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英国人の行列に思うこと 


*エリザベス2世とのお別れ編* 

パンデミック以前で、英国人が行列を作る場面をどこで見ただろう、と考えてみた。シアター、美術館など公共の場所のお手洗い。地下鉄の乗り降りや窓口/マシーン。クラブ帰りのケバブ屋。頻繁にある地下鉄のストライキの時は、とにかくバスに乗るため押し合い圧し合いで、行列では無かった気がするなぁ。(あくまでも主観)
さて、英国政府は2020年3月パンデミックのため国全体を衝撃のロックダウンを決定。wow! 食料品店は、営業していたものの、時間制限や人数の入店制限がありどこもかしこも長蛇の行列。振り返ってみると、この辺りからかしら?世間の空気が、共有空間としての行列を自然に受け止められるようになったのかもしれない。
エリザベス2世のご遺体がスコットランドからロンドンへ安置され、続々と人々がお別れにWestminster寺院へ。その行列は8kmに及び、少なくとも14時間待ちだったとか。

画像: bloomberg

こんな感じで皆が情報を共有して10時間以上過ごしたのでした。(デイビッド ベッカムも12時間並んでたみたいよ。)

私はTVは持っているが契約していないので、モニターとして使っているのだけど、気になったことはほとんど新聞とかでみる。少し浮世から離れている生活をしている方だと思う。
そこで、行列について。ここロンドンに住んでいる私の肌感覚なんだけど、多くの人が繋がりを強烈に求めている気がする。英国は、EU離脱、パンデミック、ヨーロッパでの戦争そして光熱費/物価の前代未聞の大上昇。留めは(もしかしたら、これからもっとすごいことが起こるのかも知れないけど)70年も女王として勤め上げたエリザベス2世の時代が終わり、チャールズ3世の世になった。英国民はこの不安でいっぱいな世を乗り越えることができるのだろうか?’God save the queen'と歌えど、The Queen Elizabeth IIはもういない。 行列は同じ目的で人が集まる、そう、コミュニティーなのだ。連帯感を感じる場所なのだ。EU離脱で国民は分断し、パンデミックで家族や友人、コミュニティーの価値が見直されそして世間の空気はすっかりパンデミックから解放された今、それも少し薄まってきた。それでも女王の死で行列の中で知らない者同士が助け合って14時間を共有する。
決して忘れてはならないのは、王政を否定する人達も大勢いる事。それはほとんど同じボリュームでニュースにはならない。
ムードや感情に流されるのは人の常。しかしそれを利用して流れを作るものもある。不安に煽られてはいけない。と、ちょっと自分を戒めてみた。

*サムネイルの写真はiNewsから


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