親の期待
高校時代の話。
受験が近くになった高校2年生か3年生くらいの頃だったろうか。
兄は高校卒業時、希望する大学への受験を失敗し、一浪していた。
そして、専門学校へと進んでいた。
当時のことは本人しかわからないけれど、受験に身が入らず、あまり勉強しているようには見えなかった。
母がこのころの私によく言っていたのが、
お兄さんは失敗したから、あなたには期待している(語尾は定かでないけれど。大学に入って欲しい、いい大学に入って欲しい云々という意味だと思う。)
それを言われるのがすごく嫌だった。
なんだか知らないけれどすごく嫌だった。
すごく重荷や負担に感じた。
あるとき、母に言ったことがある。
期待されんのが嫌なんだよ!
重荷なんだ!
すると、母は言った、
親が子供に期待して何が悪いの!
いや、重荷や負担だから嫌だと言っているのだけれど。
気持ちは全く伝わらなかった。
辛く苦しい気持ちを吐露しても、全く伝わらなかった。
今考えると、自分自身も世界が狭く、勉強していい大学に入っていい就職をして…というような生き方以外の選択肢を知らなかった。そして、どこかでそこから外れることに恐れを持っていた。
今、当時の自分に声をかけてあげるとしたら、世の中は君が思っている以上に広いよ。
いろんな人がいて、いろんな生き方をしている人がいるよ。
いろんなところを旅したり、いろんな人に会って、世界を広げてみるのもいいかもしれないね。
今が辛いなら、逃げ出してもいいよ。大丈夫だよ。親と合わない、親が合わない、それで辛くても、わかってくれる大人や仲間は、きっといるよ。
だから、君には、辛い苦しいばかりじゃなく、楽しい、喜び、面白い、興味がある、気持ちいい…
そんな感覚もいっぱい味わって欲しいな。
せっかく生まれてきたんだし、そんな風に思える日々は、きっとくるし、世界は広い。
今いるところが嫌なら、別の場所を探してもいい、別の道を探してもいいんだよ。
えっ、自信がない?
怖い?
僕には無理?
そんなことはないよ。
怖いなら、安心するまで話も聞くよ。
自信がないなら、一歩ずつでもいいんだよ。
君にはきっとできるよ。
そんな言葉を、当時の自分に伝えてあげたい。
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