【梅雨こそカラダ支度】
博心堂鍼灸院の、いんちょです。
今年は梅雨入り前から、体調不良を訴える患者さんとのご縁が、パラパラと続きます。
というのも、初夏を迎えた今年の5月が、ほぼほぼ雨続き。
例年になく、初夏の熱中症シーズン到来という印象のかけらもないような、異例の5月でした。
そんな梅雨のようなジメジメうすら寒い5月を経て、6月からの東京梅雨入り。
すでに二月ほど続けて湿度の高い期間を過ごし続けます。
湿気は厄介です。
塗れた洗濯物が乾くまでには、時間がかかります。
そして、洗濯物を乾かすためには、日差しにあてたり、風にさらす必要もある。
人の体に侵入してくる湿気に対しても、同じような対策が必要です。
日差しに匹敵するのが体温。
カラダが十分な体温をおこしていないと、汗や尿としてカラダの外に体内にこもった湿気は排泄されません。
また、風に匹敵するのが呼吸。
深くて丈夫な呼吸をし続けることで、体内の湿度の調整を常に行い続けるわけです。
でも、こんなジメジメする環境下で、ジメジメうすら寒い日や、日差しの強烈な蒸し暑い日が交互に訪れる日を過ごし続けていると、そんな体内の除湿機能も疲弊してしまうわけです。
湿気疲れしたカラダは、文字通り疲れをため込んでいます。
カラダの芯まで湿気で疲れがたまっていると、筋肉や関節、消化器の働きが衰えてきます。
最近、人づてに博心堂鍼灸院に来られた初診の患者さん。
ご家族の看病疲れや人のお世話に疲れて、持病の腰痛を悪化させてしまったとのこと。
なんでも、ご自分の周りの人たちが、6月を迎えるころから体調を崩され始めて、面倒を見てこられたのだとか。
なるほど。
ご自分じゃなくて、周りの人が季節の影響で軒並み体調不良を起こされたというわけですね。
なまじ体が丈夫だと、人に頼られちゃうのよねぇという初めてお越しの患者さん。
そんな初診の患者さんの腰痛の原因を探ってみると、意外にも季節の疲れでも、しつこい湿気の影響でもない。
そして寝ずの看病疲れによる寝不足疲労によるぎっくり腰でもない。
手首の脈を診てみれば、気を張っている状態。
自分の身の周りのことに気を配って、気持ちが張りつめているというわけですね。
そのために、精神の安定がはかられず、肩首に力が入り続けている。
前腕の状態を拝見すると、肉体的なやつれや消耗は見られないのですが、肌質からすごくデリケートで繊細な神経の持ち主ということがわかります。
くわえて、カラダに比べて大きめな手の甲には、筋が立って見えるような緊張感が感じられます。
ほかにも見どころがあるのですが、このような状況から、今回の患者さんの腰痛の原因は、頭の疲れ。
周囲に気を配ることを常としておられる性格で、今もボランティアで人のお背に携わっておられたり、気を配ることをご自分の使命とされて過ごしておられるみたい。
これ自体、ご本人の性格と適っているからいいのですが、あれもこれもと手を伸ばすから、カラダが追い付いていかないわけです。
そんなもどかしさが、頭に緊張感をおこさせ続け、肩ひじをこわばらせて、気持ちをあちらこちらに振りまき続けている。
カラダだけついていけないから、置いてけぼり状態になって、腰抜けするようなぎっくり腰を、どうやら頻繁に起こしておられるみたい。
好きでやっているボランティア。
目が行き届いて、気配りできる性格で、ちゃんとやってあげたいという几帳面さが、今回の季節には関係ない腰痛の原因みたい。
それでも、そんなカラダのアンバランスは、これから迎える真夏の夏バテシーズンには、かなわない。
天候不順な梅雨時だからこそ、カラダは不安定ながらも、手入れをすれば回復力を高めることができる。
※季節が安定していると、カラダも安定して、バランスを大きく変えるような施術には不向きとなります。
梅雨の不安定なアンバランスな時期だからこそ、カラダのアンバランスを整えやすい。
消耗しやすい真夏に向けてもそうですが、カラダのバランスを整えるのにも都合の良い梅雨。
そんなわけで、このような患者さんにとっても、梅雨こそカラダ支度。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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