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ASD流コミュニケーション術 ~目を見てろくに話せなかったアスペが"そこそこ"会話を楽しめるようになるまで~

どうも。うんこで笑える人の笑顔を守りたい、いとそです。

最近友人と話していて
「そういえば昔めちゃくちゃキョドってたのに、話し方上手くなったよな」
「前とすごい雰囲気変わったね」
「アスペとか言われないとわかんないくらい普通じゃん」
なんて言ってもらうことがしばしばあるが
こう言ってもらえるようになった心当たりとして
「コミュニケーションについて(自分なりに)勉強をしてきた」
というものがある。

思い返すとnoteのアカウントを立ち上げてからの半年間、
これまで主に僕の実体験を基にうつ病及び不安障害などについての記録や気づきを発信してきたものの
回顧録以外であまり発達障害について触れて来なかったことに気づいた。

ということで今回は、僕が抱えている発達障害の一つである
「ASD:自閉スペクトラム症」に焦点を当てながら
ASDが苦手とするコミュニケーションについて
僕が実践してきたライフハック術的なものを書いていこうと思う。


※本記事は"会話が苦手な自覚のある"ASD"の方々に向けて執筆しています。
会話にコンプレックスや悩みがない方は恐らく参考にならない可能性があるのでご了承ください。

※あくまで個人の体験談なので、参考にならなかったとしてもノークレームノーリターンでおねしゃす。


ASDなら誰しもがぶち当たる「コミュニケーションの壁」

僕は幼少期から自身がASDだと診断されるまでの約25年間、コミュニケーションというものにコンプレックスを感じて生きてきました。
何気ない発言で場が凍り付き、集団から浮いた。
かと思えば意見を求められたときにうまく言葉が出てこず、また浮いた。
思春期ど真ん中にはいじめを受けたことで他人と距離をかなり置くようになり、まともに会話をする機会が減って
そんな調子で人と一緒にいても何を話していいのか分からず
地獄のような沈黙。
沈黙を打破するために無理やり中身のない会話でジャブを打つも、また沈黙。
そしてしまいには昔付き合っていた恋人に「話がつまらない」と言い放たれる始末。

・・・とまあこんな具合に、コミュニケーションという概念に自己肯定感をタコ殴りにされてきた訳ですが、今は(僕の苦手な集団などのシチュエーション及び闇属性の陽キャを相手にした場合を除き)雑談や会話が楽しいと思えるようになった。


・話してる時に目が泳ぎ、基本的に人と目が合わない
・ボキャブラリーや表情、声色などコミュニケーションにおける表現が乏しい
・人といるときに「雑談」が出来ず、沈黙当たり前
・言いたいことが頭に浮かんでも文法に落とし込んで喋ることが出来ないor喋るまでに相当時間がかかる
・質問されても返答するまでのタイムラグが人一倍かかる
・行間が読めず、冗談が通じない
・何か話さなきゃと必死すぎてそもそも相手の話が頭に入ってこない
・言葉選びが悪いせいで誤解されたり怒りを買いやすい


上記の項目は、全て過去の僕に当てはまるものですが
この中のどれか一つでも当てはまった方には本記事を参考にしていただけるのではないかと思います。

ステップ0:専用のノートを買う

これからお伝えする内容はかなりボリュームがあるので
とりあえず1冊安いノートを買いましょう。
(僕は家に余っていたCa○pusのノートを使っています)

そして、特に書き方は何でもいいのですが
「型」
「引き出し」
「話のストック」

大まかにこの3種類にページが分かれていればOKです。

ステップ1:話し方の「型」を見つける

まずは、ご自身にとって魅力的な話し方の「型」を持っている人を見つけてください
話が分かりやすい人、面白い人、傾聴力のある人・・・どんな人でも構いませんが、僕としては
話の分かりやすさ、ユーモア、傾聴力が揃ったお笑い芸人(特にMCをやるタイプ)がおすすめです。

