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妄想彼女:「ユナ」という最高に好きだった彼女

【はじめに】

ユナ(仮名)は実在の人だ。
俺が今まででこんなに夢中になった人はいない。

そのせいか、終わりも早かった。
なぜか思い出す。あの時の言葉の一つ一つを。

楽しさと後悔がちょうど半分。
人生の節目を感じた時だ。

わずかな妄想を付け加え、ここ記します。

【その名は「ユナ」】

進学して3カ月。
ある日、高校の時の彼女からの電話。

どちらかというと、純愛で終わった人だ。
その時の俺は奥手で何もできなかった。

お互い何か足りない終わり方だった。
ぎこちなさを感じるのは当然か。

・・・

「今度、会おうよ。こっちに来てるでしょ?」
「ああ。近いね。いいよ。」

1年ぶりか?
俺は一年浪人していた。

合格の話を聞いたのだろう。
気を使ってくれる人だ。

付き合っている時は正直、そんなに好きではなかった。
いなくなってから色々気付く。後から好きになるタイプだ。

見守り系のやさしく、もろく、人に依存しやすく。
と思うと、どこかへ行ってしまう。不思議な人だ。

今回も連絡があるなんて、思ってもみなかった。
見守り系もいいよね。と。ちょっと思う。

・・・

その見守り系と会うとやはり・・・。
であるが、過去の俺を知ってるって。なんかね。

できなかった。
役立たず。。。

で、彼氏がいる人と、こんな会い方はできない。
ということで、次はみんなで飲みに行くことになった。

・・・

「ユナです。よろしくね。」
やばい、きた!。一目惚れだ。

他の子も。であるが、ちょっと上から目線。
それで切れ長な目をしている。人を見透かすような。

背は俺より5cmくらい低いか。
頭に何かが浮かんできた。

・・・

色気のある服を着ている訳でもない。
一声でやられた。やばい~。

どうする?。当然、元カノも同席だ。
多分、この動揺はばれてるな。きっと。


【告白】

衝撃の出会い。
昨日のことで同席した奴らは、どの子がいいかで盛り上がっている。

なぜが、全員意見が分かれた。
それぞれアタック計画を発表している。

ユナは今までのやさしい系ではないのは明らかだ。
きっと、そういう子とも付き合ってみたい願望があったはずた。

・・・

ただ、元カノを通して情報を得るしかないのな?。つらい。
あの子 やさしいからな。教えてはくれるだろうけど。。。

ちょっと、最低な元カレだな。
ユナも知っているはずだし。うまくいくかな?。

・・・

「ユナと付き合いたい。連絡先を教えてほしい。」
「いいよー。ちょっと妬けるけど・・・。」

「ありがとう・・・。」
「また、連絡ちょうだいね。」

やさしすぎる。逆に心配になる。参ったな。
その路線にも弱い俺を知っているだけある。

また、帰っておいでと言われた感じだ。
その時はそうしようかな?

・・・

いきなりお母さんの軽い尋問から始まる。
「では、ユナに代わります。」

それはそうでしょうね。年頃の娘に電話すれば。
(まだ携帯電話はなく、固定電話が連絡の手段の時代の話です)

