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【連載コラム】学問のススメならぬ「留学のススメ」その1 「留学の種類」と「語学留学」について知ろう!

やっぱり留学は素晴らしい!

最近、新たに数名の留学経験者の話を聞く機会があり、留学推進派として発言せずにはいられなくなった。渡航先がどの国でも、何歳でも、単独でも家族と一緒でも、「本人が望む留学」であれば、私が知る限り本人にとってプラスの経験になり、人生を豊かにしている。

ちなみに、コロナ前の2019年の日本からの大学への留学生数は105,859人で10万人を突破していた。(出展:(独)日本学生支援機構「日本人学生留学状況調査」)残念ながらその後の留学生数は激減したが、少しずつ戻りつつある。2022年度に私が教えた専門学校の学生の中にも留学予定者が数名おり、今後、日本からの留学者が増えると予測される。

海外に飛び出す効果

留学未満の海外滞在経験でも、本人のエネルギーレベルが上がる事例が身近に起こった。私には1年半不登校の中1長男がいる。その息子が、2022年の夏にマレーシアに家族で3週間行くだけで、エネルギーがたまり出した。

少しエネルギーを回復した長男は、その後、本人から「もう1度マレーシアに行って、現地から日本の授業をオンラインで受けたい」言い出す。学校や教育委員会に許可を得て、親元を離れて6週間マレーシアに渡航。現地で知人のサポートはあったものの、基本的に一人暮らしで日本のオンライン授業を受ける生活をおくった。2022年11月中旬から12月末にかけてのことだ。

長男の6週間のマレーシア単独渡航で分かったことは、「どうやら、日本を離れて場所を変えるだけで世界や価値観が広がり、従来の場所や価値観から離れることで、エネルギーがたまる」ようである。海外留学の魅力は、英語力向上や専門的な学びだけでなさそうだ。現地での生活や人とのふれあいにも、計り知れない価値がある。

知っておきたい3つの留学

留学には種類やパターンが複数あるが、大きくは3つある。
「留学にいきたい」と思ったら、自分の留学の目的を考え、その上でどの留学が自分に合っているかを吟味していく必要がある。そのためにも、留学の種類とパターン(組み合わせもあり)を知っておこう。

 【3つの留学】
・  語学留学
・  交換留学
・  正規留学

私自身、過去に3回の留学経験がある。「お金」のことが気になる方が多いので費用についても記載する。

【学生時代】
1回目:語学研修(6週間/カナダ)※親が費用負担 約40万円
2回目:日本の大学からの交換留学(10ヶ月/香港)※大学に学費納入以外に追加費用無し

【社会人時代】
3回目:大学院正規留学(2年半/アメリカ)※自分で働いて400万円貯金+100万円父親から援助

これから自らの留学経験を振り返りお伝えしていく3回の連載コラム。
「期間」も「種類」も「目的」も異なるので、留学に少しでも興味ある方に参考にして頂けたら幸いだ。

【留学その1】人生初めての渡航で海外語学研修へ。大学1年の夏にカナダのトロントで過ごした6週間

大学1年生、19歳の夏、人生で初めてパスポートを作って海を渡った。なんとなく海外への憧れはあったが、日本生まれの日本育ちで、それまでに海外渡航経験は無かった。親に希望を伝えて夏の語学研修の費用を出してもらう。行き先は、カナダのトロント。トロントはカナダで一番人口が多い都市で、経済の中心とされている。

大学の海外交流課が企画した夏の語学研修で、申し込めば定員枠内であれば誰でも行けた。語学研修の行き先はアメリカ、カナダ、イギリス。期間と料金を見比べ、1番滞在日数が長く料金が安めの、カナダのトロント大学を会場とする語学研修に参加した。

カナダの都会トロントでの生活

語学研修が行われた場所は、夏休みで学生がいないトロント大学。
宿泊先は人がいない大学寮で、同じ大学から参加した女子学生と2人で同じ部屋を使った。人生初めて「ルームメイト」がいる生活だ。

部屋に入ると天井は少し高めで、2つのベッドと机、クローゼットがあった。天井の真ん中に電灯はついていない。夕暮れ時の外が薄暗いときに、ルームメイトが机に向かい、勉強机のランプのオレンジ色で部屋が包まれている光景を覚えている。トイレ・シャワー・洗面所は部屋の外で共用だ。

食事は大学の施設である食堂で3食とも食べた。外のレストランで食事をした記憶がないので、全食事付きのプランだったのだろう。カウンターのケースにあるものを、女性のスタッフがよそってくれた。それほど、選択肢は無かったし、特別美味しいという覚えはないが、反対に口に合わないこともなくて助かった。じゃがいもをつぶしてソースをかける「マッシュポテト」をよく食べた。