また芸人の方は、アスペが察するのを苦手とする冗談や皮肉を言う事が多いため、行間を読む訓練にもなります


参考にする人物を決めたら、その人の話し方が魅力的だと思うポイントをノートの「型」ページに書き出してください。

ちなみに(死ぬほど恥ずかしいですが)、これは僕が実際に参考にした方です。

ex) 山里亮太さん
→・長い話でも分かりやすい(時系列が一貫している、起承転結があるなど)
 ・例えツッコミのバリエーションが豊富で、聞いていて飽きない
 ・ユーモアを織り交ぜることで、毒舌を聞いてても嫌な気持ちにならない


☆注意点
自身のキャラから乖離しすぎた人を設定してしまうと
後々アイデンティティの崩壊が起きてメッキ疲れする危険性
があるので
「憧れの人」というより「友達になりたいと思える人」を選択した方が無難です。
(ちなみに僕はこれに気づかず、モテたいがために陽キャを模倣したときは空回りしまくって浮きました。)

ステップ2:「引き出し」を増やす

型が設定出来たら次は「引き出し」を増やしていきましょう。
ここでは、引き出しのジャンルを3つに分けていきます。

①単語(類義語、対義語など)

魅力的な話し方が出来ている人は、そもそもボキャブラリー(以下ボキャ)の量が多いです。
表現の引き出しを増やすための第一段階として
聞いたことない言葉や気になった単語をひたすらメモっていきましょう。

ボキャの量が増えるのもありますが、日頃間違って使っている言葉も実は多かったりするので
アスペにありがちな「無自覚のうちに喧嘩を売ってしまう」というリスクを回避することにもつながります。

ex)あの人は海千山千の営業マンだ

②表現(斬新な言い回し、フレーズ、例えツッコミなど)

魅力的な話し方が出来る方は、引き出しに入っているボキャの使い方が上手く、内容が分かりやすいように感じます。

会話が苦手な我々が我流でボキャを使いこなそうとすると大怪我をする恐れがあるので、トレースしてしまうのが無難です。

この項目に関しては
例文+使えるシチュエーションという形でメモっていきましょう。

ex)「特に深い意味はないけど~~・・・」
→下心や魂胆がある(と見せたい)ときにボケとして逆張りで使う

③話(エピソードトーク)

魅力的な話が出来る人は自身の経験を出力するのが上手いです。
どんなに日常の1ページを切り取ったような小さな経験でも、そこから自然と会話が生まれるような表現が出来ているように思います。

基本的に沈黙を怖がることは逆効果だと思うのであまり気にしなくていいですが
ここぞというときのお守りとして自身の中で印象的だったエピソードを仕上げておきましょう(ちょっと盛ってもいいです)。

☆注意点
なんの脈略もなくエピソードトークを乱用するのは厳禁です。
なにか関連性のある会話や状況の時に使いましょう。
(なので多ければ多いほど自分を救ってくれます)
また、慣れてきたらエピソードトークを話しやすくするための滑走路を敷いてしまうのもありです。

ステップ3:実践

型を見つけ、引き出しを増やし始めたら実践してみましょう。
型や引き出しを”習得”するにはとにかく実践しかありません。

家族や友人などと会話をする際に試してみましょう。

ちなみに僕は日替わりで毎朝「今日はこのワードを使う」というのを決め
その日1日のどこかで使えたらクリアという風に課題を設けていました。

始めはぎこちなくてもかまいません。
この記事を読んでくださっているASDの方々は恐らく元来話し方がぎこちないはずなので。
(僕もそうでした。というか今でもたまにそうです。)

☆注意
「型」にした人物や「引き出し」の単語や表現を知っている人の前ではあまり露骨にトレースしない方が無難です。
逆説的に、あまり有名ではない人物をトレースした方がいいかもしれません。

ステップ4:"ムダ話"に慣れる

僕のようなアスペの方々が会話を苦手とする理由の一つに
「情報伝達や目的のある会話以外に何を話せばいいか分からない」というものがあります(というか僕はありました)。

