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世界のなす事情🍆(生産編)

むぅちゃんはなすが大好き🍆
和食にも中華にも洋食にも合うし、万能なお野菜ですよね👀
そんななすは世界でどんなふうに作られてきたんだろう?
きょうは世界のなすの生産について学んでいきましょう✨

🔍ちなみに…
アメリカには「Eggplant(なす)」という名前のオシャレなジャズミュージックがあります。
なす料理が得意な女性と、その女性に魅せられた男性の歌となっていますので、ご興味がある方はYouTubeなどで聞いてみてくださいね🌱


世界のなす生産量ランキング

2022年におけるFAOSTATのなす生産量に関する統計結果を見ると、なす生産量世界第1位は中国であることが分かりました。
第10位までのランキングを見ると、1位の中国・2位のインドだけで全体の8割以上を占めていることが分かりますね👀

FAOSTATデータベースより品目「Eggplants」における2022年生産量(t)の上位10か国を抜粋

なすってなんとなく欧米っぽいイメージがあったけれど、主な生産地は中国・インドなんだなあ。

では、どうしてなすは中国・インドを中心に生産されるようになっていったのか…?
むぅちゃんと一緒に、世界のなす生産の歴史を調べてみましょう。

世界のなす生産の歴史

①インドはなすの原産地だった

実は、なすの原産地はインドだと言われています。
インド東部に自生する「ソラヌム・インサヌム(Solanum insanum)」がなすの原種と考えられているのだとか👀
(近年の研究では、既に存在しない植物が原種との見方もあるようです)
以下に写真を載せました。黄色くてびっくり!

「ソラヌム・インサヌム(Solanum insanum)」。
なんだかトマトっぽい形だが、花は紫色でなすっぽい気もする。
画像は以下より
https://www.wikidata.org/wiki/Q56863056

インドにおいて、なすは「野菜の王様」として古代から栽培されていました。
そのため、「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」といったインドの神話や、インド各地に伝わる民話にも、なすが登場しているのだそう。
なすの原産地であり、人々の生活や文化に溶け込んできたことが、現在でも生産量が多い理由なのでしょうね👀

🔍ちなみに…
インドにおける代表的な民話の一つに「なすのカレー(テナリ・ラーマ物語)」というお話があります。
とある国の臣下であり、切れ者のテナリが、王様の庭園からおいしいなすを盗み、家族になすのカレーを振る舞います🍆
なすを盗まれたことに気づいた王様がテナリを疑って問い詰めるも、テナリの機転によって解放されるというもの。
なんだか一休さんみたいなお話です👀
詳細を知りたい方は引用のページをご参照ください。

https://www.momjunction.com/articles/tenali-rama-and-brinjal-curry_00598746/

②中国の広範囲でなすが栽培された

紀元前5世紀頃、なすは、インドからビルマ(現在のミャンマー)を経由して、中国に渡ったと考えられています。
古代中国におけるなすの栽培に関する記録は数多く残されており、周辺諸国とは比にならない数なのだそう。
やはり紙の発明が中国なのも、記録が残っていることに影響があるのでしょうか🐈

紀元前59年に王褒が記した「僮約」という書物が、中国においてなすについて記載された最古の記録と言われています。
その後、11 世紀初頭までに、ナスの栽培は中国全土に広がっていきました。
中国においては、古い時代から広範囲でなすが栽培されていたから、現在でもなすの最大の生産地に成長しているんでしょうね👀

なすは、インドからビルマ経由で中国に入ったと考えられている。
同緯度を横ばいに移動していったのだろうか。
地図は以下より
https://hotdogger.jp/blogs/worldmap/worldmap-india-japan

③欧米では、なすは毒視されてきた

紀元前からなすを栽培していたインドや中国とは対照的に、西洋社会がなすを食用として受容するまでには長い時間がかかりました。
というのも、ヨーロッパに自生するナス科の植物には毒性があるものが多かったからです。
特に、ベラドンナと呼ばれるナス科の植物は強い毒性があり、中毒を起こすと、最悪の場合には死に至ると言われていました。
そのため、13世紀のドイツのキリスト教神学であり、自然学を研究したアルベルトゥス・マグヌスは、なすのことを「Mad apples(狂ったリンゴ)」と呼称したと言われています。
ナス科に対する毒のイメージが、なすの生産拡大を妨げたと考えられますね👀