英語の授業

基本的に平日は毎日英語のクラスがあったが、実はそれほど覚えていない。1つの教室に複数の学生が入ってグループで授業をしていた。机はロの字になっていたと思う。担当してくれた先生達が、最後の授業が終わってから、教室外で学生を集めて簡単なパーティーみたいなことをしてくれたように思う。その雰囲気が良かったのを覚えている。

私のルームメイトは予習復習でよく机に向かっていたが、私自身は正直なところ、授業を受ける以外にあまり勉強しなかった。分厚いテキストを1冊使っていた。宿題で英語の問題を少し解いた覚えはある。

語学研修で得られたこと

6週間に渡って英語クラスに参加したが、自分の英語力にはあまり変化がなかった。しかし、「授業は全て英語だけで行われる」という環境に身を置けたことはいい経験だったと思う。

最初から狙っていたわけではないけれど、語学研修参加者のためのアクティビティ(課外活動)があったのはラッキーだった。お陰で楽しい6週間を過ごせた。語学留学先を選ぶときに、アクティビティがあるといいかもしれない。

【参加した語学研修のアクティビティー】
・野球プロリーグの観戦
・ナイヤガラの滝への小旅行
・ピーチ(桃)フェスティバル

昼間にトロント・ブルージェイズのスタジアムに野球の試合観戦に行った。ブルージェイズはMLB・アメリカンリーグ東地区所属のプロ野球チームで、「アメリカとカナダは、国は違っても北米のくくりで一緒のリーグに参加するんだ!」という発見があった。

ナイヤガラの滝は有名なだけあって、実際に行ったら横に長く広がっていて見ごたえがあった。ナイヤガラ「瀑布」という呼び方がふさわしいと思った。

ピーチフェスティバルは郊外で開催のため、黄色いスクールバスに乗り込んで行った。足元の緑の芝生と桃のかわいらしいピンク色が印象に残っている。そこで食べた桃は日本でいうスモモに近く、甘酸っぱくて美味しかった。

仲間と過ごしたその他の想い出

今から振り返ると、たまたま一緒に行った同じ大学の仲間と、一緒に計画して外出したのが一生の思い出となった。

・トロントの街のシンボルであるCNタワーに行ったこと
・人生初めて劇場でオペラ座の怪人を観たこと
・ハレー彗星が見えるというので、大学の広い運動場に新聞を敷いて夜空を眺めたこと
・お隣のケベック州(フランス語圏)に行って、外から見た大聖堂が大きくて美しかったこと。街の風景がトロントとは違ったこと。
・カヌーのツアーに興味がある仲間を見つけて、2人で参加したこと

ひとりでは、初めての場所にドキドキでも、2人やグループなら、街歩きや色んなことを楽しめる。そんな仲間に恵まれ、素敵な体験が色々できたことに、今でも感謝の気持ちでいっぱいだ。

語学研修に参加して変化したこと

まず、初めての海外渡航で大学からの語学研修という選択は、安全面でも料金面でも良かった。大学の海外留学室のスタッフの方が、行き帰りに同行してくださり、ある程度守られた環境で、不安なく異文化体験ができた。

その結果、最初に無理せずに楽しい思い出を作ることができたので、「もっと長く海外で生活したい」という気持ちが膨らんだ。帰国時には、「次は交換留学に行きたい」と強く思うようになり、必死でTOEFL(留学の応募に必要な英語力を測るテスト)の勉強を始めた。

次に、語学研修までは日本から1歩も出たことが無かったので、語学研修に参加することで、自分が知る世界や視野が広がった。「もっと世界を知りたい」という世界への好奇心が高まり、「日本以外の文化や多様性に触れることが楽しい」と感じるようになっていた。

最後に、カナダという英語圏に行くことで、英語力の面でメリットは少なからずあった。毎日食堂でご飯を盛り付けてくれる女性に向かって英語を話したり、友人と買い物や外に出たときに英語を使ったりと、英語を使う感覚が自然と経験できたかもしれない。

大学主催の語学研修と、民間会社で申し込む語学留学では、異なる面もある。しかし、短期の海外語学研修(留学)に行くメリットとして共通部分はある。今後、ご自身の短期留学を検討する上で参考になる部分があれば幸いだ。

最後に英語講師の筆者から一言

語学留学に行く際は、「渡航先の国や都市」や「留学先の英語レッスン形態」が大変重要だ。自分に合った行き先(国)や語学学校を慎重に選べぶことで、より満足度の高い時間が過ごせる。申し込みの際には、「語学留学できるならどこでもいい」ではなく、自分の希望を書き出し、比較検討を丁寧にしよう。

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