「ああ。○○君。どうしたの?」
「えーと。今度遊びに行こうよ。日曜日はどう?」

「うーん。いいけど・・・。知ってるよー。」
「それでも好きなんです。付き合ってください。」

「えー。いきなりは無理だよー。友達からお願いします。」
「はい・・・。そうですよね。でも、会ってくださいね。」

なんとか会う約束はできた。
彼女にするには、手ごわそうだ。かなり。


【再告白】

その日のことはよく覚えている。駅で待ち合わせだ。
初めて二人で会う。

おしゃれな子だ。派手さはないが清潔感がある。
俺はおしゃれではない。それなりで限界だ。

駅前が商店街になっている。
おしゃれなお店の間をなんとなく歩く。

俺はこの辺りは詳しくない。
ユナが選んでくれた。

・・・

ケラケラ笑う。嫌味がない。あの時と同じいい笑顔だ。
一緒に歩くと背の高さがよくわかる。

連れ去りたくなる。ちょうどいい背格好。
ちょっと高い声、冷たさのある受け答え、かわいい笑顔。

まったく予想できない。初めてのタイプだ。
一緒に居るとどんどん引き込まれる。

当の本人は、友達以下のお付き合いでという感じだ。
これ以上は望んでいません。とオーラを発している。

それがさらにユナを好きになっていく原因である。
逆効果だぞ!。と教えたくなる。

・・・

こんな感じのお出かけが3月くらい続いた。
もう我慢できない。また告白するぞ!。

今日は俺の下宿先に遊びに来る。初めてではない。
でも、薄々感づいているはずだ。

いつ再告白されても、おかしくないことは知っているはずだ。
答えも決めてあるであろう。そういう子だ。

・・・

いつも通りの最寄り駅に迎えに行く。
改札をで出てくる。なんていい笑顔なんだ。

家に着く前に、言ってしまいそうだ。
今日は再告白するだけと決めている。

そうしないと、最後までたどり着いてしまいそうだ。
きっとユナはそれは望んでいない。と思う。

・・・

飲み物はやかんで沸かした湯でお茶だ。
いつもと変わらない。

ユナとは月に2回くらいしか会えない。
友達だから仕方がないが、俺的にはすごく我慢をしている。

近況を話合う。特に変化はないようだ。
そろそろいいかな?。

・・・

「ユナ。もう一度チャレンジするよ。好きだ。付き合ってくれ!。」
「・・・。元カノのことは大丈夫なの?」

「大丈夫だ。友達だ。友達として会える。」
「それならいいけど。ちょっと気を使うな~。」

「・・・。」
「今度、一緒に会ったら元カノの前でどうすればいいの?」

「友達として会うしかないかな?。それしかないよ!」
「あなたはいいわよ~。私は学校でずっと一緒に居るのよ~。」

「うー。・・・。」
「まーいいわ。付き合ましょう。ただし、・・・。」

・・・

「ただし?」
「私の家に来ること!」

「お母さんが心配してるの」
「はっ?お母さんが?」

「そうよー。電話してくれるでしょ?」
「当然!」

「最初に電話に出るのはお母さんよ。」
「確かに。今までそうだね。」

「付き合ってるのに顔も見せないなんて、電話断られるわよー。」
「そうですよね~。気に入られなかったら?」

「大丈夫。今までの○○君の電話の受け答えで分かってるみたい。」
「それなら。いいけど・・・。」

「じゃあ 今度はユナの家に遊びに来てね!」
「はい・・・。」

軽いキスを交わして、駅へユナを送った。
まずは成功かな?。


【親子面談】

今日はユナの家に行く。
電車で1時間くらいか。

改札の先にユナが迎えに来ている。
相変わらずの笑顔だ。

彼女としての笑顔だ。最高だ。
やっと付き合えた。ずっと一緒にいたい。

「そう、○○さんはご長男なの?」
「はい、姉と弟がいます」

「ユナ。大丈夫?」
「お母さん!何を言ってるの?」

「ふふ。○○さんユナをよろしくね。生意気でしょ?」
「あはは・・・。」

「お母さん!また!、何を言ってるの!?」
「ふふふ。」

・・・

「さすが○○さんね。お母さんは安心したみたいよ」
「へー。よかった~。」

「真面目そうで、いいじゃない。 だって~。騙されてる~。」
「騙してないよー。」

「ユナは騙されて付き合ってるじゃない?」
「いやいや。素直に好きです。」

「それよー。○○さんのそれにやられちゃうのよー。」
「それ?」

「それ!。お母さんでさえ!。」
「ふーん?」

「家に彼氏なんて入れたことないよー。しかもユナの部屋にまで。」
「そうか・・・。ありがとう。ユナ」

・・・

「これで、堂々と○○さんと遊びに行けるよ!」
「よかったー。じゃー。頑張ったご褒美くださいー。」

「うーん。もー。ちょっとだけだよ。」
「うん。やわらかーい。」

今日は服の上からご褒美をもらえたぞ!
成功した時の事前交渉しておいてよかった!。


【天国から地獄】

俺とユナの温度差は相変わらずだ。
好きすぎる俺に対して、ほどほどでよいユナ。

攻めるほど防御が固くなるあれに似ている。
一通りのスキンシップはできている。

いつも新鮮だ。でもその頻度は変わらず。
月1くらいだ。この若さでこれはキツイ。

まあ、会えば笑顔に騙されてしまう。
大好きだ。今を満足している。

・・・

付き合い始めてから半年が経った。
ユナは学校を卒業して内定先へ就職する。

ちょっと焦りあがる。会社とは?社会とは?
ユナは新人だけど頑張り屋だ。仕事の話が多くなってきた。

いつも書類を持って遅く帰ってきている。
励ますつもりで電話する。

でも、会話が見つからない。
無言の時間が流れないように、くだらない話を始める。

・・・

「ねー。○○ー。(この頃は呼び捨て)」
「何?」

「電話は週1回にしてくれない?会うのも月1回でいい。」
「ああー。そう。今日もお疲れ様。じゃー、お休み。」

慌てて電話を切る。これ以上追加で何か言われたくないからだ。
待とう。今は大変な時なんだろうな。社会人て。

・・・

電話するのが怖い。言葉が見つからない。
会いたいけど、何を話せばいいのかわからない。

「ねー。もう眠いから電話切るね。」
「ああー。お休みなさい。」

「今日ユナは疲れて寝てしまったわ。また電話してね。」
「わかりました。お母さん。お休みなさい。」

「明日はゆっくり家で休みたい。」
「そうだね。お疲れ様。またね。」

「会社の人がね。###でね。あはは!」
「そうなんだ。あはは・・・。」

「今度、会社の人とスキーに行くね。お土産買ってくるよ。」
「そう。今度は俺が連れて行くよ」

「免許も車もない人が何言ってるのー。」
「ああ。免許取りにいくよー。」

「今度の連休は泊りに誘われちゃったー。行ってくるねー。」
「そうなの?。わかったよー。」

・・・

ユナが就職してから半年が過ぎた。
本当に月1回会ってるのかな?会ってないような~。

俺より会社の人と会ってる方が楽しそうだな~。
会社のことは分からないよ。学生には。

そろそろ限界だよ~。
ユナ。。。


【その時 それでよかったのか?】

ユナが就職してから半年。あまり会ってる感じがしない。
それが増幅されて更に好きになる。

会話もできないのに、ただ好きなっていく。
どうしたらいい?

