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筋書きは6割で良い。余白のある仕組みをつくろう。

前回のnoteでは、ニュートラルに観察する眼を養って、もののとらえ方をアップデートしよう、というお話をしました。今回は、そうした観察力を実際にプロジェクトにどう活かしているのか、ご紹介します。

「ない」ものは、なにか。

突然ですが、あなたは、空き地を目の前にして「人で賑わう空間をつくってほしい」と頼まれたとします。人を呼び込むために、どんなアプローチを考えますか?商業施設など、なにか人工物を建てるでしょうか?「ない」を「ある」で必死に埋めようとするかもしれません。

ぼくは、こう考えます。
物質的ななにかがないのではなく、人と人、モノ、コトがつながる「きっかけ」がないだけなのではないか、と。きっかけさえあれば、人って意外と簡単につながれると考えています。

その空間にぼくがつくるのは、出逢いの機会を生み出す装置です。すでに「ある」ものを、敷きつめない程度にレイアウトしていきます。やり過ぎてはいけません。

コミュニケーションを誘発するものやコト——ドリップでコーヒーを注ぐ間の会話、地域の生産者さんから直接モノやお酒を買う時のコンタクトなど——があると、人は自然と滞留し始めます。そして、ここには自分の意思とは違う力が働きながら、偶然の体験が待っているのです。

コンセプトと変数のバランス

レイアウトする際には、変数をある程度許すことを心がけています。完璧は目指しません。目指さないというより、そもそも目指すことは難しいのではないかと考えています。

完璧主義のスタンスで進めようとすると、たとえばトラブルや制約事項が一つでも出てきたとき、思考停止に陥って、そのプロジェクトを丸ごと再考することにつながりかねないんですよね。

それに、今は多様性の時代。
昔は情報を得る手段がテレビや新聞、ラジオといったマスメディアに限られていて、二次情報や三次情報に頼りがちでした。似通った思考や価値観が生まれやすかったと思います。でも、今やメディアは多様化して、かつ、現場のリアルにも触れやすくなりました。以前に比べると、さまざまな考えをもつ人が増えたのではないかととらえています。

だから、コンセプトなどの設計の部分は譲らないけれど、あとは、その場で起きることに委ねます。自分の影響を及ぼす範囲をあらかじめ決めるのです。だいたい6割を心がけています。そのときに一緒にプロジェクトができる人、動ける人、というタイミングによる変数もありますね。

変数は、必然的な「偶然」とも言い換えられるかもしれません。

旗を立てたら、見守るだけ。

仕組みさえつくれば、関わりたい人、関われる人が集まってきます。その人たちの動きを制約しないようにしながら、その場が乱されそうなときには察知して手入れをします。一度旗を立てたら、あとはいかに見守るか、が重要だと思っています。

dot button companyが大事にする思い

プロジェクトに余白をつくりながら進めるので、変数は舞い込みやすくなります。

ここにいろんな人が来ても、誰も嫌な気持ちにならずに、それぞれに気づきや刺激があったり、活気が出たりするには、どうすればいいんだろう、と思いながら企画する日々です。

一人ひとり、異なるバックグラウンドや考えを持っている。だからこそ、誰の立場で物事を見るのか。これは、会社を創立した当初から大事にし続けているし、これからも忘れずにいたいです。

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