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あるノルウェーの大工の日記。


セルフビルドだなんだ・・・と書いていたら読みたくなって久々に再読。

やはり、面白く読めた。

自分はセルフビルダーでもあるのである程度”同族”・・・面白くて当たり前なのかもしれないが、帯にもある売れ行きを見るにセルフビルダー/DIYerの間だけで人気なわけではなさそうだ。
(それだけの数セルフビルダーがいたらそれはもう愉しいことで、世の中も少しはマトモなんだろうなとはなんとなく思うけれども。)

フリーの大工さんが既存の住宅の屋根裏部屋の改築を請け負うところから、仕上がり・引き渡しまで。

屋根裏の改築、という時点で住宅事情的にすんなり入れる国と、そうでない国とありそうなのに広く受け入れられている。(日本ではあまりリアルでないスタイルですね。)

基本的にはフリーの職人さんの苦労と歓び、正直な仕事ぶりが淡々と。時代の変化に少し憂いてみたりもする。(IKEAに関する考察も少々、登場する。)

仕事あがりに仲間の職人とパブでイッパイ。会社勤めの他の客と軽く論争。

仕事はすぐには終わらない。季節は進み春が近づき仲間と釣りに行って週末を愉しみリラックス。

その合間合間に北欧ならではの事情・ライフスタイルが垣間見えたり。

それだけでも十分面白い読み物なのだが、やはりそれだけじゃあない。

セルフビルダーとしていつも思うのは、みなさんやはり自分の家がどうなっているのか正直な事情を知りたいのではないか?

だからTVでリフォームの番組なんかとても人気を得たりする。(アレは面白かったですよねぇ。)

こういう正直な本を読んで(見積もりの現実的な金額なんかも出てきたりする。もちろん日本とは貨幣価値が違うだろうから、すんなり参考にはできないのだけれど。)尚且つ自分で家を造ってみたりすると、さらに思う。

家の価値。

日本の家は高すぎる、というのはよく言われますね。

そのうえ住んでいる人たちはその中身をあまり知らされていない。正直な仕事が為されていないという話もよく聞きます。

そこにあまりに高い対価を、あまりに長い時間かけて払い続ける・・・ちょっと切ないし、疑問を感じます。

セルフビルドはそこら辺の住宅事情に対する答え・ヒントのひとつではあるのかな。

もちろんセルフだってそれなりにお金はかかります。でもその中には工具代等自分たちにとって財産となるものも多い。

失敗だって結局は自分のせい、ですからね。これ以上納得できる出費はない。(身につく度合いも違うと思います。身銭を切る、ってヤツです。)

自分の家がどうできているのか?を知っている・・・というのは決して悪くないですよ。現実的にも、気分的にも。問題が起きた時の対処もすぐに思いつくし、なにより多少イビツでも眺めてて、暮らしてて・・・絶対に嫌いにはなれないものです。

いずれ。

本屋としていつも思うのは、自分が勧める本はキッカケにすぎないということ。

どんな分野でもどうだと思うのですが、最終的にはお客さんのが詳しいんですよ。ホントに。そんな中出来るのは問題提起くらいものだな、と。

捉え方はいろいろでも、家を持つというのは決して軽い決断ではないですよね。

願わくば家について真面目に考える方の、よいキッカケとなりますよう。

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coldmountainstudy  店主:鳥越将路




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