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そこで投げることを任された投手たちへ【5/19横浜戦⚫️】

ロペスの打球がスタンドに吸い込まれていったとき、ライトのぐっちはとてもとても悔しそうな顔をした。

ぐっちが悔しいと思う時、それは、きっとなっしーに対してじゃない。たぶん、それまでに打てなかった自分に対してだ。

がんばれ、と私はただ祈る。悔しい思いはきっと、その先のなにかつながっていく。今はじっと、それに耐えながらバットを振る時だ。

球場にはいつも、そこでしか見られない景色がある。

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マツダで負けた日、うめちゃんの後まで残っていたピッチャーは、中尾くんと風張の二人だった。勝ちパターンを総動員して勝ちにかかったあの日、その二人は最後まで呼ばれなかった。

うめちゃんが抑えられなくて、流れが向こうに行った中、中尾くんはサヨナラを許した。

あの日、うめちゃんは「悔しい」と言葉にした。だけど、どの記事にも私がみた限り、中尾くんの言葉はなかった。あの日負け投手になったのは中尾くんだったけれど、うめちゃんが打たれた日、という記憶が残った。私もnoteにうめちゃんのことを書いた。

だけどあの日、うめちゃんの悔しさの影で、中尾くんが抱えた思いは、どんなものだったのだろう。

そしてあの日、一人残されたブルペンで、風張は何を見たのだろう。

今日その二人は、5点ビハインドの場面で、名前を呼ばれた。

風張は、6回のマウンドを、さくさく無失点で抑えた。ここ数試合、継投のたびに大量失点を見せられていた私は、三者凡退で抑えた風張がものすごくたくましく見えた。

7回も、5点ビハインドのまま、風張はそこに立った。ツーアウトを取ったものの、その後ランナーを背負うことになる。

そこで、ピッチャーは中尾くんに交代した。中尾くんはそのピンチを、しっかり抑えた。ここ数試合、背負ったピンチがもれなく大量失点につながるのを見せられていた私は、そのピンチを凌いだ中尾くんがものすごくたくましく見えた。

8回、中尾くんはそのままマウンドに立つ。先頭打者にヒットを許した後、2死1,2塁のピンチを背負うも、最後に三振を奪い無失点のまま抑えた。

あの日、広島戦で、きっとあらゆる思いを抱えたであろう二人が、二人並んで、3イニングを無失点で抑えた。そこには5点のビハインドがあった。今日二人が呼ばれたのは、その場面だった。だけど、二人はそこできちんと仕事をした。それはきっと、この先につながる仕事になるはずだ。

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9回、今日一軍に昇格した屋宜くんが名前を呼ばれた。一緒に観戦した日ハムファンの友人が、「屋宜じゃん・・・!!ファイターズにいたんだよ!!」と、教えてくれた。

屋宜くんは2失点をゆるした。だけど、去年一度も上がることのなかった一軍のマウンドに立つ姿を、日ハムファンの友人に見せてくれた。

その友人は、ライトスタンドからの声援を受け、なっしーがマウンドに上がる姿を見て泣いていた。なっしーは5失点をしたけれど、それでも、「なっしーとケリーがヤクルトファンから応援されているのを見てすごく感動したよ、見れてよかった」と言ってくれた。

0-7で零封負けした試合で、それでもそうして涙する人がいる。涙を流す人の中には、チームが変わっても声援を送り続けるファンがいて、そして、ずっと見守る家族だっているだろう。勝っても、負けても、その人たちの愛情は変わらないのだ。ファンの声援を受け、そこに立つ姿にただ、祈り続ける人がいる。

どうかその思いが選手たちに届きますようにと思う。そしてできることなら、自らの悔しさと、誰かの声援を胸に、また這い上がっていけますように、と。自分自身が目指す、その場所まで。


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