やさしく読める作曲家の物語 シューマンとブラームス34
第四楽章 ブラームスの物語
4、 ウイーンへ
「先生、今年こそウイーンへいらっしゃいませんか?」
1863年の夏、相変わらず決まった仕事もないまま、ハンブルクで作曲を続けるブラームスに、そんな言葉をかけたのは、ハンブルク合唱団のメンバーの一人・ペルタです。ウイーン育ちのペルタは以前からウイーンの自慢話をしていました。
「音楽の都と言えばやはりウイーンですよ。ベートーヴェンやシューベルトが過ごした街ですし、何と言っても伝統がありますからね。
街中に音楽があふれていて、