優先して習得した方が圧倒的にいいと今の僕は思います。僕はいまだに英語でまともにコミュニケーションを取ることができないものの、モンゴル語に特化したおかげで今の錦戸がいます。
言葉を覚えることに抵抗感や難しさを感じる日本人は少なくないと思いますが、現地に飛び込んだら意外となんとかなるものです。
長くなるので言語習得に関してより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください⇩
3.ネットワーキング
プロや社会人のチームでたまに求人情報が出ていることもあります。ですが、スポーツチームでの契約は人づてにチャンスが舞い込んでくることの方が主流であると思っていた方がいいでしょう。僕が柔道モンゴル代表チームに関わる機会を得たのは、大学のゼミでお世話になっていた指導教員のおかげです。その方はモンゴル代表チームの監督とかつて一緒に働いていたことがあり、チーム体制がガラッと入れ替わるタイミングで僕のことを紹介していただきました。以前から指導教員には自分のやりたいことや今後の展望を話していたため、それによりタイミングが遅れることなくスムーズに事が進んだとも考えています。
僕自身まともに日本で働いた経験がないので聞いた情報にはなりますが、Jリーグも基本的には誰かからの紹介であるようです。どこでどんな出会いがあり、それが何につながるかわかりません。積極的にさまざまなところに足を運び、そこでの一期一会は大切にしていった方がいいですね。
Linkedlnに関しては僕も登録しています。『海外の病院・クリニック』や『海外のジム』などに就職したいのであればLinkedlnを用いるのもありだと思います。しかしながら『海外のスポーツチーム』に限っては、先ほども述べたようにそもそも求人に出てくることがほぼなく、実用性が低いと感じているので個人的にはオススメできません。競技成績が重視されるスポーツの世界において、ネットで見ず知らずの外国人を雇おうなんて考えないと思います。
しかし、言葉と現地での経験がある程度得られている状態であればSNSを活用するのも一つの手です。僕はモンゴル生活3年目あたりからモンゴルのさまざまな競技の代表監督や協会の会長らに対して、Facebookで手当たり次第にメッセージを直接送りまくりました。自身の実績をモンゴル語で書きつつ『日本人のトレーナー』を前面に出したことで「はじめに」の項でも述べたようにとても興味を持ってくださり、レスリング・フェンシング・バレーボールの代表チームとの関わりもできました。やって損することはありません、どうせダメでも日本に帰ったらそんなこと元々なかったも同然になるなので。
また、少し調べてみれば海外で現在活動中もしくは活動した経験のある日本人トレーナーが何人も出てくるので、直接連絡してみるのも一つの手でしょう。リアルな情報に触れることは大事です。僕でよければ、いつでも気軽にご連絡ください。
4.柔軟性と適応力
国が違えば文化や常識は異なります。日本では当たり前だと認識していたことであっても、その国の当たり前ではないです。別の国に飛び込んだのなら、そこの方々からしたらあなたが外国人です。「郷いれば郷に従え」ということわざがあるように、多少のことは許容してそこのルールに従わなければならないことは覚悟しておきましょう。
特に日本と海外で異なることの代表的なもので言えば、時間や約束は守られないケースが多いことです。臨機応変に、時にはその場のノリに合わせて行動する素早い判断力も必要になってきます。そのことに対していちいちうだうだと文句垂れているようだと、海外でやっていくのは厳しいです。時間や約束をしっかり守れる人と働きたいのであれば、日本にいるべきだと思います。
むしろ理不尽さを面白がるくらいでないと精神的に病みます。実際、僕は生活や周りのヒトの環境が酷すぎて鬱になっていた時期もありました。それを乗り越えて今ではちょっとやそっとのことでは動じなくなりました。
理不尽な経験談についてはこちらの記事を読んでみてください⇩
5.夢を追い求める勇気
ここまで読んできていただき薄々勘付いた思いますが、理不尽な出来事や嫌な思いをすることは必ず起こると覚悟しておいた方がいいでしょう。ですが、そんな経験が自身の成長や将来のより大きな功績に繋がることも理解しておきましょう。その場では失敗やネガティブな経験であったとしても、挑戦し続けて何かの成功を成し遂げられることができれば、それはやってよかった経験に変わります。
海外での挑戦をしていく中で、数々の大きな壁が立ちはだかることでしょう。人間誰しもそんなに強いわけではありません。僕もどれだけ悩んできたことか。ですが、苦しいときこそ歩みを止めずに行動し続けることが大事。
いい思いしかしないようなものであれば、みんなやりますよ。やりたくない理由が何かあるから海外挑戦する人は少ない。逆に考えれば、誰もやりたがらないことを率先してやることで他の人にない武器を得られる可能性も高いです。一度きりの人生、あなたはどちらを選びますか?
おわりに
LinkedInの創業者リード・ホフマンの名言の1つに「スタートアップとは、崖の上からから飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ」という言葉があります。海外挑戦もまさにその通り。ほとんどの人がやったことのないことなので、ここまで準備できたらもう大丈夫なんてラインは存在しません。多少準備不足に感じていてもまずは現地に飛び込んでみて、そこで経験したことをもとに自己研鑽や進路修正などをしていった方が得策だと僕は思います。
手前味噌になりますが、僕は23歳から国を代表するチームのヘッドトレーナーとして活動してきました。この年齢でそんなことをしている人はほぼいないと思います。赤裸々に話すと、繰り返しになりますがそもそもモンゴルにはトレーナーがゼロだったからという背景が大きいですけどね(笑)。そんな情報は調べて出てくるものではないので、飛び込んで初めて知り得る情報はたくさんあります。たとえ困難に感じるようなことであってもまずは思い切ってやってみてはいかがでしょうか?
今回の記事は、あくまで僕が経験したモンゴルでの7年間をもとに書いたものであり、他の国や他の競技ではまた異なる部分があるかもしれません。ですが、根幹的なところはほとんど共通しているのではないでしょうか。
一部の人からしたら「たいしたことしてないのに何を偉そうなこと語っているんだか」と思った方もいらっしゃることでしょう。そりぁ、僕がメジャーリーグやプレミアリーグで活躍されている日本人トレーナーさんの隣に並んで歩くなんてとてもできませんよ。でも、そこだけが全てではなく、いろんな道があるということが少しでも伝わればいいかな。高みの見物をしているわけではなく、これからもさまざまなことに挑戦していく中で、少しでも仲間が増えたらいいなという思いで発信をしています。
また「学生のときに知っておきたかった」なんて感じた方がいらっしゃるかもしれません。しかし、この記事を読んでいるときがあなたのこれからの人生で一番若い瞬間です。「もういまさら遅いよ」と思い今までと変わらない生活を送るのか、「まだできていなかったあれをやらねば」とすぐ行動に移すかはあなた次第。
僕の経験が少しでも誰かの役に立てることを願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
実際働くにはビザや事務手続き、用意すべき書類など必要不可欠な準備もあるので、それらについてはまた別の記事にしようと思います。
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