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映画レポ「のび太の地球交響楽」:盛り上がりに欠ける。音の世界観は面白い

【約2,900文字、写真約5枚】
「映画ドラえもん のび太の地球交響楽シンフォニー」を鑑賞しました。その感想を書きます。以下、ネタバレありです。

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結論から言うと、私にとって満足度は低かったです。1)ストーリーの盛り上がりに欠けたこと、2)敵に魅力がなかったことによります。なお、音を可視化する世界観や、映画館の大音量で質の高い音楽を聴けたことは良かったです。

映画名:映画ドラえもん のび太の地球交響楽シンフォニー
おすすめ度:★★☆☆☆
監督: 今井一暁
上映時間:115分
公開日: 2024年3月1日
HP:https://doraeiga.com/2024/ 


▶︎鑑賞のきっかけ

1)子供がドラえもんを映画館で見たことがなかった

私は子供の頃、親と映画館でドラえもんを何度か見ました。どの映画館で見たのか、どんな気持ちだったかを今でも断片的に覚えています。特に『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』(1991年)が記憶に残っています。

当時、私は入場者プレゼント(走るおもちゃ)をもらえることも楽しみでした(今回は小冊子のみ配布)。

過去の入場者プレゼントの例(画像引用

今回の映画でも過去の私と同様に、ほぼ全てが親子連れでした。「親とドラえもん映画を見る」という体験が世代を超えて受け継がれているようでした。こういった思い出が人格を形成していくのかな、と思いました。

普段、私の家庭ではテレビでドラえもんを一切見ません。しかし、私の子供にも、人生経験としてのドラえもん映画を知ってほしかったです。

2)偶然見たYouTube CMの内容が良かった

ジャイアンによるライブメンバー紹介のような盛り上げ方が格好良かったため、映画館の大音量で音楽が聞けることも楽しそうだな、と思いました。なお、このシーンは本編にはありませんでした(残念…😨)。

3)偶然アマゾンプライムで見た過去作品が面白かった

なぜか家庭で島谷ひとみが流行っていた頃、その関係で数十年ぶりにドラえもん映画『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』(2004年)を見ました。この映画の完成度がとても高く、感動したため、最新のドラえもん映画を見たい気持ちが若干高まりました。

▶︎あらすじ

学校の音楽会に向むけて、苦手なリコーダーの練習をしているのび太。その前にあらわれた不思議な少女・ミッカは、のび太の吹くのんびりのんきな「の」の音を気に入り、音楽がエネルギーになる惑星でつくられた“音楽【ファーレ】の殿堂”にドラえもんたちを招き入れる。ミッカはこの殿堂を救うため、一緒に演奏をする音楽の達人【ヴィルトゥオーゾ】を探していたのだった!(略)少しずつ殿堂を復活させていくドラえもんたち。しかし、世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が迫ってきて、地球にも危機が・・・!! はたして、“音楽の未来”、そして地球を救うことができるのか!?

公式サイトより

要は、のび太たちが「ノイズ」という星を食べる巨大な宇宙生命体を、音楽のチカラでやっつける話です。

▶︎全体の感想

全体の感想としては「面白くない寄りの普通」でした。ストーリーに緩急がなく、ヤマもオチも乏しかったため、記憶に強く残ったシーンもあまりなかったです。ドラえもん映画ならではの「大冒険感」が希薄でした。

最も重要なことは「子供」がこの映画に対してどう思うか?です。私としては、子供が音楽の面白さや大切さに気付いたり、興味をもったりするには良い機会を提供しているかな、と思いました。

私は、ステキな物語の要素として「チャーミングな敵」が必要だと思います。本作がいまいちだと思った理由の一つが「敵が胞子という意志のない相手」であることです。敵がどういう考えで地球を攻めているのか、そこにある葛藤などの表現が一切ないため、物語に感情移入しづらかったです。

コロナ禍に今井一暁監督がシナリオを構想したため、敵は「ノイズ」になったそうです。上映がコロナ禍であれば、より共感も増したと思います。しかし、今となってはコロナとは関係ないシナリオを見たかったです。

✔️あらすじに対する違和感

以下、あらすじで違和感があった点です。

●ジャイアンに勢いがない
過去のジャイアン比べて、威圧感が減ってマイルドな印象でした。特にこの映画では「ここぞという時に頼れる男」というシーンが乏しかったです。

●「ムシーカの縦笛」はすぐ直せる
「ムシーカの縦笛」は一部が欠損していたため、殿堂を復活するスイッチの最後のキーを押せませんでした。しかし、タイム風呂敷を使えば良かったのでは…?

●殿堂を復活するスイッチの音が「の」
なぜ「の」の音なのか。ストーリー上、全く合理的でないです。もしかして、のび太はムシーカ人の生き残りだった…?

●最終決戦で正装するのび太たち
ノイズが地球に迫ってくるシーンで、ロボットたちは危機感いっぱいです。一方で、のび太たちはタキシードやドレスに着替えて「緊張する〜😅」と腑抜けた雰囲気。地球が終わろうとしてるなら、大急ぎで楽器を演奏した方がいいんじゃないのか…?

地球存亡の危機の中、どういう心境で正装したのか(画像引用

✔️絵に対する違和感

今のドラえもんに馴染みがない私にとって、全員の声に違和感があったことを筆頭に、絵面がどうしても受け入れづらかったです。全体的に萌えっぽい表現が気になりました(特にしずかちゃん)。スネ夫は足が短すぎではないでしょうか。星のカービィかと思いました。

萌え要素の強い源静香氏と短足な骨川スネ夫氏(画像引用

✔️良かった点

●音(ファーレ)の表現
楽器から出る音の表現が面白かったです。楽器を演奏すると、ファーレエネルギーを生み出すことができます。オーボエからは丸い玉、バイオリンからは線でファーレを表現するなど、アニメ(漫画)が総合芸術と言われる所以を実感しました。

楽器により音の表現が異なる(画像引用

●大音量の音楽
期待通り、大きな音で質の高い音楽が聴けたことは気持ち良かったです。

●少しウルッときた
のび太が下手くそなファーレを出しながらも、ノイズに感染したドラえもんを必死に治そうと頑張るシーンは5mmくらい感動しました。ただし、ドラえもんが瀕死だったのではなく、喉がガラガラして風邪っぽい症状を治そうとしているだけだったため、のび太の緊迫感(物語のヤマ)とドラえもんの軽い症状のギャップには違和感がありました。

✔️子供と映画館に行く際の教訓

子供は半分くらい過ぎたパートで寝てしまいました。子供と映画を見に行く場合は、夕方ではなく午前中に行くべきだと学びました(夕方の映画だと、昼に遊んだ疲れで寝てしまう)。

子供に感想を尋ねると「のび太が川の水を消してしまうところが面白かった」とのことでした。

✔️その他の気付き

エンドロールで複数のアニメ制作会社が流れた時、最近読んだ本の内容を思い出しました。アニメ制作の裏側を少しイメージできました。

▶︎まとめ

いかがだったでしょうか?音楽にフォーカスした世界観の表現は面白かったし、映画館の大音量で音楽を聞けた点は良かったです。ただし、ストーリーは緩く、盛り上がりに欠けたため、私は満足感が高くなかったです。

今後、子供が自発的に強く見たいと言わない限り、ドラえもんの映画は見に行かないかもしれません😯(次回は魔法使いの話のようです)

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