「○○ー。今度の日曜日大丈夫?車で迎えに行くよ!」
「え~。すごい!。待ってるよ」

久しぶりにユナからの電話だ。
ユナの家の車でドライブだ。助手席だけど仕方がないか。

うれしすぎる。いい声だ。
最近のユナは声も沈んでいて、俺といてもつまらなそうだった。

当日の朝、ユナから電話があった。
何だろう?道にまよったかな?

「○○ー。今日は都合が悪くなった。ごめんね。また今度にしよう。」
「えー。楽しみだったのにー。わかったよ。またね。」

またね はいつ来るんだ?。今回も1カ月以上会ってなかったぞ。
よくわからないが、駅に向かった。

・・・

ユナの家に行くんだ。会いに行くんだ。
1か月我慢したのに、会えないなんて無理だ。約束もしたのに!。

わからない。確かめるんだ。
本当に俺のこと好きなのか?俺は彼氏なのか?

「駅まで来ちゃった。会えないか?」
「もうー。しょうがないわねー。家に来なさいよー。」

「お邪魔します。急にすみません。」
「ああー。○○さん。ユナがわがままでごめんなさいね。」
「いいのよーお母さん。ユナは調子が悪いんだから。」

「じゃ。ユナの部屋でじっとしていてね。一緒に寝てて。」
「うん。でもちょっと触らせて。」

「だめだよ。もー。だめだってー。」
「少しだけ。お願い・・・。」

・・・

あー。ユナを怒らせちゃったな。
顔も見てくれない。

「ねー。ユナ ごめん。」
「・・・」

「ユナー。」
「・・・」

「ユナは俺のこと好きじゃないのかい?」
「・・・」

「好きか好きじゃないかのどちらかでしょ?」
「・・・」

「ねえ。答えてくれないの?」
「・・・」

「・・・」
「・・・」

「わかったよ。もういいよ。帰るね。じゃあね。」
「・・・」

俺は無言でユナの家を出て行った。
来なければよかった。後悔した。

ただ、ユナが追いかけてくるかも。
その淡い期待は実現とはならなかった。


【あの時 と それから】

あの時ユナは追いかけてこなかった。
それが更に俺に割り切らせた。

あれから1カ月。
電話もしてない。当然だ。

好きと言われなかった。
一気に冷めたのがわかる。単純だ。俺って。

あの時で終わってしまった。
なのに。。。こんな時に限って色々誘われる。

こんな状態でモテ期到来だ。皮肉だ。
しばらく無理でしょう。最強に好きだったし。

そんな時、電話が鳴る。
「・・・ユナだけど・・・」

その瞬間、溜まったものを吐き出してしまう。
「なんだよ。電話なんかしてくんなよー!!。」

「どーせ車もねーよ!、金もねーよ!、暇な学生だよ!。悪かったな!!!。」
「えっ!???・・・」

言ってしまった。もう戻れない。
これでユナとは本当に決別だ。

・・・

ユナと少し話した。
「もうユナの家に電話なんてしないよ。」
「私も。しないもん・・・。」

お互い泣いていた。
もう、戻れないことが分かったからだ。

「明日も会社あるんでしょ?。もう寝なよ・・・。お休み・・・。」
「・・・」

電話を切った。
あんなに好きだったのに。終わらせてしまった。

もう、あんなに好きにならないな。きっと。
もう、こんな目に合うのいやだ。

しばく、彼女はいらないな。
一生に一度のモテ期かもしれないのに。


【その後 と それから】

俺はバイトに明け暮れいた。
何か色々と積極的に動いていないと。

ユナを思い出してしまう。
前に進みたい。

やっぱり、新しい彼女ができれば?
と思うが、面倒なのはいやだ。

・・・

電話が鳴る。無言電話だ。
そのたびにユナかな?と思ってしまう。

ユナからすれば、俺なんて元々そんなに興味はなかったかも。
元カノの存在や俺の強引さに折れただけかな。

ユナの誠実さは本当だった。就職するまでは。
仕事でそれどころではなくなってしまったのかな。

だから、余分なものから切り捨てたのかな?
なんか悲しい。余分なものだったとすると。

でも、最高に笑顔が好きだった。それだけは捨てられない。
あの最高な気持ちは二度と来ない。俺の大事な青春だ。

・・・

たまに思う。バイト先にユナに似た人が来ることがある。
本人かもと思うが、二度見することはない。

もう、あの気持ちには戻れないのだから。
次に俺をときめかせる人ってどんな人なのかな?

それを考えると、ちょっと楽しみかな。
今の俺は、てごわいぞー。

おわり


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