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マティス展に行きました

 昨日マティス展に行ってきました。行く前は会期末だし週末でもあったので激混みかな?と覚悟していました。ですが、確かに展覧会会場の入り口付近は混んでいてなかなか先に進む事は出来なかったものの、中は意外と混雑はなく余裕を持って展示物を観る事ができました。

 展覧会はまぁ、大体展覧会はそうだと思いますが、マティスの作品が年代ごとに展示されており作風の変遷を辿れるようになっていました。ちなみにこの展覧会は絵だけじゃなくて彫刻も展示されていました。入り口付近にはデビュー当初の古風な作品が飾られてあり、中へと進んでいくと初期の代表作が並んでいます。エスカレーターで一階に登ると中期のフォービズムの傑作群がずらりと並んでおり、そして最後には後期のあの有名な切り絵の作品群へと辿り着くのですが、展示物が代表作の目白押しでまぁ目が落ち着かないこと、落ち着かないこと。あっちを観たら、こっちも観なきゃ。こっちを観たら、あっちを忘れてしまったのでまたあっちを観なきゃといった感じでずっと目をキョロキョロさせていました。多分周りの人は私を怪しげな人だと思ったでしょう。時々会場を巡回している展覧会のスタッフと目が合ったのですが、スタッフさんがひどく訝しげな目で私を見ていたように感じられたのは気のせいでしょうか。

 一階の展示室はなんと全フロア撮影可でみんなスマホやタブレット等でバシバシ撮っていました。何人か高そうなカメラを持った人が歩いていましたが、あの人たちは雑誌かなんかの人でしょうか。一階の展示室はマティス中期の代表作が集められており、皆さんもどこかで見たことのあるような絵がたくさんありました。勿論私もバシバシ撮りました。他の人たちは気に入った作品だけを撮っていたようですが、私は人が映る危険性がないものは全部撮ってやりました。外国では展示物の写真撮影は許可されている展覧会が多いと聞きますが、日本はまだまだ撮影禁止の展覧会が多いようです。しかし今後は撮影許可の展覧会が増えていくのではないかと思われます。

 そして最後は二階に展示されている後期の切り絵の傑作群です。正直に言うとこれが一番観たかったものです。これはやはり素晴らしいものでマティスここにありというものです。これってもう上手さとかそういうレベルじゃなくて(いや、マティスが技術的に凄く上手い人だというのは重々承知していますが)、やっぱりセンスの問題なんだと思います。後期の代表作の『ジャズ』など一部だけ観れば適当に切った物に色つけたものを貼ってるだけしか見えないのに、何故全体で見るとかくも素晴らしく見えるのか。観ながら思わず天才なんてつまらない言葉が口に出そうになりました。

 私は以前の記事で何回か自分の美術不感症について書いていまして、今回の記事もこの切り絵を観るまではその路線で書くつもりでした。

 中期のフォービズムの作品を観てもやっぱり私には鑑賞力が絶望的に欠けている。私は現物より写真の方が素晴らしく感じる人間だ。そもそも私は絵についての解説がないと美術なんてわからないと。しかし切り絵を観た瞬間そんなものは見事に吹き飛んでしまいました。勿論マティスの切り絵がわかったわけではありません。また実際に観た切り絵が写真等で見慣れていたものに比べてどれほど違って見えたかは分かりません。ただ切り絵を見て率直に思ったのは、展覧会に来て良かったなぁという事です。いやぁ、美術って本当に素晴らしいですね。さいなら、さいなら、さいなら。


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