そこで実践を積んである程度型が定着してきたら「ムダ話」を増やしてみましょう。
ex)相手の服装、風景、気候、街中に貼ってあるポスターなど

そしてある程度慣れてきたら、一方通行のムダ話でなく
「質問」を会話の中にできるだけ入れる
ようにしましょう。
(あえて"できるだけ"という言い方をしています)

ステップ5:"横に広がる質問"を意識してみる

ここまでのステップを踏んで、人によってはあることに気づくと思います。

「あれ、沢山質問や会話をしているはずなのになんか嚙み合わないな・・・」


この場合、"質問が横に広がらない"ということに問題があることが多いです。

という事で、ここまでのステップを踏んで、ある程度余裕が出てきたら
「横に広がる質問」をするように心がけていきましょう。
相手が話したワードの中から一つピックアップし、それに関連する質問を返すようにすると横に広がりやすいです。

ex)
A「そのアクセサリー可愛いね。服とかいつもどこで買ってるの?」
B「新宿とか渋谷で買う事が多いかな。」
→○「都内って色々あるもんね。気に入ってるブランドとかあったりするの?」
 ×「そうなんだ。・・・好きな食べ物は?(汗汗)」

また、日常的に意識するのは勿論ですが
もし自分がアスペであることを認知している友人やご家族がいる方は
「雑談ゲーム」がおすすめ
です。


雑談ゲームとは

プレイ人数:2人以上(個人的に2人がベスト)
対象年齢:全年齢
プレイ時間:不明
ゲーム概要:身の回りのものでテーマを決め、会話が途切れるまでそのテーマについて1つでも多くの質問を生み出せたプレーヤーが勝利。
(順番などは関係なし)
会話が途切れるor全く関係のない(広がらない)質問が出たら終了。

ex)テーマ:自販機
A「自販機ってコカ・コーラ社が断トツで多くない?」
B「確かに。ジュースとか普段飲む?」
A「部活やってた時は死ぬほど飲んでたな。Bは普段なに飲んでる?
B「専ら力水かな。Aは
A「昔ピーチネクターめっちゃ飲んでたな。今は飲んでないけど・・・。今日いい天気だね(汗汗)」
~終了~

A:2ポイント
B:2ポイント

勝者:引き分け

ステップ6:目線やジェスチャーなど非言語要素を意識

ここまでのステップを終えた頃には、以前よりも"そこそこ"会話が楽しいと思えるようになったはずです。

一応項目のタイトルは「目線やジェスチャーなど非言語要素を意識」とありますが
"そこそこ"楽しく会話ができるようになった頃には自然な表情や自然な声色で話すことが出来るようになっていると思います。

なのであまり意識しすぎることはありませんが、もし気になっていたり実際に人から指摘があった場合は、少しずつ改善をしてみてください。

目が合わないのであれば会話中に少しずつ目を合わせる時間を増やしてみる。
感情が伝わりにくいのであれば声の抑揚やジェスチャー、擬音などを使ってみる。
魅力的な話し方をしている方の非言語要素をトレースしてみてもいいかもしれません。
(ちなみに僕は一時期、メンタリストDaiGoさんを参考にしていました)


さいごに

僕はつい最近までコンプレックスだらけで、自己肯定感なんて微塵もありませんでした。
褒められる事なんて数える事しかありませんでしたし、ましてや誰も自分を好きになれる方法なんて教えてくれませんでしたが
そんな僕でも、自分なりに自己研鑽を重ねた結果、"そこそこ"自己受容ができるようになれました。


発達障害を抱えている方々は、持っている特性のせいで人間関係に軋轢が生じてしまう事が多いですが、(僕の周りを見る限り)心優しくて繊細で、思いやりがあって面白い人が多い気がします。

そんな僕と同じような発達障害によって生きづらさを感じている方々が
少しでも過ごしやすくなることを祈っています。
また、この記事を含め僕のアカウントがそのような方々の一助となれれば幸いです。
ご精読いただき、誠にありがとうございました。


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