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コーヒーの聖地・マニサレス

コロンビアに来て2か月が経ち、ボゴタカリに続いてマニサレスを訪れました。カルダス州の州都であるマニサレスはボゴタから飛行機で1時間ほどで着くのですが、山間部に位置し気候が荒れやすいため飛行機が着陸できない場合があると聞いていました。そして初めてのマニサレス訪問で運悪く、乗った飛行機が着陸できずそのままボゴタに引き返すという事態に。

引き返したフライトの行程
FlightAware を見ると上空まで着くも折り返したのがわかる

今回マニサレスに行った理由はフェスティバル・デ・ラ・イマーヘン(イメージ・フェス)というメディア・アートの祭典が行われるため。ボゴタの大学の知り合いの先生も次の便でマニサレスに行く予定だったため、引き返した私はボゴタ空港で先生と合流し、次の便に同乗することになりました。

マニサレスに到着したプロペラ機
マニサレスに到着。ボゴタとメデジン行きのフライトしかない小さな空港です

そして無事に到着するも、私の預けていた荷物はまだボゴタにあったため最終便がボゴタから来るのを待つ羽目に。結局朝のうちに着く予定だったのが、到着したのは午後2時半、荷物が届いたのは5時過ぎでした。空港から市街へはバスも出ていますがタクシーに乗ることに。市内での移動も安いのでタクシーを何度か使いましたが、ボゴタやカリとは違って Uber や Cabify といった配車アプリがマニサレスには進出していないため正規のタクシーを停めて行き先を伝える必要があります。

マックに作品のサイトが表示されている

フェスティバルはカルダス大学という総合大学の図書館とダウンタウンにあるシアター「テアトロ・ロス・フンダドーレス」で行われ、図書館のメディア・アート展示の一角では以前フロールと制作したウェブサイトの作品を展示していただきました。立ち止まってくれていた人もちらほら見かけたのでマニサレスまで来て設営(レーザー加工したものを飾るだけで設営というのかは謎ですが)した甲斐がありました。

フェスティバルのアカウントでも取り上げてくれていました。下は自分で撮影した会場のようすです。

フェスティバルは展示のほかに学会的な口頭発表、ワークショップ、ショート・フィルムのスクリーニング、コンサートなど5日間にわたって盛りだくさんのプログラムでしたが、ウェブサイトの展示やショート・フィルムは作品を送るだけでアーティストが来ていない場合が多く全体的には参加者がそれほど多くはないので、もう少しプログラムを絞ってもよかったのではというのがオーガナイザー的な感想です。

皿に乗ったとんかつ、サラダ、ごはん

会場のカルダス大学の近くは「カーブレ」(Cable、ケーブル)というエリアでもともとはその名の通り空中にケーブルが引かれて手紙などのやりとりをしていたそうです。現在はヒップなエリアとして知られていて、中でもレストラン「日本」は正統派の和食店で何度も足を運びました。海外の小さな都市の和食料理店はあまり期待できないことが多いので敬遠しているのですが、こちらは覗いてみると怪しい日本語がなかったり、おいてあるグッズも日本から取り寄せたものばかりだったので試してみることに。ランチは450~750円なのでいわゆる定食的なカジュアルな感じで、から揚げやとんかつ、鮭のホイル焼きなどがありました。店員に日本人がいなかったようなのでどこで修業したのかは謎ですが、オーナーの息子さんのような子が帰ってきて「おかえり」と言っていた(ように聞こえた)のが気になりました。あれはおかえりとただいまを間違えて覚えているのか、それともクレヨンしんちゃんの真似だとしたら高度な日本語レベルだと思う…

カフェで店員がコーヒーを淹れている
ヒップなカフェではエスプレッソ以外の抽出方法も選べるとのことで、自分でも愛用しているエアロプレスで淹れてもらうことに

マニサレスはコロンビアの中でもコーヒーの産地として有名だそうで、フェスティバルでもローカルなコーヒーのブランドがいくつかブースを出展していました。ブースではティント(いわゆるドリップ・コーヒー)を小さなカップに無料で注いでくれて、その他に豆やグッズを販売していました。中でも「ティオ・コネホ」(直訳すると「おじのうさぎさん」)はいわゆるスペシャルティ・コーヒーのブランドでマニサレス近くの農園を所有しており、コーヒー農園の体験として滞在もできるそうです。のちに時間があったので市内にあるティオ・コネホのカフェに行ったのですが、甘みの感じられるコーヒーでした。

