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切手という小宇宙 その2 クリスマス:番外編

前回の記事からだいぶ時間が経ってしまいましたが、切手の話・第2弾は、クリスマスにちなんで、いきなりの番外編を。

前回の記事はこちら


複十字シール

皆さまの中に、複十字シールというのをご存知の方はいるでしょうか?
横2本線のロレーヌ十字が特徴の複十字シールは、結核の撲滅と予防のための募金手段として、世界中で現在も発行されている。
複十字シールは一見切手のようだけど、切手ではない。
なぜなら見てもらうと分かるが額面が入っていない。なので切手としては使用不可だ。
しかし、郵便局で発行されており(結核予防会からの国もある)古いものは切手屋やスタンプショウでも販売されている、ちょっと謎なジャンルだ。
手紙の封をする時に貼ったり、ポストカードのデコレーションとして使うことが推奨されている。

世界のクリスマスシール

複十字シールの中でもとりわけ人気があるのが、クリスマスシールだ。
可愛くて素敵なデザインが世界中で多数製作されている。

デンマークのクリスマスシール

1904年、結核で苦しむ子供達のための基金として、デンマークの郵便局員エイナー・ホルブルの発案により、世界で初めてクリスマスシールを製作したのがデンマーク郵便局と言われている。
クリスマスシールの中でもとりわけデンマークものは、常にコレクターが目を光らせている。
デンマークのクリスマスシールの何がそんなに素敵かというと、A4位の大きなシート全体で一つの絵になっているところがポイント。しかも1枚1枚切り離してもちゃんとデザインが成り立つという、あっぱれな完成度なのだ。
古い紙もの特有のちょっと粗雑でフカフカした紙の質感や、微妙に褪せたような色合いもたまらない。
中でもお気に入りのものは、額装屋で額縁をオーダーし額装してもらい、一年中部屋の壁に飾っている。


1954年 Claes Lorenzen デザイン

持っている中で一番古いシート。
粉雪の中で白い鳩と戯れる子供たちが描かれている。子供たちのポーズが全部違うという手の凝みよう。神は細部に宿るとは、まさにこのこと。
ちょっと燻んだようなブルーグレーの背景色も味わいがある。


1963年 Ingrid Andersen デザイン
額装後は、こんな感じ
冬は室内が暗すぎるため上手く撮れませんが…

クリスマスツリーを中心に、いろんなポーズのニッセ(妖精)が描かれていて超絶可愛い。グリーンに赤、金文字がアクセントになっていてクリスマス感がある。


1982年 Ruth Christensen デザイン
額装前の写真は撮ってなかった

クリスマスの飾りに使われる林檎を手に持つニッセ達が描かれている。金色がかなり効いた配色。
私が持っているものはミシン目がないけど、切り離して使うなんて出来ようか!

一つ絵になっているものは1950~90年代くらいまでなので、その年代のものは特に集中して人気がある。
ググッて頂くと分かると思うが、古い年代のものはかなりのプレミアが付いているため、もはや切手とは思えない値(しかも本当は切手じゃないし)で取引されている。
私もガチの切手コレクターだった頃は、何としてもデンマークのクリスマスシールを手に入れたく、直接デンマーク人切手商やデンマーク在住の方々とコンタクトを取り、拝み倒して送ってもらった。こういう時だけいきなり降りてくる自分の行動力が怖い…。
これらは私の切手コレクションの中でも屈指の逸品で、今でも眺めるだけでうっとり、ニンマリする宝物だ。

1959年 Holger Jensen デザイン
ユトランド半島やグリーンランドを含めた
デンマークの地図が描かれている

1960年 Poul E.Johansen デザイン
デンマークの国樹オークを中心にして
国内に生息する動物たちが描かれている


いろいろな国のクリスマスシール

1962年 アメリカ
1969年 アメリカ

1968年 カナダ
1978年 カナダ

1994年 フィンランド
1999年 フィンランド
1981年 フィンランド
もちろんクリスマスもサウナに入ります


日本の複十字シール

日本にはクリスマスシールはないけれど、複十字シールは現在も発行されている。
特に1950~60年代など昔のものは人気がある。
色使いが今見てもけっこう斬新だったりする。
コレクターだった頃は、結核予防会JATAに問い合わせまでして、第1回のシールから送ってもらった(現在も入手可能かは不明)

1952年〜1958年

1959年〜1965年

1965年〜1986年

日本のものはなんとなくお正月感があるものが多い。年賀状に貼ったりしても可愛いかも。

2006年〜2007年
2008年

安野光雅さんも長年デザインを手がけていた。


世界のクリスマス切手

これから、日本の皆さんは年賀状書きに忙しくなる頃でしょうか。
日本に住んでいた頃の私は、年賀状は貰ってからお正月に返信するというズボラ人間だったけど、こちらの国に住んでからは、日本の友人、こちらの家族などにクリスマスカードを送るようになったのだった。
その動機として、毎年クリスマスシーズンになると発行されるクリスマス切手が素敵で可愛いので、それを貼りたいからというのもある。


1967〜1976年 ブルガリア
ブルガリア 1989年〜1990年

期待を裏切らない可愛らしさがあるブルガリア切手は、クリスマス切手もどれも素敵なのだ。
他の国のクリスマス切手もそれぞれ味がある。


1983年 フィンランド
子供が針金で引っ掻いて描いたみたいな絵
1988年 フィンランド

1980年 CCCP ソビエト社会主義共和国連邦
オリンピックのマスコットキャラクター
子ぐまのミーシャ

1980年 モナコ
こちらもモナコ
劇画チックな子供の表情がちょっと怖い…

カナダ
モザイク模様のような雪の結晶

韓国
これはクリスマス切手なのか?





今年も世界中で、美しいクリスマス切手やクリスマスシールがいろいろ発行されていることでしょう。
眺めるだけで、世界中を旅したような気分になれる、そんな切手の世界をご覧いただきありがとうございました!




※ 当記事に掲載している切手画像は、私個人のコレクションからのスキャン、写真撮影によるものです。
無断転載・印刷は固くお断りします。
尚、切手についてはデジタル機器で撮影、スキャンした画像をSNS等に掲載する事は著作権・法律等に抵触することはないそうですが、印刷するのは厳禁です。
https://twitter.com/kitteclub/status/1254212233707401216



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