ベラドンナ。実の付き方や花などがなすに似ている気もする。
画像は以下より
https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003667.php

16~17世紀頃になると、なすはヨーロッパ各地で栽培されるようになりました。
特にイベリア半島に住むイベリア人(現在のスペイン・ポルトガルなどを指す)はなすを好意的に受容してきたとされています。
1650年頃に南米になすを持ち込んだのもスペイン人と言われているそう。
その後、なすは世界中に拡がり、たくさんの品種が作られるようになりました。

🔍ちなみに…
なすは英語で「Eggplant(たまごの植物)」と言いますが、「どこがたまごなの?」と気になったことがある方もいるのではないでしょうか?
実は、Eggplantという名称は、1763 年に白いたまご型のなすの品種を指してつけられており、北米やオーストラリア英語として主に用いられています。(下方に画像添付)
また、なすのことを、イギリス英語では「Aubergine」、南アフリカ・南アジア英語では「Brinjal」と呼称しますが、これらはもともとはなすの原産地であるインドで話されている「ドラヴィダ語」をルーツとしていると考えられています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Eggplant#:~:text=First%20recorded%20in%201763%2C%20the,hen's%20eggs%20(see%20image).
白ナス。これを見れば「Eggplant」と言われてもおかしくないと思う。
画像は以下より
https://snowboardwatch.com/vegetables/how-to-grow-white-eggplant/

④日本でも古くからなすが生産された

実は、日本においてもなすは古くから生産されてきました。
7世紀から8世紀ごろ、中国からなすの栽培法が伝わったと言われています。
最も古い記録では、東大寺正倉院の文書に「天平勝宝2年(750年)6月21日藍園茄子を進上したり」という記述が残っているようです。
また、平城京跡から出土した木簡に「なすの粕漬け」のことが書いてあったりと、古くからなすが栽培・調理されてきた記録があるようす👀
一方で、江戸時代まではなすは貴重なお野菜とされており、平民はなかなか食べられなかったみたいです🐈

江戸時代、静岡県三保で日本初の「なすの促成栽培」が始まりました。
三保は、温暖で日照時間が長く、作物の生長が早い砂地であるため、なすの早出しにぴったりだったのです。
旬の早い「折戸なす」は徳川家康にも献上される高級品。
市場では「一両」という値がついたこともあったんだとか👀
「江戸時代の「1両」の価値ってどれぐらいだった?」の記事によると、1両は13万円ほどと考えているのだそう。びっくり!)
初なすは、あまりに高い値段で売り買いされたために、幕府が禁止令を出したこともあったようです。

17世紀半ば頃には、江戸でもなすの促成栽培が広がっていきました。
1697年に書かれた「農業全書」では「紫、白、青の三色あり、又丸きあり長きあり」との記述があるようです。
この頃から、多くの品種が栽培されていたことが分かりますね👀
それ以降、日本の広い範囲でなすは栽培されるようになり、日本人にとっておなじみの庶民的な野菜になっていったようです。

🔍ちなみに…
「一富士二鷹三茄子(いちふじ・にたか・さんなすび)」という言葉があるけれども、なんでこの並びに「なす」が入ってるのか小さいころからギモンだったんだよなぁ👀
ここまで読むとわかるように、これって江戸時代に「初なす」が超高級品で珍重されていたからなんですね✨

https://www.jti.co.jp/tobacco/knowledge/society/proverb/05.html#:~:text=%E6%88%B8%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%96%E3%81%A7,%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%A5%E3%81%91%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

いかがでしたでしょうか。
なすと人類との間には、紀元前から長きにわたる古い関係性があったんですね😊
また消費編も出せればと思いますので、ぜひお楽しみに!

出典・参考資料


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