カップに入ったコーヒー
この段落は少しコーヒーオタクの話です

エスプレッソ系のドリンクも注文できますが、エアロプレスやドリップなどペーパー・フィルターのほうがクリアな味で豆本来の甘みや酸味が味わえるので個人的にはおすすめです。ちなみに豆と水の比率は1:10とのことで個人的にはかなり高めでした(コンペティションなどではそれに近い比率が使われるということですが、私の参考にしているジェームズ・ホフマンのレシピでは「毎日飲むための、もう一杯ほしくなるくらいの濃さ」としてその半分の11:200を推奨しています)。ただ、抽出温度がそれほど高くなかったためか挽きが粗めなのかあまりパンチの効いた味ではありませんでした(同レシピでは浅煎りは100度に近ければ近いほうがいいとのこと)。ともかく、とても質がよく味のプロファイルのはっきりした豆で気に入ったので、自分へのお土産に甘みのあるゲイシャ種と、酸味の効いた「エクスペリメンタル」なものを購入。前者はティオ・コネホの農園で、後者は提携している別の農園のものを独自にプロセスしたものということで、ブランドとしては文字通り「隠れた楽園」の意味合いで「パライソ・エスコンディード」と呼んでいるそうです。どちらも227グラムで45,000ペソ(1,350円)と北米やヨーロッパで買うものと同じか少し高めですが他では出回っていない希少なブランドゆえなのでしょう。

緑に囲まれた温泉

山脈に位置するということでマニサレスでは温泉も湧いています。今回行ったティエラ・ヴィーヴァはタクシーで市街から30分ほど。空港の比較的近くなので、夕方の便まで時間をつぶすためにこちらの温泉に寄りました。残念ながら北米と同じく水着着用ですが、露天で緑に囲まれての最高のエクスペリエンスです。今回は入浴のみの土日料金で30,000ペソ(900円)。ホテルも併設しているので空港からの出発前日にこちらに泊まるのもいいかも。湯舟は三つあり、温度は日本人の感覚だと低・中・中といったところ。垂れ流しの湯はそこそこ熱いのでそれにあたっているとしばらくしてのぼせるかな、という温度感です。湯からはほんのりと硫黄のにおいがします。来ているのは年配の方が多く、珍しがられたのかどこから来たのかなど声をかけられました。中にはメキシコのダンサーの方もいてインプロ・シアターの話などで盛り上がりました。

マッサージのベッド

時間があったためマッサージも受けることに。フルコースで一時間80,000ペソ(2,400円)と外貨に換算すれば比較的安め。マッサージはあまり受けたことがないので詳しく書けませんが、基本的にはオイルを塗って背中、腕、足とほぐしていただきました。マッサージ師の方からは強弱について聞かれたくらいです。

ロープ・ウェイの乗り換え駅

そしてボゴタに帰る予定だったのですが、なんと帰りも悪天候で今回は最終便だったためフライト自体がキャンセルに。しかも翌日の便が既にいっぱいで二日後しかとれないというアナウンスがあると乗客からひどいブーイングがありました。仕方なくその場で booking.com を開いてダウンタウンにあるホテルを確保し、翌日もマニサレス観光をすることにしました。実は上に書いたカフェはその日に行ったもので、その他に気になっていたロープ・ウェイにも乗りました。公共交通機関のため片道2,300ペソ(70円)で乗ることができ、改札を出なければ乗ったまま片道料金で戻ることもできます。路線は二つあり、途中で乗り換えると川を越えてヴィジャマリアという別の市に到着します。ただ、平日は現地の人が通勤に使っているようでピーク時は混雑しているのを見かけたので、土日や昼間など混まない時間に乗るのがよさそうです。またマスク着用が必須のようです(出かけるときにふと思い立ってマスクをウエスト・ポーチに入れていてよかった)。

ケーブル・カーから撮ったマニサレスの家々
眺めはいいものの、キャビンによっては窓が汚れているので過度な期待は禁物

これを書いている時点では翌日ボゴタに出発するので、今度こそ天気がいいことを願っています。朝一の便なので、どこかで天気が良ければ最悪夜までには着くのではと楽観的に考えています(というか、そろそろ帰らないと授業もろもろに影響がでてくる)。

曇った時の街並み
個人的には天気が悪いマニサレスの表情も好き

飛行機の利便性が悪いこともあり、南米に来たら絶対に行くべきかというとマニサレスの優先度は低くなりそうですが、ボゴタにしばらく滞在する場合やコーヒー好きの方にはぜひ訪ねてほしい街です。厳しい気候のためかコロンビアの明るいイメージに対してマニサレスの方々は比較的落ち着いていて治安もだいぶいいとのこと。近くには国立公園もあるとのことでハイキング好きの方にもおすすめだそうですが、その場合は現地のガイドを付けたほうがよさそうです。

マニサレスと書かれたシャッター

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