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「人間らしく生きる」とは何か 武器ではなく、音楽を

戦乱や迫害が続くシリア、多くの人々が国内外で避難生活を続けるイラク。これまで取材でお世話になってきたこの二つの国で、「生きる」とは何かをずっと、考えてきました。

シリアの隣国、ヨルダンでは、正式登録されているだけで70万人近く、実際にはもっと多くの人々が避難生活を送っているといわれています。

ヨルダン北部のザータリ難民キャンプで生活するシリアの人々は8万人近く。支援物資は届くものの、出入りは制限され、基本的に外に働きに行くことは許されていません。

物資に頼って生きることは、「楽」に見えるでしょうか?人は水、食料、雨風をしのぐ場所さえあれば、人間らしく生きることができるでしょうか?

キャンプで暮らしている人々はそれぞれ、戦闘に巻き込まれる前の日常があり、仕事や家族との時間、ささやかな楽しみがあったと語ってくれました。その営みから切り離された生活は、「まるで檻の中にいるよう」「自分が必要とされていないように感じてしまう」と。

ヨルダンで避難生活を送っていたある若い男性が、「ここでは毎日死んだように生きなければならない。シリアに帰れば死ぬのは一回だ」と戦闘に戻ってしまったことさえあります。

帰る目途もたたない、けれども働くことも許されない、そんな子どもたちが何を楽しみとし、将来をどう見据えればよいのでしょうか。

この記事を読んで下さっている皆さんにお知らせをしたいプロジェクトがあります。

2016年、このヨルダンの難民キャンプを訪れたSUGIZOさんを中心に、音楽バンド『ババガヌージュ』 が結成されました。メンバーは他に、私が所属するDialogue for Peopeの佐藤慧(ギター)、取材やイベントでお世話になっているJIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)の斉藤亮平さん(キーボード)です。

『ババガヌージュ』はこれまでヨルダン、パレスチナなどで音楽による文化交流を行ってきました。

(キャンプで暮らすムハンマドさん。SUGIZOさんとのセッションを楽しむ。撮影:佐藤慧)

そして今年2019年9月29日から10月上旬にかけて、イラクとヨルダンでのライブを開催予定です。

なぜ、音楽なのでしょうか?

ザータリ難民キャンプでは、今回の訪問にも協力をして下さる認定NPO法人国境なき子どもたちは、キャンプ内の学校で支援活動を続けています。

音楽の授業では、子どもたちがのびのびと故郷の歌を歌っているのを目にしました。悲しい、あるいは残酷な記憶を残す故郷を、「歌っている時は楽しく思い出すことができる」と。「生きたい」という気持ちは、そんなひと時の積み重ねから生まれるものなのかもしれません。

このライブがささやかな、明日への灯となればと私も願います。

現在、現地での活動のためクラウドファンディングを実施中です。詳細はこちらから。皆様の支え、よろしければぜひお願い致します


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