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日々の切れ端〈エッセイ集※不定期連載〉

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日常を送る中で気づいたことや、バカ話など、一人のものにしておくのが勿体無いお話しをお裾分け的にご提供致します。
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記事一覧

【『ほとんど最後の欲望』〜日々の切れ端(四)〜】

【『ほとんど最後の欲望』〜日々の切れ端(四)〜】

 朝目覚めて、ベッドの中でうぃーって背伸びをしたら足がつって、そのまま起き上がる事も出来ずにじたばたと悶絶する事がある。
 そしてそのまま朝から何も食べずに夕食の時間になって、仕事場近くの中華料理屋に入り、お腹が空いたテンションそのままに頼んだ大盛りのチャーハンの、おそらく大盛りにされた分の米が喉を通らずに、さらに添えられたスープに全く手をつける事も出来ずにレジへ向かってしまったりする。

 どう

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【『どうせいつかは死ぬのなら』〜日々の切れ端(三)〜】

【『どうせいつかは死ぬのなら』〜日々の切れ端(三)〜】

 先日、母から検査入院の経過報告の電話をもらい、その話の中で今年70歳の母ですら町内会では若手の部類に入ると聞いて、僕は不謹慎ながら笑ってしまった。
 そして今までは敬老の日には会費を出し合って、60歳以上のお年寄りのいる家にプレゼントを送っていたそうなのだが、ほぼすべての家庭に送ることになってしまうので、今年から学童を持つ家庭に粗品を送るという形に切り替わったらしい。
 もはや敬老の日とは言えな

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【『カチカチ山について考えた』〜日々の切れ端(二)〜】

【『カチカチ山について考えた』〜日々の切れ端(二)〜】

 この間、仕事帰りの飲み屋で弊社社長と『かちかち山』の話になり、おじいさんとおばあさんの敵討ちとは言え、直接的利害関係者でもないウサギが最後にはタヌキを殺すところまでいってしまう動機付けって何なのかという話になり、色々考えてみたらそれはそれで別の方向にいってしまったというお話。

【『他人の神棚を笑うな』〜日々の切れ端(一)〜】

【『他人の神棚を笑うな』〜日々の切れ端(一)〜】

 自宅前の大通りを東に向かって少し歩くと、鉄筋コンクリートの建物が建ち並ぶ中に、老朽化が進み今にも傾きそうな黒塗りの木造の一戸建てがぽつんと残っていて、周りの建物が比較的最近になって建てられたものばかりなだけに、その黒塗りの建物は少し異様な空気を醸し出していた。
 そしてその家にはいつも半パンにタンクトップ姿の初老の男性の住人がいて、僕がその家の前で男性とすれ違うたびに、「お前らうるせぇんだよ、い

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